昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
フリー参観・4
フリー参観のレポート、その4。
昇平の小学校では、2時間目と3時間目の間が25分間あって、子どもたちは自由に遊ぶことができる。
ちなみに、給食の後の昼休みも、同じく25分間。
自分の小学校時代を思い出すと、やっぱり同じように午前中と給食後に長い休み時間があったけれど、この程度の時間だったのかなぁ。もっともっと長かったような気もするんだけれど・・・(笑)。
その日は天気が悪かったので校庭が使えず、下学年は体育館で遊んで良いという校内放送が流れた。
昇平も私の手を引きながら、体育館へ。そして、体育館の隅に置いてある跳び箱を出してくれ、と言う。
他の子たちは縄跳びを持ってきて飛んでいる。跳び箱を出してくれ、と言うので、まず森村先生に聞いてみてからにしよう、といったん教室に戻る。(体育館と教室の間は30秒で行き来できる。)案の定、一人では危ないから、跳び箱を出してはいけません、と言われる。
昇平、不満そうな顔をしながら、「お母さん、何して遊ぼうか?」「何して遊ぶ?」と言って母の手を引き、校内をぐるりと一周した。
でも、おもしろそうな場所もないので、また体育館に戻ってみると、3年生の男の子たちが跳び箱を出して、列に並んで飛んでいた。
昇平の喜んだこと。
「ぼくもやる!」と言うなり駆け出して、いきなり横入りして跳び箱を飛び始めた。母はひやっとしたが、上級生はなんということもなく、昇平の割り込みを許してくれた。
跳び箱を飛び越えた・・・というより、よじ登って乗り越えた、と言う方が正しいが・・・その後も、昇平は何度もまた跳び箱を超えようとする。
「一度飛んだら列の後ろに並ぶんだよ」と襟首つかまえて列に並ばせると、こんどは列の中にじっとしていない。ほんの十秒並んでいたかと思うと、あっちへふらふら、こっちへふらふら。気がついてまた列に戻ってくるけれど、とんでもない場所に入っていくので、上級生から『割り込むな!』と言うように押し出されたり。・・・ああ、まったくもってADHD!!(苦笑)
ところが、昇平を前に入れてくれていた別の上級生が、その度に昇平をつかまえて、列に戻してくれる。おかげで昇平もちゃんと自分の番に跳び箱が跳べた。とっても嬉しそうな、にっこにこ顔。
最後の最後まで跳び箱を楽しんで、母に声をかけられてだが、上級生と一緒に跳び箱や踏切版を片づけて、教室に戻った。
あまりにも上級生の対応が自然だったので、昇平に聞いてみた。「あのお兄さんたちとは休み時間によく一緒に跳び箱してるの?」「やってるよ」という答え。やっぱりね。
まだ小さい1年生だから、まだいろいろなことが分かっていないから、ゆめがおかの子どもだから、だから、面倒をみてやらなくちゃいけない。そう思っているのかもしれない。
でも、それにしても、彼らの対応は非常に自然だった。よほど、何度も一緒に遊んでいるのに違いない。そういう中で、自然と昇平をどう扱えば良いのかが分かってきたのだろう。
「ハンディがあるから面倒をみる」のではなく、「一緒に遊びたがっているけれど、まだうまく遊べないところがあるから、面倒をみている」のが、見ていてはっきり感じられて、とても嬉しかった。
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昇平の小学校には、障害児に対して暖かい態度を示してくれる子どもたちが多い。
廊下を歩いていれば、いろいろな場面で昇平と関わる同級生が「昇平く〜ん」と声をかけてくれる。
上級生が昇平に向かって「馬鹿」だの「変なヤツ」だのと悪口を言っているのも聞いたことがない。
交流のある学級や縦割りの掃除班でも、それなりに、仲間として受け入れてもらっているらしい。面倒をみてもらうことも多いけれど、それが自然と行われているのだろう。
普通学級の子どもたちの中に障害ある子どもたちが入って一緒に学ぶことを、インクルージングという。
本当のインクルージングというのは、障害ある子が普通の子たちと同等になっていくことをめざすのではなく、助けてもらうべきところは助けてもらいながら、「同じ仲間」「同じ学校の生徒」として、当たり前に一緒に学んでいくことなんじゃないかな・・・と、そんなことを考えさせられた休み時間だった。
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次回は生活単元と給食のレポートの予定です。
[02/11/30(土) 21:20]