昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

エネルギッシュな子ども

昇平を見ていると、なんてエネルギッシュな子どもだろう、とよく思う。

いや、行動が激しくて見るからにエネルギッシュ、というのとは、ちょっとニュアンスが違う。
多動の強いタイプのADHDを持つ子どもには、そういう子もいるけれど、昇平のは、ちょっとタイプが違う。
家にいる昇平を見ると、はしゃいでハイになっているときを除くと、行動はむしろ静かでおとなしい。
好きな遊びも、工作やお絵かき、読書といったものだから、部屋の中で静かにあれこれやっていることが多いのだ。
そういうときの様子を見た人が「昇平くんは本当におとなしいねぇ〜」と言ってくることも多い。

でも、よくよく彼の行動を見ていると・・・

   ☆★☆★☆

工作。
工作の本を見て、「これが作りたい」と言って、材料を探し、それを細工する道具が欲しい、と言い出す。小刀やかなづち、ノコギリなどはまだ危険なので扱わせられない。そう伝えると、ひとしきり駄々をこねてから、諦めたように、おもちゃのノコギリを持ってきて板を切ろうとする。「これじゃ切れないよ〜!」と文句を言う。「大きなカッターを出して! それで切るから」 カッターでもベニヤ板は切れないよ、と反対されると、今度は厚紙を探し出してきて、「これを大型カッターで切る」と言い出す。小さな昇平用カッターを渡されて、ひとしきり切るものの、それは作品には発展できなくて、いつの間にか中断。

お絵かき。
気がつくと、今度はなにやらお絵かきを始めている。お気に入りの漫画のページを写しがき。
と思ったら、今度は紙を持ってきて「ぱらぱらアニメを作るから、紙を切ってちょうだい」

おやつとままごと。
二、三枚それに絵を描いていたと思ったら、お腹が空いてきたらしい、おやつの催促。大好きな小さなエビ煎餅を見て、「これを料理して食べるんだ」と言いながら、ままごとの箱をひっくり返して、おもちゃのレン台と鍋を取り出し、そこに煎餅を入れる。おもちゃにしている小さな重箱にも、煎餅をいっぱい詰める。

実験。
食べるうちに、突然、何かを思いついたか思い出したか。「そうだ! 薬を作らなくちゃ!」おもちゃ箱をひっくり返して、小さな空き瓶を探し出し、母の目を盗んで深い皿に水を入れ、そこに「薬だよ」「○○に効くんだ」「××っていう薬だよ」などと言いながら、付録で付いてきていたインクをたらす。できた色水を薬瓶に入れる。当然、テーブルの上も水浸し。

ごっこあそび。
薬の瓶から、RPGゲームを連想したらしい。瓶をポケットに入れ、剣を片手に怪物退治の旅に出かける。
母がモンスターにされることもある。紙にモンスターの絵を描いて、それを徹底的にやっつけることも。

読書。
最近お気に入りの『リ○クの冒険4コマ漫画』を読み出す。おやつの煎餅をまた食べながら。
と、突然「煎餅で××を作るよ!」と言いだし、戸棚から皿を取りだして砕いた煎餅を入れ、水を入れようとするが、すんでの所で母に止められる。
そうやって「創作」した料理を、本人が食べきることなど、まずないので。

   ☆★☆★☆

きりがないので、このくらいにしておこう。
とにかく、昇平の行動というのは、ここに書いたようなことの連続なのだ。
ひっきりなしに「何か」をしている。
おとなしくしているように見えるけれど、頭の中では常にくるくると新しいこと、面白いことを追求していて、それをやってみたくてしかたない。
リタリンが効いている時間帯なら、ひとつの行動もかなり長続きして、作品が完成することも多い。

けれども、何かをやっているときには周りの様子など目に入らないし、次に新しいことに夢中になると、いままでやっていたことなど忘れてしまう。
片付けをする時間ももったいない。
かくて、部屋はあっという間にすごい惨状になる。(苦笑)

   ☆★☆★☆

おとなしく見えるのに、実は休みなく動き続け、作り続けている昇平。
疲れることを知らない。飽きると言うことも知らない。
ひとつのことには飽きるけれど、すぐにまた、別の夢中になれるものを見つけて、そっちに熱中している。
朝起きたときから夜寝るまで、それはずっと続いている。
本当にエネルギッシュなヤツだ、と思う。

学校などで行事があって疲れてきても、だるそうにするとか、動きが緩慢になるとかいうこともない。
かえって、疲れて自己コントロール力が落ちるから、落ちつきがなくなって、逆に多動がひどくなってしまう。
彼が気だるく何もしないでいるとしたら、それは彼の具合が悪いとき。
もうこれ以上動けない、というところまで動いて、ようやく、彼の体は休みを要求するのだ。
・・・因果な体質だねぇ・・・。

   ☆★☆★☆

ともすると暴走しそうになる、彼のエネルギーと創作への情熱。
少しずつでいいから、自分自身でコントロールして、結果に結びつけられるようになっていくといいな、と考えている。
焦りはしない。昇平はまだ、小学1年生なのだもの。

[02/11/21(木) 10:16]

[表紙][2002年リスト][もどる][すすむ]