昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

人形遊び


この写真は、最近昇平と二人で作っているカービィとその部屋の道具たち。早く乾いて彩色もきれいにできる、軽い紙粘土でできている。
カービィ人形は高さが約1.5センチ。ちまちまと小さな道具たちなのが分かっていただけるだろうか。

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最初、昇平は紙粘土でゲームに出てくるアイテムなどをひとりで作っていた。カラーサインペンで彩色しては、「ほら見て、きれいでしょ?」と持ってきていたのだが、そのうち母を誘うようになり、カービィ人形ができあがってからは、「カービィの部屋の道具を一緒に作ろう」と誘ってくるようになった。
母も実はこういうものを作るのは好きなので、一緒になってベッドを作ったり、テーブルや机を作ったり、食べ物を作ったり・・・。ページを開いた本を作って、そこにずらりとアルファベットを書いてやったら、昇平に大受け。昇平も負けじと、テレビにゲームの画面を描いたり、テーブルに素敵な模様を描いたりしている。
テーブル、机、ベッド、風呂、台所のガス台に鍋やフライパン。ゲームキューブとコントローラー、ゲームのディスクまで作った。わはは〜、カービィのドールハウスができそうだな。

すると、昇平が言った。
「お母さん、携帯作って。ぼく、うまく作れないんだ」
「携帯? えーと・・・開いたところの形でいいね?」
携帯電話まで欲しがるんだから、今時の子どもだなぁ、なんて思いなから、ちまちまと小さな携帯電話を作る。
その間に、昇平は葉っぱを作っていた。
「ほら、葉っぱだよ。上手でしょう?」
うん、上手にできているけど・・・なぜに葉っぱ??

すると、昇平がまた言った。
「お母さん、あとでこれを使って『お出かけカービィごっこ』をやろう」
どうやら、紙粘土の人形を使って、人形ごっこをやりたくなったらしい。
「うん、いいよ。夕ご飯が終わったら一緒に遊ぼうね」
と答えたけれど、正直、それほど期待はしていなかった。きっと、人形や道具を部屋に並べて、ちょこっと一緒に遊んで、すぐに飽きてしまうんだろうな・・・。

さて、約束の夕食後。
空き箱に家具を並べ、カービィを置いて、素敵なカービィの部屋のできあがり。
カービィはそこで寝起きをして、食事を作って食べて、学校に行く。散歩にも行く。冒険にも行く。
なるほど、『お出かけカービィ』ね。
ところが、カービィを動かす役は昇平ではなく、私。昇平はストーリィを作って、どんな場面なのか教えてくれる役になっていた。
「裏山に行ったらスライムが出てきたんだよ。カービィ、どうする?」
う〜ん、RPGで言うところの『マスター』役だわ。つまり、これは昔懐かしいテーブル版RPGのフィギュアというわけなのね。
最近、オリジナルゲームにはまっている昇平らしいなぁ、と思わず笑ってしまった。

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すぐ飽きると思ったのに、昇平は『お出かけカービィ』がよほど気に入ったらしい。
それから毎晩のように誘ってくるようになった。
空飛ぶ円盤に乗って宇宙に行く話になったこともあった。
不思議なバスに乗って洞窟探検に行き、そこで敵と戦ったこともある。
ベッドに寝起きして、食事を作って食べて、学校に行ってお風呂に入って、勉強して・・・といった日常生活の中に、そういった非日常的なアクションが入り込んでくるところが、何ともおもしろい。
でも、思い出してみると、私が小さい頃にやっていた人形遊びも似たようなものだったかもしれないなぁ。
妹たちとよくリカちゃんごっこをしたけれど、私がストーリィを進めるときには、決まって舞踏会があったり、雪山で雪崩にあって遭難したり・・・。う〜ん、そのあたり、親子で似ているのかも?(笑)

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ところで、昇平のカービィ人形遊びには、必ず出てくる脇役がいる。
名前はキービィ。カービィにそっくりで、黄色い色をしているのだそうだ。
この子はカービィの友だち。姿は見えなくて、昇平が自分の手の指などで動きをやって見せたりする。(カービィの部屋をたずねてくるところとか、椅子に座るところとか)
毎朝、カービィが起きると、キービィから携帯に電話がかかってくる。
「おぅ、カービィ、起きたか。おれ、これから仕事だよ・・・」
どうやら、カービィより少し年上という設定らしい。ちょっと兄貴ぶった口調が、なんともまたおもしろくて。
キービィはカービィと一緒に冒険にいくこともある。

それから、カービィには時々スライム(倒されて仲間になったらしい?)の郵便屋さんが手紙を運んできてくれる。
葉っぱの裏に書かれた手紙。・・・そう、あの葉っぱは「手紙」だったのだ。
文面はその時々で昇平がオリジナルに読み上げてくれる。
「○○をプレゼントします。カービィへ」とか「すごい効き目の薬ができたから飲んで下さい。キービィより」とか。
葉っぱの手紙は、たぶん、1年生のときの国語の教材の内容から思いついたのだろう。

携帯電話、葉っぱの手紙、透明人間のキービィ、スライム郵便屋さん、ことばを話す乗り物たち・・・。
昇平の世界の中に「お友だち」や「仲間」が現れて、それが回数を重ねるごとに実在感を深めていくのが感じられて、それがすごくおもしろい。
昇平の内面の世界を、そのまま人形たちが映し出しているのかもしれないなぁ。

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ところで、最近昇平はキービィが透明人間のままでは具合が悪いと感じるようになったらしい。昨日はとうとうカービィそっくりのキービィ人形を作った。今日はだいたい乾いたので、昇平が学校から帰ったら色を塗ることになっている。

ピンク色のカービィと黄色のキービィ。
きっと、一緒になっていっぱい冒険したり、遊んだり、生活したり・・・するんだろうな。

[04/02/02(月) 10:26] 日常

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