昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
球技大会で
日曜日の午前中、地域の中学生が出身小学校の体育館に集まっての球技大会があった。
例年、種目はバレーボールやソフトボールだったのだが、今年は目先を変えて卓球になった。
喜んだのは、今年卓球部に入ったお兄ちゃん。優勝者には賞品が出ると聞いて、まぁ張り切る張り切る。彼にしては珍しいくらい、やる気満々になっていた。
私は、お兄ちゃんが卓球をしている様子をまともに見たことがまだない。これはよい機会と、昇平を連れて体育館へ応援に行った。
ところが、昇平は車の中で携帯ゲームをしたまま、降りようとしない。「ぼく、車の中にいる」と言う。
人のゴチャゴチャしている場所は昇平にとっては落ちつかないので、それで行きたくないのかな、と思い、なにかあったら体育館に来るように行って、私だけで応援に行った。
時々、様子を見に車に戻ると、昇平はちゃんと車の中でゲームをしながら待っていて、私の顔を見るたびに「お兄ちゃんは? まけた?」と聞いてきた。
「まだ勝っているよ」と答えると、「やったー」とつぶやくが、やっぱり応援に行こうとはしなかった。
結局、途中で一度、校庭の向こうの遊具のところへ遊びに行ったが、試合が終わるまで2時間近く、ずっとひとりで待っていた昇平だった。
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後で、その話を聞いたおじーちゃんが昇平に尋ねた。
「昇平くんは、どうしてお兄ちゃんの応援に行かなかったんだ?」
すると、昇平はつぶやくように「だって、お兄ちゃん負けるから」と言って、そそくさとその場を離れていった。
なるほど、そうだったのかー、と思った。
昇平は、優勝するんだと張り切っている兄の姿を見て、負けてしまったらきっとすごく悔しがるだろうと予想して、その姿を見たくないものだから、体育館に入らずに車の中で待っていたのだ。
だから、私が様子を見に行くたびに「お兄ちゃんは? まけた?」と聞いてきたのだ。
大好きなお兄ちゃんだから、そういう反応をしたのだろうけれど、それにしても、今まで見せたことのない態度だったので、母はびっくりしてしまった。
そんなことも考えられるようになったんだねぇ。
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ちなみに、お兄ちゃんは決勝戦まで勝ち残ったものの、3年生に負けってしまって準優勝になり、皆と同じ参加賞をもらって帰ってきた。
全力を尽くして負けたからか、さっぱりした顔をして、「ありがとうございました」と対戦相手に頭を下げていた。負けたら悔し泣きするんではないかと、密かに昇平と同じ想像をしていた母は、お兄ちゃんの成長ぶりにもちょっと感動したのだった。
面白かったのは、その話を聞いたときの昇平の反応。
「(来年は)ぼくもいっしょにでるよ。お兄ちゃんといっしょにやる。そしたら、お兄ちゃん、勝つよ!」と本気で息巻いていた。
来年になってもキミはまだ小学生だから出られないよ、と言おうかと思ったけれど、ほほえましかったので、「そうだね、そしたらきっと優勝できるね」とだけ言っておいた。
ホント、お兄ちゃん想いだねぇ、キミは。
[02/09/08(日) 17:34]