昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

2年生を終えて

福島県内の公立の小学校では、昨日が卒業式。昇平も無事に2年生を終えて、成績表をもらって帰ってきた。

特殊学級の成績表は、普通の成績表とはちょっと違っている。
評価がすべて文字で書かれてくるのだ。
普通学級だったお兄ちゃんの成績表に慣れていた母は、初めて昇平の成績表を開いたとき、そこに並ぶ文字情報の多さに思わず圧倒されたのだった。
本当に、日々の学校での様子を詳しく観察して、細かく記入してくれている。これを書くだけでも、先生はかなりの時間を費やすに違いない。成績表に向かって、思わず手を合わせたい気持ちになったのを覚えている。

成績表には、国語・算数・音楽・図工・体育といった教科学習の他に、生活単元学習や日常生活の指導、といった、特殊学級ならではの項目がある。
参考までに、今学期、昇平の成績表にどんなことが書かれてきたか紹介してみよう。

   ☆★☆★☆☆★☆

【生活単元指導】
「冬の遊びを楽しもう」では、雪玉遊びだけでなく、薄氷やつらら探しをして楽しみました。雪の模様が何に見えるか友だちと楽しそうに話していました。

【日常生活の指導】
給食の配膳では、おかずやデザートを同じ数ずつ配ることができました。正しく食器を持って食べられるようになったので、こぼしてしまうことは、ほとんどなくなりました。

【国語】
単語の意味をたずねられると、じっくり考えて説明することができました。すぐに答えが思い浮かばない時は、時間を与えられると安心して答えることができました。

【算数】
「10000までの数」の学習では、10集まると次の位にくりあがることを正しく理解しているので、上級生がやっているさらに大きな数の問題もすらすらといていました。

【音楽】
「木のはゆうびん」の歌では、みんなと一緒に輪唱することができました。「森の音楽会」の鑑賞曲も、曲の雰囲気を感じ取って楽しそうに聴いていました。

【図画・工作】
「折りがみで遊ぼう」では、友だちと格好良さを競い合って飛行機を作ったり、教室の季節の飾り付けをみんなと仲良く作ったりして楽しんでいました。

【体育】
平均台遊びでは、少しずつバランスをとりながら平均台を渡ることができました。なわとびの学習では、短なわの前とび、後ろとびに意欲的にチャレンジしていました。

   ☆★☆★☆☆★☆

3学期だけでなく、他の学期の評価を読み返してみると、「意欲的に学習活動に取り組んでいた」「みんなと仲良く活動を楽しんでいた」という内容の文章があちこちに見られる。
これは、本当にすごいなぁ、とつくづく思っている。

正直、昇平が抱えているハンディキャップは決して軽くはない。
なんでも人並みになるように要求したり、人より良い成果を出すように強要したりすれば、あっという間に自信を失って精神的に崩れていくのは目に見えている。
特に、最近は自分のことだけでなく、まわりの様子もよく見えるようになってきている分、自分自身で「できない自分」に気がつく機会が増えてきて、自己評価が下がる可能性は大きくなっているのだ。
けれども、昇平は、学校でのあらゆる活動に「でも、やってみよう」「がんばってみよう」と前向きに考えられるようになっているし、実際、その成果も出てきている。
人と関わることも彼にはなかなか難しい課題なのだけれど、ゆっくり確実にその幅を広げているのが見える。
いかにクラスで適切な対応を受けているか、がはっきり分かる。

特殊学級を選ぶか、普通学級を選ぶか、あるいは養護などの特殊学校を選ぶか。
それは子ども1人1人のニーズや環境によって違ってくることではあるけれど、自分に合った学習環境にいれば、その子は必ず意欲を持って学校生活に取り組むようになる、とは確実に言えると思う。
そして、意欲を持って過ごせる学校生活は、(時には嫌な思いをすることはあっても)全体的に楽しいものになっていく。
昇平は今年一年間も、ただの一度も「学校はイヤだ」と言わなかった。
「学校に行きたくない」と言ったのも、たった一度しかなかった。でも、この時は、風邪をひいて熱を出していたのだから、当然と言えば当然のことだ。
昇平は今、彼が受けられる対応の中で、最高のものを受けて成長している。それだけは、母も力を込めて認めたいと思う。

   ☆★☆★☆☆★☆

今年ゆめがおかを卒業していったHちゃんのお母さんから、昨夜電話があった。
小さな花束をプレゼントしたので、そのお礼の内容だったのだが、もらった電話でこちらも2年間お世話になった感謝の気持ちを伝えた。
本当に、Hちゃんという優しい女の子がいてくれたおかげで、昇平はとても順調に小学校生活を進めることができた。
困っているとき、なにか分からないことが出てきたとき、Hちゃんはすぐに助けの手をさしのべてくれた。
準備などを忘れているときには、様子を見て声をかけてくれた。
昇平がうまく思いを伝えられないでいるときには、さりげなくフォローもしてくれた。
いつもいつも昇平を助けてくれて、でも、親切を押しつけるわけでもなく、必要なときに必要なタイミングで助けてくれる。その心配りが本当にありがたかった。
そんなHちゃんだったから、クラスの男の子たちもみんなHちゃんが大好きで・・・。

でも、そんなHちゃん自身も、不登校になって苦しんでゆめがおかに移籍した経緯がある。
Hちゃんが持ち前の優しさを充分に発揮できたのは、やっぱりゆめがおかという学級のおかげだったのではないかな、と私は考えている。
ゆめがおかの子どもたちは、みんなとても繊細な心の持ち主だ。
学級は、その心を護りながら、チャレンジしたりがんばったりできる環境を約束してくれている。
だから、みんな安心して学校生活に取り組み、充分にその力を発揮できるようになるんだろう。
これは、やっぱり、本当にすごいことだと思う。

願わくば、日本中にそういう学級がひとつでも多く増えていきますように。
そして、この春ゆめがおかを巣立っていったHちゃん、Fくん、Kくん、Aくん、Hくんの5人が、同じく充実した中学校生活を送れるようになりますように。
そう祈りながら、春の空を見上げている。

[04/03/24(水) 08:03] 学校

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