昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
熱を出す
昇平が昨日から熱を出して学校を休んでいる。
一時39.1℃まで上がったので、あわてて小児科に連れて行って、インフルエンザの検査も受けた。
検査結果が出るまでの15分間、私と昇平は病院の個室で待たされたのだが、昇平は『ここで僕はなにをされるんだろう?』と不安になってしまって、半分パニック状態で私に抱きついていた。診察室から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声に悪態をついたり、「これからどうなるの?」と泣きべそをかきながら連発したり。いくら「ただ検査の結果を待っているだけなんだよ」と教えても、実際に待合室に呼び戻されて結果を聞かされるまで安心しなかった。
検査の結果は陰性。処方された抗生剤と解熱剤を飲ませたら、とたんに元気になって食欲も出てきた昇平だった。
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昇平は多動・衝動性や不注意といったADHDの症状の他に、かなり重度の認知困難も抱えている。
見ていてもその場面の意味がよく分からない。ことばで説明されても、なかなか意味が分からない。
本人に分かることばを使ってゆっくり丁寧に説明すれば、理解できることは多いのだけれど、不安な気持ちが強かったり、焦ったりすると、とたんに説明も頭に入らなくなってしまう。
これって、ことばも習慣も良く分からない外国に、一人ぽんと投げ込まれたようなものだな、とよく考える。
私にも覚えがある。
アメリカに仕事で3週間ホームステイしたとき、本場の早口で訛りのある英語について行けなくて、毎日へとへとになっていた。
周囲の人の会話に耳を傾け、目の前で起きていることから、これからどうなるかを読み取ろうと必死だったけれど、アメリカと日本では生活習慣が違っていて、いくら観察しても分からないことがたくさんあって、それがまた大変だった。
ホームステイはいろいろな意味で勉強になったけれど、毎日がとてつもない緊張と疲労の連続だった。
現地の人と交流するためにステイしているのだと分かっていても、訪問先ではその家の犬や猫とばかり遊んでいて、「レイは動物が大好きだねぇ」とホストたちから言われたり。
いや、確かに動物は好きだったけれど、実際には、ことばを使わなくても交流できるのが楽だったから、犬猫を相手にしていたんだよね。(苦笑)
相手とコミュニケーションできる自信がないと、相手の視線から逃げて目を合わせないようになることも、自分で経験した。
場に合った適切な行動をとれないと、そのことで、自分自身をものすごいダメ人間に感じるようになることも体験した。
昇平は、日本に生まれて、日本で育ってきた子どもだけれど、認知困難があるために、ちょうどあのころの私と同じように、意味が分からず、状況が読めず、不安でたまらない気持ちになりやすいんだろうと思う。そして、ひとたび不安が強まると、ますます認知が困難になってきて、理解不能になり、パニックに陥ってしまう・・・。
これを防ぐためには、とにかく、毎日の生活を昇平にとって分かりやすく、見通しの立てやすいものにするしかない。それが本人の中に安心感を育み、理解のための土台となっていくから。
ことばを選ぶ、説明をする、観察させる、実際に体験させる、文字に書く、絵や図で分かりやすくする・・・
そうする中で、少しずつ、「自力で情報を読み取っていく力」を育てていくしかないのだ。
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今回の発熱は、どうやら疲れからきたものだったらしい。
そういえば、3学期になってから昇平は協力学級での教科がひとつ増えていて(生活科)、毎日のように協力学級での授業をがんばっていたようだし、最近は、卒業生を送る会の練習などでも忙しくなっていた。そこに加えて、母は仕事が忙しくなって、あまり昇平をかまってあげられなかったし。
3月に入ってから昇平は不安定なことが多くて、家庭の中でもしょっちゅうトラブルを起こしていたのだけれど、きっと、かなり疲れていたんだろうなぁ。気がついてあげられなくてかわいそうなことをしてしまった、と改めて思った。
昨夜は薬が切れてからまた38.8℃まで熱が上がった昇平だったが、今朝には36℃まで下がり、今のところ解熱剤も必要がないくらい元気にしている。学校は休ませたけれど、食欲もある。
昨日は、母に食事を食べさせてもらったり、着替えさせてもらったり、添い寝をしてもらったりと、甘え放題だった昇平。
これでリフレッシュして、また元気に学校に行けるようになりますように・・・。
[04/03/11(木) 10:12] 日常