昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
昇平の昔語り
最近の昇平がよく言うことばに「ぼくが若かったときはね」というのがある。
おいおい、キミはまだ7歳だろうが。若かったって言うのはねぇ・・・
と、野暮なつっこみをしたくなるのをぐっとこらえる。
これは、幼稚園の年長から小学校低学年くらいの子どもがよく口にすることばなのだ。
「ぼく、昔はね・・・」というバージョンもある。
聞いた大人は、思わず吹き出しそうになるのだけれど、時間のたつスピードが大人とはまったく違う彼らにとっては、1年前だって昔の出来事。まして、2,3年前の話ということになれば、大昔のことになってしまうんだろうな、とも思う。
それより、そうやって昇平が過去の出来事を思い出して、自分のことばで語れるようになったことに、また成長したなぁ、と感動してしまう、感激屋のこの母。(笑)
「ぼく、若かったとき、保育園でレールのブロックで遊んだよ」と言い出したときにはびっくりした。
レールのブロックがあったのは、昇平が入園した保育園ではなく、就園前に通った子育て支援センターだったから。
子育て広場では、保育園の一角を使って、その日の朝、申し込んできた未就園児とその親を対象に、プレ幼稚園的な活動を体験させた。昇平はそこにあったレールと乗り物のブロックが大好きで、行くたびにそれで夢中になって遊んでいたのだ。
でも、それは満4歳までのこと。まだまだ夢の中にいるような状態だった昇平が、まさかその頃のことを覚えているとは思わなかった。
2年前、お兄ちゃんの子ども会の旅行で、家族四人でTDL(東京ディズニーランド)に行ったことも、ちゃんと覚えていた。
具体的に話を聞いてみたら、アトラクションの名前などは言えなかったけれど、トゥモローランドにあったゲームコーナーでシューティングゲームをしたことや、スター・ツアーズで隕石に当たりそうになったことなどをしっかり話してくれた。「あの石(隕石)は嘘なんでしょ?」なんてことまで言っていた。
一番詳しく覚えていたのが、ゲームコーナーにあったゲームの種類だった、というところは笑えたけれど。
あの頃の昇平は話も上手にできなかったし、思い出話なんかも全然してくれなかったけれど、でも、ちゃんと印象的なことは記憶にとどめていてくれたんだ。
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こんなことを思い出しているうちに、ふと、しばらく前に昇平が保育園時代の思い出を語ってくれていたことを思い出した。
それこそ、初めての思い出話だったので、そのときの話をメモに書き付けておいたのだけれど、忙しくて日記に載せられないでいるうちに、そんなことがあったのを忘れかけていたのだ。
メモ用紙の束を探したら、まだ残っていた。
こんな内容。
昇平「ぼく幼稚園生だったとき、おばかさんだったよ」
母 「ふーん。どんなふうにおばかさんだったの?」
昇平「先生の言うこと、きかなかった」
「演奏マーチのとき(勝手に)教室にもどってた」
「ひまわりさん(年中)のとき、お弁当のフタに給食入れてた。(ちゃんと)全部食べないとダメ、って叱られてた」
先の二つはともかく、最後の話には思わず胸が詰まった。
偏食が激しくて、保育園の給食が食べられなかった昇平。
なんとか食べられるようになってほしくて、給食のプレートから弁当箱のフタに、食べられそうなものだけを先生が取り分けて、「昇ちゃん、これだけは全部食べようね」と指導されて、徐々に、徐々に、食べられるものが増えてきた。
だけど・・・昇平としては辛かったんだろうな。
がんばって全部食べるんだよ、っていう先生の声援は、昇平には叱られているように聞こえていたのかもしれない。
でも、昇平はこんなことも話してくれていた。
昇平「でも、ちょっといいこともあったよ。お昼寝して(いるときに)本を読んだ」
入園前から昼寝の習慣がなくなっていた昇平は、他の子達が昼寝している間、布団の中で静かに本を読んでいて良い、と言われていたのだ。
本が大好きな昇平。そのときだけは邪魔されることもなく、思う存分好きな本が読めたから、昇平にとっては最高に楽しい時間だったのかもしれない。
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アサクラ・タウンの常連の理尚さんにも言われたことだけれど、子どもがそうやって語る過去には、紛れもない真実が含まれている。
大人が良かれと思ってやらせていることの中に、子どもの気持ちを無視した押しつけがたくさんあるのかもしれない。
こちらが思い違いをしていて、子どもの本当の気持ちに気づけないでいるのかもしれない。
こちらが予想していない喜びも、あるのかもしれないけれど・・・。
後になってから「あのころのお母さんはホントに怖かったよなー」「ぼくの気持ちなんか全然分かってなくてさ」なんて言われてしまわないように。
一方的な愛情にはならないように。
そんなことを改めて考えさせられた、昇平の昔語りだった。
[03/07/22(火) 16:54]