昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

名誉挽回

水曜日のこと。
学校に昇平のお迎えに行ったら、子どもたちはまだ帰りの準備中だった。
そのまま廊下で待っていたら、突然、がらりと後ろの戸が開いて、ランドセルを背負った昇平が泣き顔で出てきた。
私を見るなり泣きべそをかいたまま「ぼく、お母さんに聞いてもらうことがいっぱいあるの」と言う。
「何を?」と尋ねると、「ぼくね、お給食の時、牛乳をごくごくごくって飲み過ぎちゃったの」。
はぁ?

すると、教室の中から森村先生が笑いながら出てこられた。
「実は、昇平くんは今日なんと3回も叱られちゃって、それを自分でお母さんにお話しする約束になっていたんです」
ははぁ、なるほどね。
ちょっと前に教室の戸の隙間からのぞいたとき、昇平と先生がなにか話し合っているようだな、と思ったら、こういう内容だったわけだ。

とはいえ、牛乳を飲み過ぎたことが何故叱られるのか分からないので尋ねてみたら、森村先生がいきさつを教えてくれた。
今日の給食には昇平の苦手なメニューがあった。昇平は今、苦手克服のため、ほんの少しでいいから、わけられたものをがんばって食べることになっている。それを牛乳で飲み下すのがいつものパターンなのだが、今日に限って(あらかじめ先生に「牛乳を残しておくんだよ」と言われていたにもかかわらず)一気に牛乳を飲んでしまって、「それでどうやって苦手なのを食べるの?」と先生から注意されたらしい。
なーるほど。(笑)

2回目に叱られたのは図工のとき。特殊な台紙に絵を描いてパズルにするのだが、台紙はベニヤ板なのでやり直しがきかない。
それで、「まず画用紙に下絵を描いてから、台紙に色を塗るように」と先生が指示したにもかかわらず、早く色を塗りたくてたまらなかった昇平は、直接台紙に作業を始めてしまい、案の定、失敗して大騒ぎ。「先生のお話をちゃんと聞いていなかったからだよ」と先生から注意されてしまったのだそうだ。
なるほどなるほど。

3回目は掃除の時間。当番になっている1年生の教室で、掃除もせずに学級文庫の絵本を読んでいたのだそうだ。そこを見回りに来た森村先生に見つかってお目玉・・・というわけ。
う〜む、それは叱られて当然ね。(爆)

ちなみに、この3つ目のことは、昇平が帰りの車の中で自分で教えてくれた。ちゃんと先生との約束を守ったというわけ。
その頃にはもう昇平も落ち着いてきて、泣きべそはかいていなかったけれど、「明日も叱られちゃったら、(明日は児童館に行く日だから)ぼく、泣きながらひとりで児童館に行くよ・・・」と言う。
どうやら、明日もまた先生に叱られて、しょんぼり泣きながら児童館に向かう情景を想像したらしい。
そこで、また同じことをやらないようにすれば、先生にはもう叱られないんだよ、と話して聞かせた。


その後、私たちはスーパーに回って買い物をしたのだけれど、昇平の張り切ること、張り切ること。
「お母さん、ぼくいっぱいお手伝いするよ! ひとりで買い物するからね!」
と言って母から買い物メモを受け取ると、本当に自分でカートを押し、メモにかいてあるものを探してはカートに入れていた。とはいえ、こんなふうに自分だけで買い物するのは初めてだったので、カートにカゴを入れ忘れて、野菜を直接カートに乗せてしまっていたけれど。(笑)
でも、母が追いかけて手伝おうとすると
「お母さんはレジで待ってて! ぼく、ひとりでお買い物するから!」
実際には、昇平には売り場の分からないものがたくさんあったので、母がつかず離れずでついて歩きながら、売り場を教えていったのだけれど、本人は自分で買い物している気分満点だったらしい。
買い物を終えて車に乗り込んでから、彼のいわく。
「ぼくがいっぱいお手伝いしたのはね、今日、お母さんにお話ししなくちゃいけないこと(つまり、先生に叱られたこと)がたくさんあったからなんだよ」
はいはい。説明してくれなくても、母にはちゃんと君の気持ちが分かっていたよ。
いっぱいお手伝いをがんばって、名誉挽回したかったんだよね。(笑)


さて、そして翌日。
学校から帰ってきた昇平が、嬉しそうに報告してくれた。
「今日はね、ぼく、一度も先生から『お話聞いていなかったね』って言われなかったんだよ!」
どうやら、今日は全然叱られないですんだらしい。
よかったねぇ。(笑)

[03/11/14(金) 12:58]

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