昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

怖い夢

最近、昇平は時々夢の話をしてくれるようになった。

ある朝、声をかけて起こしたら、着替えのために隣の部屋に移動しながら「夢だったのかー」と言った。
「あら、夢を見たの?」とたずねると、「うん」と答えて、そのときはそれで話が終わった。

ところが、その夜、お風呂に入りながら夢の内容を教えてくれた。
「ぼく、こわーい夢を見たんだよ」
「怖い夢? どんな?」
「あのね、ぼくがトイレに入っているとね、外からドンドンドンドンって・・・」
「ドアをノックされたの?」
「うん。そしてね、外から声がするの。『目玉を返せ〜! ぼくの目玉を返せ〜!』って」
「えー、それは怖い夢だったね」
「そしてね、こう見たら(右手を見下ろす格好をする)、ぼくの手に目玉があったの」
げげげ・・・それは本当に怖い夢だ!

後から聞いた話によると、どうやら、それはどこかで聞かされた怪談の内容だったらしい。
たぶん、失明して死んだ男の子の幽霊が出てくる話だったんだろうと思う。
そう言えば、少し前から、「目玉ってこうやると(手で外すような動作をする)取れちゃうの?」と何度か聞いていたっけ。
「目玉はそんなことでは取れないよ」と答えると、ようやく納得したようだったけれど。

そして、一昨日。
ふと、昇平がこんなことを言った。
「ぼく、『目玉を返せ』の夢をもう一度見たいな」
「え。だって怖いでしょう?」
と私が言うと
「今度は、『目玉を返せ〜』って言われたら、はいよ、って目を返してあげたいんだ」
と答えた。
昇平の顔は真剣だった。

そうだね。そんなふうにしてあげたら、その子の霊も成仏できるかもしれないね。
答えるともなく、そんなふうにつぶやいた、私だった。

[03/09/18(木) 10:06]

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