昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

法事 〜成長〜

昨日、我が家で法事があった。亡くなった義母(旦那の実の母)の二十三回忌。私は一度も会ったことのない人だけれど、とても賢く優しい女性だったと聞いている。
今回は節目の法事だというので、親戚を招いて行われることになった。親戚14名に家族6名で、20名。旧家ならともかく、我が家ではやはり大きなイベントとなった。読経は我が家の座敷で。墓参りに行った後は、小料理店で昼食を食べていただいて・・・と、掃除も含めて、数日前から家の中がばたばたしていた。

さて、昇平はどうしていたか?
実は、大人たちが法事を準備していることなど、ほとんど気がつかないでいた。(笑)
前日になって、食卓で法事の話が出たとき、初めて「それ、なに?」「どうするの?」と不安そうな顔になった。
もともと、食後にしっかり明日の予定を教えておこうと考えていたので「後で教えてあげるよ」と言ったけれど、昇平はまだ心配そうな顔。そこで、「今ことばで説明してもよく分からないだろうから、ご飯の後でスケジュールボードに明日の予定を書いてあげるよ」と言うと、とたんに安心した顔になった。
ほんの一瞬のできごとだったけれど、それだけ視覚でスケジュールを確認することが生活の中に組み込まれたんだな、とわかって、「おお」と母は感心してしまった。

実際にスケジュールボードに明日の行動予定を時間と共に書き出し、「法事」というのは、お坊さんが来て仏壇の前でお経を上げること、お経というのはこういうので・・・とわかりやすく説明してやると、それでもう昇平は納得して、すっかり落ち着いてしまった。
なんだか精神的にずいぶんたくましくなったなぁ。

   ☆★☆★☆☆★☆

当日、お客様が次々と到着して、家の中がにぎやかになってきた。
郡山からも私の両親がやってくる。
昇平とお兄ちゃんはお客様に挨拶しに階下に下りてきたが、あとは二階の部屋でゲームなどをしていた。ちょっと様子を見にいくと、昇平は部屋のドアも閉めて、ビデオをかけてブロック遊びをしていた。ずいぶん緊張して、表情がなくなっている。大丈夫かな、と心配になったが、とにかく、法事の最中は旦那にそばにいてもらうように頼んでおいた。

全員が座敷に並んで座り、お坊さんが袈裟を身につけて仏壇の前に座る。
すると、昇平が父親と並んできちんと正座しているではないか。
表情もとても落ち着いている。
我が家は曹洞宗なので読経の際に一緒に教典を読むのだけれど、昇平にもそれが1冊渡ってくると、お坊さんの言うページを開いて、一緒にそのページを見ていた。後で旦那から聞いた話によると、ちゃんと皆が読んでいる場所を目で追っていたのだそうだ。
お焼香も、父親に言われるように、ちゃんとお香をひとつまみとって香炉の炭にくべ、手を合わせて拝んだ。
時間にして約20分。昇平はとうとう、最後まで膝を崩すこともなく、声を出して騒ぐこともなく、きちんと座り続けていた。

・・・正直、ものすごくびっくりした。
いや、確かに学校などでは、集会の時にきちんと座っていられるようになって、むしろ他のクラスの子たちより行儀がいいくらいだな、とは思っていたけれど、まさか法事でもそれができるとは思っていなかったから。
旦那も同様だったようで、法事が終わるなり「いや〜、昇平はすごかった! 感動したぞ」と言っていた。
おじーちゃんもおばーちゃん、義姉や義兄、私の両親と言った近しい人たちも、皆一様に感心していた。
「よく頑張ったね」「偉かったね」と誉められるたび、「うん!」と昇平は元気に答えていた。

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その後の昼食の席では、昇平はもう少しリラックスしていて、自分の食べたいものを注文したり、紙製のコースターを集めて回ったりしていた。
特に、コースター集めはいかにも子どもらしい行動で大人たちに受け、皆から寄贈されて大喜びしていた。結局十数枚あつまったのだが、それをどうするのか見ていたら、家に帰ってから、絵を描いたり切ったり穴を開けたりと、楽しそうに工作に使っていた。
その応用力というか、自分で遊びを見つける発想力というか。こういう面の能力は6歳上のお兄ちゃんよりずっと上だな〜、と感じた。何しろ、お兄ちゃんは、コレクションしたらそれは大事にしまっておくものであって、「使う」とか「応用する」とかいう行動はめったにしない子どもだったから。

同じ親から生まれてきても、子どもはひとりひとり特徴が違う。
そして、お兄ちゃんよりずっと遅れているように見える昇平も、ある面ではお兄ちゃんをはるかに上回っていたりするのだ。
それぞれに良いところがある、というのはこういうことなんだろうなぁ、と思った。

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それにしても。
おとーとの結婚式で、じっと座っていることも、集合写真におとなしく写ることもできなかった昇平が、今、こうやって法事にきちんと参列し、皆と一緒に子どもらしい態度で会食できるようになった。
「玲ちゃん、本当に大変だね!」と叔母から言われた子が、今、こんなふうにまで成長した。(この叔母は障害児の親の会の会長もしたことがある人)
適切な対応をまわりから受け続けると、ここまで成長してくるのか・・・と、何とも言えない感動を覚えた一日だった。

[03/11/03(月) 13:22]

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