昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

「断り方」と交渉〜SSTレポート・5〜

先の土曜日にSST(正確にはCSST=子ども向け社会技能訓練)があった。
セッションもこれで5回目。前半が終了したことになる。

今回のセッション名は「上手に断ろう」。
親用に渡されてきたプリントには、こんなふうに書かれている。

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自分の都合の悪いとき(忙しい・他に用事があるなど)や理不尽なお願い(本来やるべきことではないのに無理矢理頼まれてしまうなど)を適切に断ることができるような練習をしました。
 〜中略〜
なかなか断ることができず、我慢してしまうお子さんが多いようです。また、ただ断るだけではかえってけんかの原因ともなりかねませんので、きちんと理由や気持ちを伝えることが大事と説明させていただきました。
ご家庭や学校場面でも重ねて促していただけますよう、よろしくお願いいたします。

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具体的には、いつものようにゲームを楽しんだ後、ロールプレイで断り方の練習をした。
スタッフのひとりが子どもの役になって、自分の係の仕事を強引に他の子に頼んでくるので、それに対して、きちんと理由を言って断る、という内容だったらしい。
理由の言い方は「ぼくは今日は当番じゃないからできないよ。ごめんね」など。
ごめんね、はつけられたらつけた方がよいね、という指導だったようだ。
プリントの最後には、こんなことがまとめてあった。

【じょうずなことわりかたのポイント】
 1.きちんと「できない」と言ってことわろう!
 2.どうしてできないのかも、つたえよう!
(3.さいごに「ごめんね」って言ってみよう!)

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さて、昇平はどうだったかと言うと・・・
実はSSTの問題児となっておりました。(苦笑)

前々回からなんとなく参加を渋るようになっていたな、と感じていたのだけれど、前回あたりから離席したり、セッションを途中で抜け出して廊下に逃げ出したりしていたことが判明。
ロールプレイングも嫌がってやりたがらない。
ただ、自分の番がきて「やって」と言われると、セッション内容の行動はちゃんとやるし、できる。
スタッフのお姉さんでは手に負えなくて、今回は主治医が昇平を担当してくれていたらしい。
さすがに主治医からはあまり逃げ出さなかったらしいけれど、それでもかなり抵抗していたことは、話の端々から伝わってきた。
そういえば、別室で親たちが学習会をしている間、廊下をばたばたと走っていく昇平の歓声が聞こえた気がするけれど・・・あれはそういうことだったのか。(^_^;)

   ☆★☆★☆☆★☆

さてはSSTが昇平に合わなかったか、あるいは、まだ早すぎたか?
即座にそう考えそうになる自分を抑えながら、まずは状況を分析してみることにした。

他の3人の男の子たちは、しかにも楽しそうにSSTを受けているし、そこで学んだことも生活の中で役立っているらしい。
回を重ねるごとにお互いすっかり仲良くなって、セッションが終わってからも楽しそうにボール遊びなどに興じている。
だから、セッションそのものに問題があるわけではない。
とすると・・・?

初回のセッションの「お話の極意を使ってあいさつする」は、しかにもノリノリでやっていたのに、その後のセッションで「面白くない」と言いだしている。
2,3回目のセッションは「信号機」、今回は「上手に断ろう」。
ああ、どちらも昇平がすでに自分なりにできるようになっていることだ。

「ぼくはちゃんとできているのに、どうして練習しなくちゃいけないの?」という気持ちなのだろう。
本人に直接確かめてみたら、やはり、自分は「お利口さん」なのに「悪い子」のような練習をするのが嫌だと言うことらしい。
う〜ん、なるほど。本人の自尊感情が微妙に絡んでいるみたいだな。
相手から怒られる役や嫌なことを押しつけられる役などになって、ネガティブな感情をぶつけられる場面を体験するのも(それが劇ごっこであっても)辛いのかもしれない。これに関しては、母の憶測だけれど。

   ☆★☆★☆☆★☆

けれども、SSTには昇平に必要な内容のセッションもある。
たとえば次回は「ともだちに頼み事をしてみよう」。頼みたくても言い方が分からなくて頼めなかったり、何も言わずに相手の手を引いて要求を通そうとする昇平には、ぴったりの内容だ。
ぜひしっかり受けてほしいけれど、このままではSSTに対する拒否反応のほうが先に立ってしまう。
どうしたらいいかな、と考えて、こんなふうに話してみた。

「CSSTでは昇平くんにもうできることばかりやっているよね。(うなづく昇平。)うん、昇平くんはお利口さんだもんね。(そうだよ、と憮然とした顔で昇平。)でもね、お母さんのお友だちには、それができない子どもがいる人たちがいてね、みんな、とっても困っているの。それで、お母さんに『CSSTってどうやるの?』って聞いてくるんだ。お母さんは教えて上げたいんだけど、お母さんがCSSTを受けているわけじゃないでしょ? 教えられないんだよね。それでね、昇平くんにお願い。お母さんの代わりにCSSTを受けてきて、その後、どんなことをやったかお母さんに教えてほしいんだ」

すると、昇平、難しい顔になって
「でも、ぼく、どうしても嫌なんだ。ごめんね」
ありゃりゃ。さっそく『上手に断られて』しまった。(苦笑)

でも、もう一度、お母さんはCSSTを受けられないこと、でも、どうしても内容を知らせてもらいたいのだということを話すと、昇平は、しょうがないなー、という表情になって
「わかったよ」
と一言答えた。
その言い方が妙に大人びていて、母はちょっと驚いてしまった。
これで次回ちゃんとセッションを受けられるかどうかは、やってみなければ分からないけれど、少なくとも、母の気持ちは汲んで『次回はまじめに参加してみよう』という気持ちにはなってくれたのだと思う。

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昇平の社会性を伸ばすためのSST。母と昇平のSSTにもなっているのかもしれない。

[04/01/12(月) 10:56]

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