昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ひとりで買い物をする

さて、今日から一週間、小学校は個別懇談の時期にはいる。
担任と親が子どもについて面談するので、子どもたちはいつもより早く家に帰ることになる。
おかげで母の自由時間は減るのであった・・・いやまぁ、年に一度くらいはしかたないんだけどね。(^_^;)

せっかく早く帰れるのだから、この際、普段なかなかできないことをやらせてみることにした。
スーパーマーケットで、買い物メモを見ながらひとりで買い物すること!
先日も一度挑戦したのだけれど、あのときは突然言われたので、昇平には売り場の分からないものもメモにたくさん書いてあって、結局は母がつかず離れず歩いて、遠くから売り場を教えなくてはならなかったのだ。

今回は、あらかじめ昇平に売り場の分かるものだけをリストアップして、メモに書いておいた。
「たけのこ、こんにゃく、とりもも肉、ぶた肉、ちくわ・・・」
全部で9品になった。
メモは売り場を回る順番で書き出した。これは、昇平のために特別にしたのではなく、普段から母が買い忘れを防ぐためにやっていること。

自分で考えるものも、2つ3つ混ぜてみた。
鶏肉は部位を「もも」と指示したけれど、豚肉は指示なし。いろいろな種類の豚肉の中から、何を選んでくるだろう?
お兄ちゃんが最近気に入っている、インスタント味噌汁の「ゆ○げ」も入れてみた。これだけは、昇平にも売り場が分からない。
案の定、車の中でメモを見た昇平が聞いてきた。
「みそ汁のゆ○げって、どこに売ってるの?」
「お吸い物が売ってる場所にあるよ」
「お吸い物ってどこ? ぼく、わかんないよ」
「ふりかけ売り場は分かるでしょう? あそこのすぐ近くだよ」
「ああ、わかった」
ふーん。ことばだけで教えても、けっこう理解するようになったね。
昇平のお楽しみに「おやつ」という項目も入れておいたけれど、これはいつも自分で選んでいるので、きっと悩まないだろうな、と思った。

   ☆★☆★☆☆★☆

スーパーマーケットに着いたのは1時半頃。昼の買い物客が引いて、一番店が空いている時間帯だ。
これなら、昇平がうろうろと買い回っても、他の客の迷惑にはならないだろう。
「ぼく、ひとりで買えるよ! お母さん、レジのところで待っていて」
昇平はとても張り切っている。
私は密かに昇平の後をついて回って、買い物の様子を観察しようかと思っていたのだが、そう言われて考え直した。
「うん、分かった。お母さんはこのあたりにいるからね。何か分からないものがあったら、ここにお母さんを呼びに来てね」
「はーい!」
昇平は張り切って、カゴを載せたカートを押して売り場に向かった。
途中、勢い余ってかカートを押し損ねてか、カートをゴミ箱にぶつけて倒してしまったけれど、店の人が駆けつけてくれる前に自分で直していた。ほうほう。
ひとりで売り場に向かう昇平を、レジのパートさんたちが見送っている。
実を言えば、ここは母の昔の職場。パートさんたちにも顔なじみが多いので、皆、昇平のことはよく知っている。ひとりで買い物するんだー、という顔で昇平を見てくれていた。

昇平がひとりで買い物している間、母は雑誌売り場で料理雑誌をチェック。う〜ん、こんな余裕は久しぶりのような気がする。
ふと見ると、雑誌売り場の近くに、クリスマスのオーナメントも売っていた。ワイヤーとビーズでできたかわいらしいツリーが、なんと98円! 嬉しくなって2個選んでしまった。

   ☆★☆★☆☆★☆

10分余り過ぎた頃、昇平の呼ぶ声が聞こえてきた。
「おかあさーん!」
でも、困ってSOSを出している声ではない。
「なぁにー?」
と言いながらそちらのほうへ向かうと、昇平がカートを押しながら現れた。
カゴの中には、ちゃんとメモ通りの品物が入っている。
「インスタントみそ汁の『ゆ○げ』だけが見つからないよ」
と昇平が言った。でも、取り乱した様子もなく、とても落ち着いている。
うむむ・・・このあたりは、お兄ちゃんの小さい頃より柔軟かもしれないぞ。お兄ちゃんだったら「見つからない! 見つからない!」とパニックを起こしていたと思う。
いや、それ以前に、お兄ちゃんは迷子になるのが恐くて、とてもひとりで買い物なんかできなかったか。(笑)

「これも一緒に買ってね」
と、手に持っていた料理雑誌とオーナメントをカゴに入れてから、昇平と一緒にインスタントみそ汁を探しに行った。
なるほど、お吸い物売り場にはない。とすると・・・
あったあった、ありました! みそ売り場に一緒に並んでいました。
そういえば、「ゆ○げ」はいつもおばーちゃんが買ってくるから、母も売り場を知らなかったのだわ。

「あ、ぼく、おやつはこれにするよ」
と昇平が言ってカゴに入れたのは、貝柱の干物だった。
昇平の好物なんだけれど・・・あんたもけっこう渋いわよね。(笑)

   ☆★☆★☆☆★☆

レジで精算しながら、改めてカゴの中身をチェックしてみた。
どれも、いつも母が買っているのと同じメーカーのものを選んでいた。
普段からちゃんと見ていたんだねぇ。
鶏肉もちゃんともも肉を選んでいたし、豚肉は、ももの薄切り肉を選んでいた。・・・ものすごく妥当だわ。
しかも、精算している間に、昇平はカートも片づけてくれていた。

「えらかったね。ひとりでちゃんと買えたね」
と誉めると、
「ちゃんとできてえらかったから、お小遣いちょうだい」
と昇平。
ったく、ちょっと誉めるとすぐこれだぁ。(苦笑)
「お小遣いは出ないよ。でも、がんばりカードにボーナスシールを貼ってあげるからね」
と言ったらすんなり納得して引いたところを見ると、ただ言ってみただけなのかもしれないけれど。

買い物かごを手に店の外に出ると、昇平が言った。
「今日は空いてたなー」
そりゃそうよ。そういう時間帯を狙って買い物に挑戦してもらったんだもの。
でも、その声が「今日の買い物は余裕だったよ♪」と言っているみたいに聞こえて、こっそり吹き出してしまった母だった。

初めて挑戦した、ひとりだけの買い物。大成功だったね、昇平。(*^_^*)

[03/12/03(水) 15:27] 日常

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