昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

つけなかみかみ

昇平の国語の教科書に「かさこじぞう」という教材が載っている。(いわさききょうこ・文)
いわゆる「かさじぞう」のことだ。
音読の宿題は教科書のどこを読んでもよいことになっているので、昇平は時々、この「かさこじぞう」も読んでいる。物語的にはよく知っているし、楽しいお話でもあるのだけれど、方言がたくさん出てくるのでちょっと読みにくそう。その中に「つけな」ということばが出てきた。

売り物の笠を全部お地蔵様にかぶせてしまったじいさま。明日は正月だというのに、餅もごちそうも、なにもない。しかたがないのでばあさまと、いろりの縁を叩いて餅つきの真似をして、
「それから、二人は、つけなかみかみ、おゆを のんで やすみました。」
と書いてある。
「つけなかみかみ、って何?」
と音読の途中で昇平が聞いてきた。
つけなかみかみ、とは漬け菜噛み噛み、ということ。
「つけな、っていうのはね、漬け物にした菜っぱのことだよ。それを噛みながら、お茶の代わりにお湯を飲んで寝ました、っていうことね」
と説明してやった。
「菜っぱの漬け物のことなの?」
と昇平は不思議そうな顔をしていた。漬け物というと、どうしても、キュウリやナス、白菜というようなイメージがあったのだろう。

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そして、昨日の夕方のこと。
昇平は一緒に夕食を作るのだと言って、エプロンをしめて手伝いをしていた。鍋の材料の白菜やキノコを切っている。
その間に私は野沢菜の漬け物を切って、皿に盛りつけていた。
昇平がそれを見て聞いてきた。
「それ、なぁに?」
「野沢菜漬け。野沢菜っていう菜っぱの漬け物だよ」
すると、昇平の目がきらりんと光った。
「菜っぱの漬け物・・・つけな!?」
私はそんなふうに考えたことがなかったので、ちょっとびっくりしてしまった。
「・・・そう言えばそうだね。うん、これが『つけな』だね」
そうしたら、昇平はもう大興奮。
「ぼく、食べる! つけな食べるよ! おかあさん、お湯ちょうだい!」

実は、昇平、それまで野沢菜漬けは一度も口にしたことがなかった。
それなのに、食べるわ食べるわ。食事が始まる頃には、野沢菜漬けの葉の部分は、すっかり昇平に食べられてしまっていた。
もちろん、お湯を飲みながら、噛み噛みして食べたのだ。(笑)

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国語の教科書のおかげで、思いがけず、昇平の食の幅が広がったのだから、まったく、何がきっかけで変わるか分からない。
この次「かさこじぞう」を音読したときには、「それから、二人は、つけなかみかみ、おゆを のんで やすみました。」の部分を、今までよりずっとはっきり読めるのかもしれないなぁ、などと思っている。

[03/10/19(日) 10:01]

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