昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

がんばった遠足

水曜日に遠足があった。
1,2年生のときは学校の裏手の山にある公園まで歩いていって、そこで遊んできた。
3年生の今年は、神社や寺を2カ所ほど回ってそこで遊んでから、最終的には1,2年生と同じ公園で昼食をとる、というルート。今までに比べて長い距離を歩かなくてはならない。

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前の日、児童館に迎えに行ったら、昇平がやたらと荒れていた。イライラと落ち着かない感じ。「どうしたの?」と聞くと、「あした遅れないかなぁ」と言った。翌日の遠足が心配で、不安定になっていたらしい。
家に帰ってからはイライラした様子はなくなったものの、とにかく、落ち着きがなくて危なっかしい。ゲームがやめられなくなって、いつまでもお風呂に入らないものだから、久しぶりに母に雷を落とされ、あわてて「2倍の速さでお風呂に入った(本人談)」りしていた。

そんな様子だったから、遠足当日、母は昇平が落ち着いて過ごしているかどうか気になっていた。
普段、学校に行くにも車を使って、ほとんど歩くことをしていなかったので、ちゃんと歩ききれるかどうかも心配だった。昇平には今回、森村先生が付き添ってくれたのだが、「先生、もう歩けない〜」なんて言って、おんぶされたりして・・・などとも考えていた。
その日は天気は良かったが、風がとても強く、昇平たちはどんなふうに過ごしているのだろうか、と何度も窓の外を眺めてしまった。

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さて、学校到着予定時間の少し前、私は車で迎えに行って、昇平が戻ってくるのを待っていた。
そこへ、2年生と3年生が並んで次々とやってきた。2年生は元気な顔でまだ余裕がありそうだったが、長い距離を歩いた3年生は、どの子もさすがに疲れた顔をしている。
昇平の今年の協力学級は3の3なので、到着は一番最後。さて、どんな顔でやってくるやら。そう思いながら眺めていると、森村先生の姿が最後尾に見えた。
ああ、来た来た、と思っていると・・・

え? 昇平がそばにいない?

てっきり、昇平は森村先生に手を引かれて、やっとのことで歩いてくるだろうと思っていたのだ。
去年はたしか、協力学級担任の田辺先生に手をつないでもらって、学校に帰ってきたはず。今年もきっと、そうなのだろうと思っていたのだが。
森村先生の後ろに、もう子どもたちはいない。え〜? 昇平はどこ? どこにいるの?
あわてて先に到着した子どもたちの中を探したけれど、昇平の姿が見つけられない。
と、思ったら、座った子どもたちの中からついっと立ちあがって、あたりを見渡した子がいた。・・・昇平だった。
今までのように先生に近い場所ではなく、3の3の列の真ん中あたりに、他の子たちと同じように並んで座っていたのだ。

昇平が立ち上がったのは、母の迎えを探していたからだった。私はこの時、まだ車の中で待っていたので、急いで車から降りようとしたが、そこで思い直した。
ここで母が姿を見せたら、去年のように「お母さん、ただいま〜!」なんて駆けよってくるかもしれない。
それはそれでほほえましいかもしれないけれど、せっかく皆と同じように並んでいるのだから、気をひくようなことはしない方がよいのかもしれない・・・
そんなふうにちょっとの間悩んで、また車のドアを閉め直した。
昇平は母の車を見つけたのか見つけなかったのか。列の中にまた座っていった。

そこへ、今年の協力学級担任が、私に気づいてわざわざ挨拶に来てくださった。
3年生はクラス替えがあったので、昇平の担任も変わったのだ。お互い顔を合わせるのは、この時が初めてだった。あわてて車から降りて、ご挨拶をする。今年この学校に転任してこられた女の先生で、名前はみのり先生。
私も163センチと背は高い方なのだが、みのり先生はもっと背が高い。はきはきと元気な口調で、昇平の様子のことを手早く教えてくださった。昼に一緒にお弁当を食べたこと、授業のときには「ぼく、理科がんばるよ」と宣言したこと、実際熱心に取り組んでいること、絵や字を書くのがとても早くて時間をもてあまし気味になること(さもありなん)・・・
「いや〜、昇平くんがかわいくてー!」そう言って、からからっと笑うみのり先生に、『ああ、この先生だったら今年も大丈夫だ』と、とてもほっとした母だった。

母がみのり先生と話していると、昇平が母に気がついた。
列の中から立ち上がって、こちらを見ている。
あ、駆けよってくるかな? と思っていると、昇平はきょろきょろと周囲を見回し、また自分の場所に座りなおした。
まわりの子たちが皆座っているのを見て、自分も座っていなくちゃいけないのだと判断できたのだ。
う〜ん、ここまで君は成長していたんだね。すごい進歩だ。

その後、森村先生とも少し話をしたのだが、遠足の最中、昇平は先生の手をわずらわせることもなく、ばっちり遠足に参加していたらしい。
う〜ん、すごい。すごすぎるぞ。

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以下は、翌日連絡帳に書かれてきた、森村先生のコメント。

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(前の日に荒れたり落ち着かなかったりしたことについて)
初めて長く歩くことが、不安だったのですね。

実際には、とにかく、しっかり歩いていました。一度も遅れず列を乱すこともなく、「完璧」でした。
見学場所でも、三年生の中に入って遊具で遊んだり、虫の観察をしたりと、とっても楽しそうでした。
お弁当のときにはJくん(保育園時代からのお友だち。年長の頃には机を並べて最後まで給食を食べていた仲)に「ぼくと一緒に食べよう」と誘われて、一緒のシートで食べていましたよ。食べ終わってから一緒にかくれんぼをしたことも、後から教えてくれました。

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そうか〜。みんなと一緒に遊べたんだね。お弁当もお友だち(とみのり先生)と食べられたんだ。
協力学級がクラス替えになったこと以外は、去年と同じ最高の体制でスタートを切っている新学期。その成果は確実に現れてきている気がする。

帰ってきてから「遠足、たのしかったよ」と言っていた昇平。
うんうん。本当に、良かったね。

[04/04/24(土) 14:10] 学校

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