昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
おもらし
昇平は最近、自分の手をズボンに入れて、中を確かめるような行動をしょっちゅうしている。
家の中だけでなく外でもやるものだから、私も森村先生も気になって、「トイレに行きなさい」と言ったり、パンツが濡れていないことを確認してあげたりしていた。
最近、ずいぶんおもらしの回数は減ってきたが、それでも時たま、ほんの少し出てしまうことがある昇平。
気がつかないうちにもれてしまうのを気にして、しょっちゅうパンツを確かめているのかと思っていた。
先日も、近所のスーパーに買い物に行った帰り道、ズボンの中を確かめ始めた。
田圃のあぜ道で人目もなかったので、注意する前に聞いてみた。
「どうしてズボンの中に手を入れるの?」
すると、昇平が答えた。
「パンツを手でお守りしてるの」
はぁ? パンツをお守りしている??
「おしっこでパンツが濡れるのを、手でガードしてるってこと? それじゃ手が汚くなるんじゃ・・・」
「おしっこが出ないように、手で押さえているの」
えっ!?
その後、いろいろとことばを補いながら、詳しい話を聞き出してみた。
どうやら昇平は、おしっこが出たい、と感じたとたんに排尿が起こりそうになるらしい。(実際にはあまりたまっていなくても出そうになる、ということらしい。)
その時、手でおち○ちんを押さえると、排尿が止められるので、それでズボンの中に手を入れていたのだという。
「じゃ、手で押さえないとどうなるの?」と聞いてみると、「おしっこが出ちゃう」という答え。
「(手で押さえるのは)トイレがないときだけだけどね」とも言う。
う〜ん・・・と考え込んでしまった。
昇平は、夜もまだ紙おむつを使っている。夜の間の尿量が減ってこないので、おねしょの卒業まではまだ当分かかるだろう。排尿をつかさどる中枢神経の発達が、まだ未熟なのだ。膀胱もまだ小さいのかもしれない。
でも、おもらしされると洗濯は大変だし、児童館から「おしっこの自立が完全でないようなお子さんはちょっと」と言われたこともあって、1年生の終わりには、おもらししない指導を学校、家庭の両方で強めてきた。
本人だって、おもらししてしまうのが良いことだなんて、少しも思ってはいない。
だけど、どんなに気をつけようとしても、おしっこが出たいと思うと、もう、もれそうになってしまう。(これを切迫性尿失禁というらしい。)そうするうちに、おち○ちんを手で押さえると、尿意をストップできることに気がついたのだ。
手をズボンの中に入れて押さえるのは、本人が一生懸命編み出した、おもらし対処法だったのだ。
☆★☆★☆
昇平は最近、ズボンが濡れるのも異常に気にするようになっていた。
ちょっとでも水が垂れたりすると、あわてて2階に飛んでいって、ズボンをはき替えてしまう。じきに乾くから大丈夫だよ、と言い聞かせても、絶対に従わない。
とうとうズボンが無くなってしまったので、ドライヤーで水のシミを乾かしてあげたら、ホッとしたような顔で「ありがとう」とにっこりした。
急にどうして濡れることを嫌がるようになったんだろう、と不思議だった。そういう感覚過敏はなかったはずなのに。
成長に従って、そのあたりの感覚が過敏になってきたんだろうか、とも考えていた。
ところが、このことについても本人が話してくれた。
「だって、ズボンが濡れてるとおもらししたかと思われちゃうもん」
・・・・・・・・・そうだったのか!!
ズボンの裾の場合は、濡れていてもおもらしと間違われることはないのだけれど、そういうところまではまだよく判断できないらしい。
ただ、ズボンが濡れるとおもらししたと勘違いされるんじゃないか。それだけが気になって気になって、ズボンをはき替えずにはいられなくなってしまうのだ。
☆★☆★☆
今朝も、昇平はおねしょをした。
尿量が増えてきたので、紙おむつをはいていても脇からもれてくるのだ。
シーツの洗濯も、ほとんど毎朝の日課になっている。(そろそろ、もっと吸収量の多い紙おむつを探さなくては)
でも、昇平としてはいつだって精一杯なのだ。
したくてやっているわけじゃない。ただ、どうしてももれてしまうのだ。
ズボンに手を入れて押さえるのは、衛生面から言っても問題はあるので、なにかしら対策を考える必要があるけれど、それでも、こういう本人の気持ちだけは、可能な限り受け止めて、理解して、そしてフォローの仕方を考えてあげなくちゃいけないな、と思っている。
昇平は成長真っ最中。
そのうち、必ずおもらしを卒業できる日がくるはずだから。
[03/05/06(火) 14:24]