昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

土曜日。クッキーを作る

二学期が始まって、1週間が過ぎた。
昇平は、学校ではなにかと不安定気味で、落ちつかなかったり一学期より甘えん坊だったりしていた。
家庭と学校では生活リズムが違うということもあっただろうが、一学期よりもまわりの出来事がよく分かるようになったために、精神的にいっぱいいっぱいになってしまって、それで落ちつかなくなっていたのだろう、というのが森村先生と私の共通見解だった。
これも成長のひとつの現れだろうから、と慣れてくるのを焦らずに待っていたら、週の終わり頃になって、やっと少しずつ調子を取り戻してきたようだった。

週五日制のおかげで、週末には連休がある。
こと昇平に関しては、この毎週の連休の存在が、本当にありがたく感じられている。
ゆっくり休んで、また学校でがんばれる力を蓄えられるから。

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さて、その連休の1日目である土曜日。
「ぼく、クッキーを作りたい」と昇平が言いだしたので、一緒にクッキー作りをすることにした。

まず、生地作り。
昇平は今までにも何度かクッキーを作ってきたので、今回はできるだけ本人にやらせてみようと思い、紙に材料と手順を書き出してやった。手順は本人に分かりやすいように図解で。

デジタルばかりで材料をはかる。
砂糖80g、小麦粉200g。バターは100gだが、これはあらかじめ室温で柔らかくしておく関係上、母が先にはかって皿に載せていた。
牛乳大さじ2杯。これは、勢い余ってこぼしそうだったので、昇平が持った匙に母が牛乳を注いだけれど、コップか何かに入れたところから、大さじ2杯分だけはかり取らせても良かったかな。

卵の黄身1個分。卵を器に割らせたら、卵の殻の縁のギザギザで黄身がつぶれてしまった。もう一度やり直し。カンカン☆ 「ひびの入ったところに指をかけて、両方に引っ張ってパカッと割るの」・・・パ、パ、パカッ☆ なんとか成功。
白身の中に浮かんだ黄身を、手で別の器にすくい取らせた。白身にさわるのを気味悪がって、なかなかうまく行かなかったが、最後にはそれも何とか成功。
残った白身は、先のつぶれた卵と一緒にまぜて、昼食用のオムレツになった。

あとは、バニラエッセンスが少々。昇平に嗅がせたら、「う〜ん、いい匂い」とニッコリした。

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ボールに柔らかくなったバターと砂糖を入れて、混ぜる、混ぜる、ひたすら混ぜる。昇平、一生懸命がんばって、泡立て器を動かし続けていた。
疲れたら、時々母と交代。
気温が高いおかげもあって、まもなくバターは白くふわふわの状態になった。
そこに卵の黄身と牛乳とバニラエッセンスを混ぜたものを少しずつ加え、さらによく混ぜる。
全部が混ざったら、小麦粉をふるいで加える。
ザルのような形のふるいをボールの上に載せ、小麦粉をどさっと加えたら、「ふるいを振らずに」、手の指を使って小麦粉をかき混ぜるようにして網の目を通した。
指でかき混ぜると小さい子でも面白いように粉をふるえるのだ。
母が構えるふるいからボールに落ちていく粉を見ながら、「雪みたい〜!」と歓声を上げていた昇平だった。
粉を混ぜ込むところはちょっと大変そうだったので、半分母が手伝ったけれど、とにかく自分で最初から最後まで生地作りすることができて、昇平はとても満足そうだった。

生地はポリ袋に入れ、「お昼を食べて、午後の2時になったら続きをやろうね」と言って、生地を冷蔵庫に入れた。ちなみに、生地を冷蔵庫で寝かせる時間は30分くらい。でも、それより長くなっても別にかまわない。

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さて、約束の時間が来て、堅くなった生地を取り出し、打ち粉をしたまな板とめんぼうを使ってのばす。
昇平は型を使って抜こうとしたが、気温が高めですぐに生地が柔らかくなってくるので、けっこう苦労していた。バターが多い生地は、食べてはおいしいのだが、形成に手間取ることが多い。
母は簡単に丸めてつぶしては、アルミシートの上に並べていった。棒状に固めたものを包丁で切ったりもした。これも簡単。アルミシートの代わりにクッキングシートを使っても良い。
180℃に温めたオーブンで12〜15分。これはクッキーの厚さや大きさによって、焼き上がりの時間が変わってくる。
焼き上がったクッキーは網の上に載せて冷ます。
はい、お次のクッキー。昇平くんが作ったお星様やハートの形のクッキーだね。うまく焼けますように。

昇平はだんだんお菓子職人と化して、作るクッキーも凝ったデザインになり始めた。
色の付いた生地も欲しい、と言うので、「どうやって色を付けるの?」と聞いたら「ココアを混ぜるの」。
う〜む。以前、ココアパウダーで茶色い生地を作ったのを、しっかり記憶していたのね。
茶色い生地も使って、大好きな犬のクッキーや、「B」のマーク入りのクッキーなども作っていた。

焼き上がったクッキーを家族みんなに分けて、自分も食べて、とてもとても満足そうな昇平だった。

【追記】
その夜、昇平が突然「絵日記をかくよ」と言いだしたので、適当な紙に絵日記の欄を作って渡したら、さらさらとこんなものをかいた。
コックさんの帽子をかぶりエプロンをつけ、得意そうな顔でクッキーの皿を持った昇平。胸に「30」とかかれたバッジをつけているので何かと思ったら、エントリーナンバーなのだそうだ。
なるほど、気分はお菓子コンテストに出場するコックさんだったのね。(笑)

 「絵日記」
   http://village.infoweb.ne.jp/~asakura/bijutsu/enikki2.htm

[02/09/01(日) 07:33]

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