昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

フリー参観・2

フリー参観のレポート、その2。

朝、登校して教室につくと、子どもたちはすぐに制服を脱いで運動着に着替える。
体育があってもなくても、下校まで一日中、運動着姿で過ごすのだ。

ADHDっ子はすぐに気が散るので、着替えにものすごく時間がかかる。
上着を脱いだところで何かを見つけて観察を始めてしまう子、ズボンを脱いだところで話に夢中になってしまう子。
でも、それを叱る人はいない。着替え途中で気が散っている子には「○○く〜ん、お着替えが途中だよ」と時々先生から声がかかる。昇平など、ズボンを脱いだまま平気であちこち飛んで歩いているので「おパンツ星人になってるよ〜」なんて言われる。(笑)

時間がかかりながらも、みんな、自分で着替えをすませ、脱いだ制服を運動着袋に入れて、後ろのロッカーへ。ランドセルの中身も机の中に入れ、連絡帳や宿題の入った連絡袋は、まゆみ先生の机の上に提出する。
まゆみ先生は連絡帳を森村先生に渡し、宿題の漢字帳やプリントなどを採点して、コメントを書き加えている。ちょっとしたことでもほめる言葉が書かれてくる。「むずかしい字もいっしょうけんめい練習したのですね」とか「力強い、いい字です」とか。

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森村先生は、子どもたちの様子に目を配りながら、連絡帳に目を通してる。時々、読みながら笑いがこぼれたり、うーん、という感じでうなったり。
子どもを呼んで、「最近、朝なかなか起きられないんだって? お母さんが心配して書いていたよ」なんて声をかけてくれたりもする。
連絡帳への書き込みは、朝や昼の給食の後の時間などに行っているらしい。

着替えが終わった子どもたちが、教室の中で遊び始めた。
隣の知的障害児学級の子どもたちも、朝の挨拶がてら遊びにやってくる。2つの教室の子どもたちは、とても仲良しだ。
縄跳びを始める子あり、チャンバラをする子あり、剣玉や縄跳びの難しい技を披露してくれる子あり、その間を状況も判断せずに駆け抜けていく子あり(というのは、昇平のことだけれど)、とても賑やか。普通の教室でこれをやったら、絶対に叱られるだろうなぁ。でも、ゆめがおかの2つの教室ではそれが認められている。
もちろん、先生たちは常に子どもたちの様子に目を配っていて、時折、子どもたちに注意を促している。「○○ちゃん、まわりのお友達の様子をよく見てやるんだよ」
「やってはいけないよ」ではなく「気をつけてやりなさい」。禁止ではなく、どこに気をつけたら良いかを促す指導。
ふと、昇平たちがとてもうらやましい気分になってしまった。

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8時15分、朝の読書タイムが始まった。
子どもたちはそれぞれ、教室の後ろや机の中から自分の読みたい本を取りだし、自分の机で読み始めた。
昇平は漢字の学習の本を読んでいる。なんと、6年生の漢字の本。漢字の成り立ちのイラストが入っているところが気に入っているらしい。
その他にも何冊か読んでいたが、どうやら昇平はお勉強系の本が好きなようだった。

さっきまでのあの賑やかさが嘘のように、静かに本を読み続ける子どもたち。
読書を通して、浮き立っていた気持ちが落ちついていくのが、目に見えて分かる。
読書タイムは10〜15分くらい。子どもたちがすっかり落ちついたところで、朝の会が始まった。

日直が前に出て、朝の挨拶をした後、森村先生が出席をとった。「○○くん、元気ですか?」「元気です!」と子どもたちが答える。この日はみんな元気だったけれど、ときにはきっと「元気じゃないです」とか「風邪をひきました」とか出て来ることもあるのだろう。
さらに、昨日のことを一人ずつ話していく。家でゲームをしたこと、遊んだこと、出かけたこと・・・。昇平は、昨日のことはあまり覚えていなくて、よく話せなかったけれど、上級生は皆、きちんと発表していた。さらに先生も、自分の昨日の様子を話していた。子どもとお風呂に入って、見たいテレビを見逃してしまった話とか、身近で当たり前の話題を楽しく話して聞かせてくれる。
自分について語ること、そして、他人の話に耳を傾けること。
何気ない場面のそこここに、彼らの弱さを補うための練習がちりばめられていた。

黒板に書かれたその日の予定も読み上げられて、一日のスケジュールが一人ずつ確認される。

学校ならば当たり前に行われている朝の会だけれど、森村学級を見ていると、その本当の意義をつくづく思い知らされるのだった。

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というところで、フリー参観「朝の様子」編は終わりです。
明日は授業風景をレポートします。

[02/11/28(木) 16:21]

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