昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
自転車の練習
年度末なので、今週は小学校も連日4校時。
そろそろ季候も良くなってきたので、昇平はおじーちゃんに誘われて、庭で自転車乗りの練習を始めた。
昨日はちょうどおばーちゃんも仕事が休みで家にいたので、おじーちゃんとおばーちゃんの二人がかりで、練習をすることになった。
自転車にとても憧れていた昇平は、倉の奥から従兄弟から譲られた自転車を出してもらって大喜び。さっそくまたがってみたらしい。
ところが、彼は自転車が「基本的には倒れる乗り物」だということをまったく知らない。
自転車の後ろを押さえているおじーちゃんやおばーちゃんに「手を離せ」と言って、すぐにでも乗れる気でいたので、非常にあぶなっかしかった、とはおばーちゃんの話。
おばーちゃんがギブアップした後は、おじーちゃんに後ろを押さえてもらって走ろうとして、二人で転びそうになったりしていたらしい。
結局、生まれて初めての自転車の練習は10分か15分で終わり、その後、昇平は庭仕事をするおじーちゃんのそばをうろうろしながら遊んで、3時頃家に入ってきた。
ここまでは、まあ、よくある状況。
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ところが、夕方、おじーちゃんがやたらと機嫌が悪い。
昇平に自転車を教えようと張り切っていたのに、昇平の覚えが悪いものだから、がっかりして怒っているんだろうか、と思い、おばーちゃんにそっと聞いてみた。
すると、おばーちゃんが「自転車に補助輪をつけよう」と話を出したら、おじーちゃんが怒り出したのだ、という。
「金をかけてそんなものをつけさせることはない!」と。
ははぁ、なるほど、と思った。
昇平は普段、おじーちゃんにあまり反応が良くない。
悪気はないのだが、おじーちゃんは耳が遠いし昇平は話が上手ではないので、お互いに意思疎通がうまく行かなくて、昇平のほうで敬遠しがちになっていたのだ。
おじーちゃんは昇平がかわいいし、昇平のほうでもおじーちゃんが好きで、おじーちゃんのお手伝いをしたり一緒に遊んだりしたいと考えているのだが、どうしても思いがうまくかみ合わない。
ところが「自転車の練習をするぞ」と言うと、昇平は大喜びでおじーちゃんの元に飛んでくる。自転車に乗るときだけでなく、その後までも、おじーちゃんのそばにいたりする。
おじーちゃんとしては、補助輪などつけてしまったら自分の出番がなくなってしまうので、補助輪の話を出されて機嫌が悪くなってしまったのだ。
それならば、もうしばらく、補助輪なしでおじーちゃんに任せてみるのが良さそうだね、とおばーちゃんと話し合った。
昇平は、バランス感覚や運動機能の発達の課題も抱えているから、そう簡単に乗れるようになるとは思えないけれど、おじーちゃんがやってみようと思っている間は、お任せしておいても良いだろう。
実際、自転車の練習をしている間、おじーちゃんと昇平はとても楽しそうだった。
それを二階の部屋で聞いていたお兄ちゃんが、ぽつりとこうつぶやいた。
「昇平に自転車を教えられて、おじいちゃんも嬉しいだろうね」
本当に、そうだっただろうと思う。
「昇平は幸せな子どもだね」
誰にともなく思わずそうつぶやいた母だった。
[04/03/16(火) 14:06] 日常