昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

昇平、歯医者でがんばる

先月後半から、昇平はまた歯医者に通い始めている。
前回治療した歯の詰め物の下で虫歯がまた進行して、詰め物が取れ、歯にがらんどうの穴が空いてしまったのだ。
それが、時期をほとんど同じくして、左右両方の奥歯で。

治療してくれた先生の名誉のために書いておくけれど、決して、治療がおろそかだったからではない。
今回また虫歯になっていた歯は、歯並びのせいか、必ず食かすが歯の間に詰まってしまう場所で、しかも、フロスや歯間ブラシなどの器具を使っても、完全には除去できないことが多かったのだ。
毎晩昇平を仰向けに寝かせて仕上げ磨きをしながら、「これは遅かれ早かれ、また虫歯になるな〜」と考えていたら、3カ月後の定期検診のお知らせが来るのを待っていたように、奥歯からポロリと詰め物が取れてしまった・・・というわけ。

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前回、昇平はほんの少しずつ、少しずつ治療を進めて、ようやく治療終了までこぎつけることができた。

最初は泣きわめいてしまって、椅子に座らせることさえできなかった。
先端にビデオカメラのついたスティックで口の中を撮影し、それを昇平に見せながら、口を開ける練習をした。
少し慣れてくると、泣きわめくことはなくなったけれど、ドリルで削られるのが怖くて、ちゃんと椅子に座っていられなくて、治療不能、という状態が長く続いた。
その間、虫歯には進行止めの薬を塗って、本人が治療を受けられるまで成長してくるのをひたすら待った。

虫歯がどうしようもなく進行してしまって、痛くて痛くて、夜も眠れなくなってしまって、ようやく昇平は歯を治してもらおう、という気持ちになった。
それでも怖くて、ついつい先生の手元を見てしまうのだけれど、虫歯の穴に神経を麻痺させる薬を入れながら、少しずつ少しずつ削って、なんとか型もとって、金属を詰めてもらって・・・というのを3度ほど繰り返して、とうとう全部の歯を治してもらった。
それがこの7月のこと。
歯の治療が完了したときには、本当に、大声で万歳三唱したいくらい嬉しかった。

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さて、歯の詰め物がとれてしまったので「歯医者に行かなきゃ」と昇平に言うと、「え〜〜〜っっっ!!」と顔をしかめる昇平。
でも、「このままにしておくと、また歯が痛くなって、夜も眠れなくなるよ」と言うと、「歯医者さん、行く」と答えた。
歯の痛みというものは、よほど記憶に強く残るらしい。

診察台に上がって、口を開けるまでがまた一苦労。
ところが、今回は、歯の神経がもう腐ってしまっていた。
それは、それだけ歯の状態が悪いということなのだけれど、治療をするには、痛みを全く感じないので好都合だった。
昇平は歯を削られるのが以前ほど恐怖でなくなり、自分から「(右と左の歯を)1回ずつ削ってください」と言うようになってきた。
「1回ずつやってもいいけど、それだと時間が長くなるよ。それでも大きな口を開けてがんばれるかい?」と先生。
「がんばれる!」と昇平。
本当に、2回の間、大きな口を開けて治療を受けることができた。

それが2回ほど続いた後、母の方から「今日は右と左2回ずつ、4回削ってもらおうか。そうすると、早く虫歯をやっつけられるよ」と持ちかけてみた。
昇平、う〜ん、と考え込んで、「2回ずつがんばる」と答えた。
その日、先生は左右2回ずつ、合計4回歯を削ったけれど、昇平はその間、しっかり口を開けて治療を受けることができた。
その次の治療日にも、先生と話し合って、合計4回、がんばり通すことができた。
どのときにも、先生は必ず約束を守って、その回数だけしか削らなかった。

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ここに来て、先生と昇平の間でも、本当にコミュニケーションが成立するようになった。
以前は恐怖のあまり先生のことばなどちっとも耳に入らなくて、母が先生の言うことを繰り返して伝えたり、実況中継したりしなくてはならなかったのだけれど、今では、先生自身が「今度は××をするよ〜」「今度は風をかけるからね」「えらいなー。口を大きく開けてるから、(歯が)よく見えるぞ」と、昇平にマメに声をかけてくださるようになった。
昇平の方でも、そんな先生のことばを聞きながら、じっと治療を受けている。
信じられないくらいの進歩ぶりだった。

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なにごとも、急にできるようにはならないけれど、階段を上っていくように、一歩一歩前進していく昇平。
焦って先を急がせようとすると、必ず立ちすくんで進めなくなってしまうのだけれど、こちらがそんな彼のペースを大事にしながら根気よく付き合っていくと、ちゃんとこうやって成長していくことができる。
本人のペースを尊重することは大切なことだな、と改めて思っている。

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歯の治療も、まもなく型取りに入れそうな様子。
前回よりずっと短期間で終了しそうなので、母は本当にホッとしている。

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[02/11/15(金) 14:19]

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