昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

「お母さんがお迎えに来ないよ」

先週の金曜日、こんな小事件があった。

金曜日は、母が仕事の日なので、昇平が学校が終わるとまっすぐ児童館に行き、夕方4時半におじーちゃんの迎えの車で家に帰る。
ところが、この日はおじーちゃんが旅行。他のお迎えにいける人がいないので、母が仕事を早退して4時半過ぎに児童館へ行った。
すると、階段を上がったプレイルームの入り口で、昇平が泣き顔でぺたんと座り込み、担当の先生に手を取られて慰められていた。
なんだろう、ケンカでもしたんだろうか、と思いながらと近づくと、「ああ、良かったねー。本当にお母さんがお迎えに来たよ」と、担当の先生。昇平も、私の顔を見ると、しがみついてきた。どうやら、母が迎えに来ないんじゃないかと思って、不安になって泣いていたらしい。

その後、先生の話などを聞くと、こういうことだったらしい。
朝、私は昇平に「今日はおじーちゃんが旅行だから、お母さんが児童館にお迎えに行くからね」と説明した。「お母さん、お仕事早く終わらせて迎えに行くからね」と。
それを聞いて、昇平は「やったー!」と喜んだ。久しぶりに母のお迎えなので、嬉しいんだな・・・と、私はそのとき思った。ところが、実は昇平は「お母さんは早く仕事を終わらせて『とても早い時間に』お迎えに来る」と思いこんでしまったのだった。
昇平にとって「とても早い時間」というのは、おやつを食べる前の3時頃だったらしい。
ところが、母は迎えに来ない。だって、母は4時半に迎えに行くつもりで、その時間帯にはお仕事の真っ最中だったから。
「お母さんが来ない。お母さんが早くお迎えに来るのに」と言い出す昇平。
そして、悪いことに、私はその日の迎えが母になることを児童館に伝えておくのを忘れたのだ。
先生たちは「お母さんはお仕事中だよ。4時半になったらおじいちゃんがお迎えに来るから、それまで待っていようね」と慰める。
昇平が「違うよ。今日はおじいちゃんが旅行だから、お母さんが来ることになっているんだ」とでも説明できれば問題は起こらなかったのだが、昇平にはまだ、そこまでの説明力はない。「お母さんが早く迎えに来るんだよ」と繰り返すだけ。
それに対して、先生たちも「お母さんじゃなくて、おじいちゃんがお迎えに来るんだよ」と繰り返す。
昇平はとても不安になり、「お母さんが迎えに来なかったらどうしよう」「ぼく、おうちに帰れない」「お母さん、お迎えに来ないよ」とパニックのようになり、延々1時間半以上、泣き続けていたのだそうだ。
本当に、母が一言、電話で児童館にお迎えの話をしておけば・・・。
昇平にはとても可哀想なことをしてしまった。

   ☆★☆★☆

昇平は、最近、ことばで理解する力がとても伸びてきている。
今日の予定も、今起こっていることも、誰かが怒っている理由も、ことばで説明すればきちんと理解できるようになっている。
ところが、まだ100%というわけにはいかない。
うっかりすると、意味を取り違えたり、思いこんでいたり、勘違いしていたり・・・というミスが起こる。
それが修正されないと、金曜日のような事件も起こってきたりするのだ。

ことばを獲得していく過程で起こってくるトラブルかな、という気もする。
本人がもっと完全に話が理解できるようになるまで、もう少し丁寧に話しかけてやらなくちゃ・・・と反省した母だった。

[02/11/25(月) 11:31]

[表紙][2002年リスト][もどる][すすむ]