昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
先生はロボット!?
先週の金曜日、児童館に迎えに行ったら、昇平が私の顔を見るなり「ぎゃ〜!!」と声を上げた。そのまま、私に駆けよって、息せき切って何かを報告しようとする。「森村先生がね、森村先生がね・・・×△○■※・・・」
まわりがうるさくてよく聞き取れないので、車に乗ってから「どうしたの?」と聞くと、こんな話を聞かせてくれた。
学校でのこと。
磁石にくっつくもの、くっつかないものを調べていた上級生のBくんとDくんが、森村先生の頭にも磁石を近づけてみたら、先生の頭がひょいっと磁石にくっついてしまった。
そうしたら、先生が「自分は実はロボットだったんだ」「お尻にスイッチがあって、胸にはロボット心臓が入れてあるんだ」「だけど、このことは秘密だよ」と教えてくれたのだんだ。どうしよう・・・
いや〜、笑った笑った。大笑い!
先生の話を本気で信じていた昇平は、真剣そのものの顔。「ロボット先生なんか、がまんできない!」と憤っている。
こらこら、ロボットを差別しちゃいけないよ・・・って、そういう話じゃないか。(笑)
ところが、母があまり笑うものだから、その様子を見て、昇平も『これはどうやら本当ではなかったのかも』と考えたらしい。
「これから学校に行って、森村先生に確かめてくる!」と言い出した。
もう夕方だったので、「それは月曜日にして、まず家で、人間の頭が磁石にくっつくかどうか、実験してみよう」と持ちかけ、家に帰った。
さて、部屋で磁石を準備して、実験開始。
「お母さんの頭がくっつくかどうか、やってみてごらん」
昇平が磁石を母の頭に近づけると・・・ひょいっ! 頭が磁石にくっついてしまった。
「あ、あれ?」
一瞬焦った顔をした昇平だが、何度も繰り返すうちに、さすがに気がついた。
「(磁石にくっつく)ふりしてるの?」
「そう、くっつくふりをしたんだよ。森村先生も同じ。磁石にくっつく真似をしただけなんだよ」
「でも、お尻のスイッチやロボット心臓は・・・」
「もちろん、それも全部冗談だよ(笑)」
昇平は、そうかー、という顔つきになった。
でも、その後で母が「これで安心した?」と聞くと
「まだ完全には(安心してない)。学校で確かめてからでないと」というお答え。
う〜ん。なんていうか、慎重派だねぇ。(笑)
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さて、週が開けての月曜日。
ロボットの話などすっかり忘れていた昇平だが、車を降りて学校の昇降口に向かおうとしたとたん
「そうだ! 森村先生に確かめてみるんだった!」
と言い出した。
はいはい、しっかり確かめてちょうだい。(笑)
教室に行くと、森村先生は職員室に行っていて、教室にいなかった。
昇平は紙ばさみになった磁石を手に森村先生を待っていたが、先生が教室に入ってきたとたん、それを戻して口頭で聞きに行った。
「森村先生! 先生は本当はロボット?」
・・・母はもう、大笑いするのをこらえるのに必死。
もちろん、森村先生にしっかり否定してもらい、さらにダメ押しで磁石も近づけて、くっつかないことを確かめて、やっと納得した昇平だった。
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後で聞いた話によると、森村先生は、子どもの頃に手術をした跡が胸にあるのだそうだ。なるほど、それでなおさら「ロボット心臓」がリアルに聞こえたわけだ。
そういえば、家では『から○りサーカス』という、人間そっくりのロボットが出てくる漫画を読んでいたし。そんなこんなで、普通以上に本気にしてしまったのだろう。
それに、森村先生の磁石にくっつく演技も、きっとすごく上手だったんだろうなー。(笑)
子どもによっては、冗談や「ふり」というのがよく理解できなくて、なんでも本気に受け止めすぎて困ることがある。
そういう子には、たとえ親しみの意味合いからでも、冗談を言ったりからかったりしてはいけないのだけれど、昇平の場合は、そのときは本気で受け取っても、後からしっかり説明すれば訂正は可能なので、あまり心配はない。
だからこそ、先生も(そして母も)ときどき昇平にジョークを言う。最近は昇平も賢くなってきて、以前のようにジョークを真に受けなくなってきたので、久しぶりの大ヒットだったかもしれない。
一時、本気で心配していた昇平には悪いけれど、大笑いしながら「まだまだかわいいなぁ」と思ってしまった母だった。
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おまけ。
その夜、シャンプーした昇平の髪にドライヤーをかけていたら、昇平がニコニコして言った。
「ぼく、『ふり』をするよ。あち〜、あち〜! 熱いふりだよ」
さっそく、「ふり」をするジョークを学んだらしい。
SSTのロールプレイングでは、劇のセリフや行動を本気に受け止めすぎて、「ふりをするだけなんだよ」と言われても、なかなか参加できなかったのにねぇ・・・と母は密かにしみじみしていた。
[04/05/19(水) 14:32] 学校 日常