昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

授業参観・1

昨日は昇平の小学校の日曜参観があった。
普段、仕事で参観日に出られない旦那は、この日だけは、といそいそと出席。ゆめがおかでの複式授業がどんなものか見たくてたまらなかった私も、興味津々で参加。夫婦揃って、わくわく気分で参観に臨んだ。

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教室の後ろにはパイプ椅子。座りながら参観できるのは、少人数学級の特典かな。(笑)
6人の子どもたちが前後2列に机を並べている。前列には4人、後列には2人。前列の中央左側が昇平で、その右側は2年生のS君。その二人を間に挟んで、3年生のKH君と5年生のHちゃんが座っている。後列にはやはり3年生のKT君と5年生のF君。・・・要するに、まだ経験浅い低学年の二人を先生の目の前に置き、落ちついている上級生4人でまわりを固めるようにしているのだ。
ADHDのある児童の場合、席はできるだけ担任の近くに置くのがよい、というのが基本なのだが、クラスのほとんど全員がADHDの場合、どうやるのかと思っていたら、なるほどの配置だった。

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さて、9時20分から2校時目開始。今回の参観は算数だ。
最初はかけざん九九用のボードを使いながら、数の基本の勉強。
まず、1から10までを数唱させる。
次に、2つ飛びの数と5つ飛びの数。これを2の段と5の段の九九を利用して、子どもたちに答えさせていく。1年生の昇平には簡単な問題、上級生にはちょっと難しい問題。
九九用ボードは、答えの部分が回転式になっているので、尋ねられている問題がすぐに分かるし、答えも目で見て分かりやすい。九九にはこんな利用のしかたもあるのか、と感心した。

次は、3年生以上がかけ算九九の問題。低学年の二人はそれを見ているだけだったが、問題が終わると、昇平が唐突に「最後の問題!」と言った。森村先生が「ああ、最後ね。じゃ、昇平君、9×9は?」と聞くと、昇平、自信満々で「81!」。ボードの最後の九九を暗記していたらしい。
「あたり!」と先生が答えのボードを回転させると、「やったー! 最後のボスをやっつけたぞ!」と喜んだ。おいおい、かけ算九九はバトルゲームだったのか? ・・・ま、いいけど。(笑)

その次は、時計の絵カードを使って、時刻を読む練習。これも、低学年には簡単なものを読ませ、高学年には難しいものを読ませたり、「30分たつと何時何分になりますか?」というような問題を出したりしている。
昇平は、ときどき間違いはあったものの、先生からヒントを出されると自分で正しい答えを出すことができた。だんだん時刻が読めるようになってきたらしい。

ここまでの基礎学習が約15分間。
ADHDのある子どもは集中時間が短いので、授業は短いスパンで移り変わっていく。ひとつのスパンは15分と言ったところ。
実際、たったこれだけの時間でも、子どもたち(特に昇平)は最後のほうになってくると飽き始めて、気持ちがあっちこっちに向いたり、ぼんやりしてしまったりする。それを見取った森村先生が、すかさず名前を呼んで、子どもの注意を惹きつけ直す。おかげで、子どもたちは最後まで誰も勝手に席を離れることなく、授業にちゃんと参加していた。
クラスの大部分がADHDという状況の中で、これは、ものすごいことだと思った。

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次の15分間はそれぞれの学年の学習。
一人一人に合わせたプリントやドリル、ノートの問題が渡されて、それを自分で解いていく。
計算をする子、大きな時計をかたわらに時間の問題に取り組む子。森村先生は、机の間を回りながら、一人一人に指導をしていく。
みんな、本当に一生懸命。集中して問題に取り組む姿は、とてもADHD児の集団には見えない。
途中、昇平が「先生、できたー!」と声を上げ、先生に「はい。あれ、でも今日はもう1ページあったね」と言われて「ひぇーん」と泣き真似(?)した他は、本当に、大きな声を出す子もいなかった。
うむむ・・・本当にすごいぞ。
この場面をビデオにとって、何も説明なしに見せたら、絶対にただの複式学級の授業風景に思われるだろうな、なんてことも考えた。

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というところで、スペースが尽きてきたので、レポートはまた明日に続くのだけれど、最後に、授業参観しての、率直な私の感想を一言。
「子どもたちの特性に合わせた授業をすると、子どもたちはこんなにがんばれるんだ!」
心おきなくADHDの特性に合わせることができる情緒障害児学級の授業は、本当にすばらしい。

[02/06/24(月) 07:47]

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