昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
そのままの・・・
寝る前のこと。
電気を消そうとすると、昇平が急に言った。
「ぼく、大きくなっても、やっぱり怖いよ」
唐突だが、言いたいことは分かった。
昇平には怖いこと、怖いものがたくさんある。暗闇、お化け、一人で寝ること、顔のように見える模様、怒鳴り声、赤ちゃんの泣き声、etc.etc.・・・
「でも、大人になってくると、不思議とそういうのがだんだん怖くなくなるんだよ」
と私は折に触れ話して聞かせていたのだが、昇平はそのことを思い出して言ったのだ。
つまり、
「ぼくは、大人になってもやっぱり暗いのが怖いままだと思う」
と昇平は言いたかったのだ。
それで、私はこう答えた。
「別にかまわないよ。大人になってもお化けが怖い人はたくさんいるからね。暗いのが苦手な大人の人だっているよ。ただね、大人になってくると、自然と、怖いものがだんだん減ってくる、っていうことなんだ。怖いものがあるのは、別にかまわないんだよ・・・。」
すると、昇平はびっくりしたように目を丸くして
「かまわないの? 怖くてもかまわないの?」
と言い、確かめるようにこう言った。
「ぼく、このままでいいの?」
はっとした。
「大人になるとね・・・」と話して聞かせながら、私はこの子に無理を要求していたんじゃないだろうか。
自然に成長していけばいい、と考えていたつもりだったけれど、どこかで『早く大人になってくれ』と願っていたのかもしれない。
彼は、いつも、早く大人にならなくちゃいけない、心が強くならなくちゃいけない、と心のどこかでプレッシャーを感じていたのかも・・・。
「いいんだよ。そのままで、いいんだよ」
私は、私自身に言い聞かせるように、そう答えていた。
そのままの君で、いいんだよ・・・・・・。
[04/08/06(金) 08:36] 日常