昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ローマ字の暗号

今年の夏休みの昇平の宿題は、算数のプリントと漢字の練習プリント、音読、絵日記、生活表、そしてローマ字だ。分量は休みに入る前に担任と相談して決めているが、昇平は毎日勉強する習慣があるので、それを維持するために、無理にならない程度の量で1日1枚のプリントと、音読を出してもらった。家庭学習として、そこにチャレンジを1日1ページやるようにしている。

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ところで、そのローマ字。
本来は4年生で習う単元なので、昇平にはまだ早いのだが、「将来パソコン学習等でも役に立つから」ということで、森村先生が全学年の子どもたちにローマ字の宿題を出してくれた。
昇平はパソコンでの文字はひらがな入力だが、将来、英語に取り組むときにも、ローマ字が読めて駆ける方が断然有利なので、母としてもぜひローマ字は練習させたいと思っていた。昇平自身も、アルファベットを書くことは、決して嫌いではない。
・・・が、文字をたくさん繰り返し書く、というのは単純作業なので、どうしても集中力が続かない。

そこで、母は持ちかけた。
「プリントのここまでやったら、秘密の暗号表を書いてあげるよ」
「暗号表?」
「そう。ローマ字で」
がぜん張り切って文字練習に取り組む昇平。その間に、母はメモ用紙にローマ字で暗号を書いた。

『takaら は taki の usiろに aるぞ。 to~ぞku』

ちょうど、tの行まで練習してきたところだったので、それ以外の文字は日本語で書いてやった。
昇平はプリントと1つ1つ文字を付き合わせて、みごと『宝は滝の後ろにあるぞ。盗賊』と読み解いた。
「すごいねー! よく読めたねー!」
とほめたら
「今度は超難しいのにして!」
とリクエスト。
そこで、残りの問題をやっている間に、今度はうんと難しいのを作ってやった。

『onakaが suitaら nisi no ie ni koi。 gotiso~が takusan taべられるぞ。』

さすがに、これは文字数が多くて難しかったらしい。プンプン怒りながら、それでも一生懸命解いていた。

「kaって、なに?」
「kは、かきくけこの行だよ」
「aは?」
「aは『あ』って読むよ」
わざとその程度のヒントで解かせてみたら、次第に「子音字+母音字」というローマ字の仕組みに気がついてきたようだった。

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次にローマ字の練習をしたときには、もう練習済みの文字がかなりの量になっていたので、暗号表もほとんどローマ字だけになってしまった。プリントをひっくり返しながら文字を探すのは大変そうなので、別にローマ字表を作ってやったら、喜んで、それを見ながら解読していった。

『maho~ no toびら は kita へ 11po、higasi へ 3po、minami へ 2ho no tokoろ。』

ついでに小さな方眼も書いて、
「さあ、これが魔法の地図だよ。魔法の扉は、どこにあるでしょう?」
文字数が多くてまたご機嫌斜めになっていた昇平が、とたんにころりと機嫌を直した。
暗号の示すとおり地図をたどって、扉の地点を見事見つけたので、その地図の裏に、水辺に置かれた宝箱の絵を描いてやった。さらに、メッセージ。『カギがなくて、開かない!』
「宝箱のそばにまた暗号表があったよ。ローマ字の練習を進めると、次の暗号がもらえるよ」
と言うと、昇平は張り切って練習を進めた。
「(言われたところまで)書いたよ! 暗号をちょうだい!」
と言ったので、またローマ字の暗号表を渡した。

『mizuumi no naka no kagi o toれ!』

「このやろう! 見てろー!」
と言いながら、ローマ字表と首っ引きで暗号を解いていく昇平。気分はファンタジーゲームの主人公なのかもしれない。
ついに、鍵のありかを解読したので、暗号の紙の裏に、今度は鍵の絵とふたが開いた宝箱の絵、さらに、そこからもう一回り小さな宝箱が飛び出してきた絵を描いてやった。
「あ、もう一つ宝箱が出てきたよ。鍵穴はないんだけど、ふたになぞなぞが書いてある。プリントを最後まで書いたら、なぞなぞがもらえるよ」
と言うと・・・もちろん、昇平はすばらしい勢いで練習を終えてしまった。(笑)

そこで、最後のなぞなぞの紙。

『umi no naka no 8pon asi na~nだ?』

一生懸命ローマ字の下にひらがなを書きながら、暗号を解いていく昇平。ついに答えが出た。
「それをローマ字で書いてごらん」
というと、ちゃんと
『tako』
と書いた。

そこで、なぞなぞの紙の裏にローマ字でメッセージ。

『omedeto~! takaら は kimi no monoだ!』

そして、ふたが開いた宝箱から財宝が出てくる絵を描いてやったら、昇平は、
「やったやったー!」
と飛び上がって喜んでいた。

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今、小学校の国語の時間では、ローマ字に割り当てられる授業時数がとても少なくなっている。
そのくせ、中学校にはいると、英語や情報(パソコン)でローマ字の基礎を使う機会が増えてくる。
どうせ覚えなくちゃいけないなら、楽しく勉強できた方がいいよねぇ。

それにしても、ローマ字と暗号表というのは、取り合わせが良いようだ。
出題するこちらとしても、かなり楽しい。
この次はミステリータッチの暗号にしてやろうかなぁ・・・。

[04/08/05(木) 11:28] 日常

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