昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

自立心

以前から「自分でやる」と言い出していた昇平だが、最近になってそれがいちだんと増えてきたような気がする。

きっかけは、たぶん、一緒にお風呂に入ったときのこと。
脱衣所にまで本を持ち込んでなかなかお風呂に入ってこない昇平に、「やることを忘れてやらない人は〜おばかさん〜♪」「何も言われなくても自分一人でやれる人は〜お利口さん〜♪」とはやし歌のように言ってから(と言っても皮肉ふうではなく、冗談半分、遊び半分のような調子で)、「昇平くんはどっち? おばかさん? お利口さん?」と聞いたら、「ぼくはお利口さんだよ」と言って、さっさと服を脱ぎ、風呂場でもどんどん体を洗って、湯船で30数を数えて上がっていった。
一人でできたこと、素早く行動できたことをうんとほめたら、それで気分を良くしたらしい。
そこから、「ぼく一人でするよ」「ぼく、自分でできるよ」としょっちゅう言うようになった。

翌日の夜は母が中学校の集まりで出かけなくてはならなかった。
「お母さんがいなくてもちゃんと宿題できる?」と聞いたら、「できる!」と言って、本当に漢字練習を終わらせていた。
音読も単元の最後まで読んだと言ったので、それは自己申告制と言うことで、信用して音読カードに記入してあげた。

次の日は、母が夕食を作っているところに来て、「ぼく、漬け物作りたい」と言いだした。
最近はまっているアウトドア漫画の本に、ビニール袋で手軽に作る漬け物が紹介されていたのだ。
「ぼく、自分で作るよ」と言って、本当に自分だけでキュウリを刻んで漬け物にして、自分一人で平らげてしまった。
母は材料と道具を出すのと、塩をふるのを手伝っただけ。
自分一人で作った漬け物は、格別においしいようだった。

そして、昨日の夜。
母は卓球の自主練習に出かけたお兄ちゃんを迎えに行かなくてはならなかった。
昇平は宿題を始めていたのだけれど、いまひとつ調子が出ない。
大丈夫かな〜? と思いながらも、時間になったので「この続きは一人でできる?」と聞いてみた。
「できるよ!」むしろ嬉しそうな声。
「漢字練習の後、今日はチャレンジもあるよ。どこでも良いから好きなページを一つやってね」と言い残して、私は迎えに出た。でも、正直、チャレンジのほうまでは無理だろうな、と思っていた。

帰ってみると、昇平が得意そうな顔で報告してきた。
「ぼく、勉強終わったよ! チャレンジもやっちゃったよ!」
あら〜、すごい。チャレンジはどこをやったの?
「えーっとね、算数。計算だよ」

え? と思った。
算数で残っていた計算問題と言えば、彼がすごく苦手意識を持っていて、絶対に手を付けようとしなかった、くり下がりのある引き算の筆算だけのはず・・・・・・?
見てみると、やはりそう。
あれほど嫌がって飛ばしていたくり下がりのある筆算を、自力で解いていた。問題もほとんど正解している。
「すごいね〜! よく頑張ったね、えらかったね〜!!」
もう、手放しでほめた。
自分で勉強ができたこともすごい。でも、それ以上に、自分の苦手に自分から挑戦してみようと思った、その気持ちがすごいと思った。

   ☆★☆★☆☆★☆

今でも、何かというと外で手をつなぎたがるし、寝るときには母にくっついて眠る昇平だけれど、少しずつ、少しずつ、自分でやれることが増えて、自分に自信を持つようになってきている。
そうして、いつの日にか、昇平も自分の力で生きていくようになるのかもしれない。
母から遠く離れた場所で、自分自身を信じて。

「自分でやるよ」「一人でできたよ」
誇らしそうな顔で言う昇平。
そんな彼を見ていると、頼もしくもあり、ちょっぴり寂しくもある複雑な母の心境。
でも、やっぱり成長は嬉しいから・・・全部嬉しいということにしておこう。(笑)

[03/07/04(金) 14:12]

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