昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
お詫び
昨日の話。
母は外で仕事の日なので、昇平は学校が終わってから児童館に行き、夕方、おじーちゃんの迎えの車で家に帰る。
その後、昇平は二階に上がり、おばーちゃんやお兄ちゃんが帰ってくるまで、ひとりで思いつくままに遊んでいる。
昨日はひとりでテレビゲームをしていたらしい。
そこへ、おじーちゃんが様子を見に上がってきて、部屋をのぞいた。
すると昇平、「おじいちゃんは来ちゃダメ!」と言わんばかりに、ドアをバタン! と閉めてしまったのだそうだ。
実は、これまでにも同じようなことは何度もあったらしい。
昇平はひとり遊びに夢中になっているときに誰かに邪魔されるのは好きではないし、特におじーちゃんは、部屋を散らかすなとかうるさく騒ぐなとか言ってくることが多いものだから、子どもたちから煙たがられているのだ。
もちろん、おじーちゃんは面白くない。
昨日はさすがに「コラッ!!」と大声で叱ったらしい。
とたんに、昇平は部屋の中から「ごめんなさい!」と謝った。
それで、おじーちゃんもそれ以上は叱らずに、階下に下がってきた。
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このとき、おばーちゃんは階下の台所で一部始終を聞いていて、何が起こっているのか察していた。
すると、すこしたってから昇平が台所に下りてきた。
そこで、おばーちゃんが
「さっき、昇平くんはなんでおじいちゃんにコラッて怒られたの?」
と静かに聞いてみたところ
「ぼくがドア閉めたから」
という昇平の答え。
「じゃあ、これからおじいちゃんに怒られないためには、どうしたらいいかな?」
とおばーちゃんが聞くと
「もうドア閉めない」
と昇平は言ったのだという。
答えの誘導などはしなかったのだけれど、自分でちゃんと自分の行動が悪かったことや、これからどうすれば良いかの対処法を考えつけたんだ、とおばーちゃんは感心したのだそうだ。
その後、昇平は台所の冷蔵庫を開け、前の日に作ったゼリーを出した。
ゼリーを皿に取り分けるのはおばーちゃんに手伝ってもらったが、それを自分で食べるのではなく、茶の間のおじーちゃんのところへ運んでいったのだという。
それから、もうひとつゼリーを皿にのせて、それはおばーちゃんに。
「昇平くんはゼリーを食べないの?」
とおばーちゃんが聞くと、
「ぼくはいらない」
と言って、また二階に上がっていったという。
もちろん、おばーちゃんが昇平に何か指示したわけではない。
どうやら、自分なりにおじーちゃんにお詫びをしようと考えて、さらに、おじーちゃんだけでは不公平だと考えて、おばーちゃんにもゼリーを出したらしい。
「昇平くんは、我々が考えているよりずっといろんなことを頭の中で考えているみたいだね」
とおばーちゃんはすっかり感心していた。
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ちなみに、昇平がお詫びに持って行ったゼリーを、おじーちゃんはきれいに食べてくれていた。
良かったね、昇平。
[03/10/15(水) 09:25]