昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

夏休みの間の変化

長い夏休みの間には、いろいろなことがあった。一つ一つは小さな体験でも、本人の中に確実に積み重なって、いつかそれがつぼみとなり、花を咲かせていく不思議さ。焦らないで気長に待つ大事さを、今、改めて感じている。

夏休みに前後して見られるようになった変化を書き出してみる。

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◎お友だちと遊ぶようになってきた。

ゆっくりと彼の中で育っていたのが「お友だちと遊びたい」という気持ち。家族と遊ぶのではもう物足りなくなってきて、「ぼく、誰と遊んだらいいの」「ぼく、誰かと遊びたいなぁ」としょっちゅう口に出すようになっていた。

夏休み中、同じクラスのDくんと学校のプールに行ったら大喜び。二度目にはDくんのお母さんや弟も一緒に町民プールまで行ったのだが、Dくんたちが楽しんでいる滑り台がやってみたくて、でも高いところは怖くて、何度もDくんのお母さんに手を引いてもらって挑戦していた。(母と一緒では甘えが出てやらなくなるので、母はただ見ていた。)結局滑り台は滑れなかったけれど、1回挑戦するごとに、階段の高いところまで上がっていけるようになったのは面白かった。来年はDくんたちと一緒に滑れるようになるかもね。

休み明けには、最近お気に入りになったビーダマンで遊びたくて、5年生のBくん、Cくんと約束して、Bくんの家に遊びに行った。1時間半ほどで家に帰ってきたが、それだけ一人で遊んでこられたことに、家族は感動してしまった。
さらに、この前の土曜日には、Bくんから電話がかかってきてBくんがうちに遊びに来てくれた。
お兄ちゃんにはいつもたくさんのお友だちが来るけれど、昇平にお友だちが来てくれたのは初めてのこと。昇平はものすごく喜んで、2人でブロックを使ってビー玉バトルをしたり、ボードゲームをしたり、夕方まで楽しそうに遊んでいた。
とはいえ、2人とも相手に自分の言いたいことを伝えるのはちょっと苦手な子どもたち。思うように関われなくなって疲れると、2人ともそれぞれ自分の好きな遊びに没頭していた。どうなるのかな? と黙って見ていたら、いつの間にかまた、2人でボードゲームを始めていたり・・・。とても自然で良い関わり方だった。

とても楽しく遊べたものだから、昇平がクラスの友だちに尋ねるようになってきた。
「今日、一緒に遊べる?」
気持ちが育ってくるのを待つ必要はあったのだけれど、やっぱり、良い経験をすることが一番なのだな、と思った。


◎文字が丁寧になってきた。

書き順は・・・まだまだおかしい。自己流の書き方をするから、文字の形が崩れてしまうことも多い。
でも、全体として、文字が丁寧になってきたな、と感じている。
いつからだろう。もしかしたら、ローマ字の練習をしていたからかもしれない。お手本を見ながら、ひとつひとつ、丁寧に形をなぞっていたから。
指先の感覚や力の配分、腕や手首の動きといったものの連携もスムーズになってきたのだろう。
まあ、実際には、普段書く文字はやっぱり下手くそなのだが、漢字練習の時にはしっかりした文字を書くようになってきたので、とりあえず、そこでがんばれればいい、と考えている。
そのうち、文字を書くスピードが上がってきたら、普段の文字も丁寧になっていくかもしれない。


◎物事がわかってきた。

これの説明が一番難しい。まだ母が漠然と感じているだけのことだから。
例えば・・・

チャレンジで理科の問題をやっていた。4種類の野菜の絵を見ながら、この野菜に花が咲くかどうかを予想する、という問題だった。昇平は、そのうち2種類に花が咲く、と予想をした。
次のページでは、空欄に写真シールを貼りながら、予想が当たっていたかどうかを確認する。
キャベツには花が咲くのだと分かった。大根も花を咲かせるのだと初めて知った。
すると、昇平「あっ、予想が違ってた」と言って、ページを戻って、自分の予想を修正していた。
『予想を立てる→確認する→予想の修正をする』
という理科的思考の道筋が、ちゃんと身についているのだと分かって、私は驚いてしまった。

何でもないような雑談の中でも、ときどき、昇平は鋭いことを言う。
「お母さんは将来何になりたい?」
なんて聞いてきたこともある。
「お母さんはもう大人だからねー。将来何になりたい?っていうのは、子どもの時にする質問だよね」
と思わず笑って答えると、
「お母さんが子どものとき、将来何になりたかった?」
と聞かれた。
これまた私はびっくりしてしまった。そんなことまで考えられるようになってきたんだー、と思って。
昇平が真剣な顔で質問の答えを待っていたので、こちらもちょっと真面目になって答えた。
「お母さんはね、子どもの頃マンガ家になりたかったよ」
「マンガ家?」
昇平が興味を引かれた顔をした。
「そう。小学生の頃はマンガ家になりたいと思ってたの。あとはね、お嫁さんになりたいと思ってたなぁ」
そうそう。私は本当にそんなことを考えていたんだよね。なつかしいなぁ・・・。
すると、昇平が言った。
「お母さんは(本当に)お嫁さんになったんだね」
びっくり仰天。
まさか、昇平にこんなふうに言われる日が来ようとは。

こういう能力を何ということばで表現すればいいのか、私はよく分からない。
ただ、昇平の中で何かが確実に育ってきていて、それを使って、昇平は自分の周りの世界や他人の話を理解しようとしている。
それだけは最近はっきり感じられているのだ。

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昨日は3年生の水泳記録会があったのだが、昇平はビート板でプールの横コースを泳ぎ切ったらしい。迎えに行った私に、顔を輝かせて報告してくれた。
「ぼく、ビート板で全部泳いだよ!」
児童館で一緒のMくんも近づいてきて教えてくれた。
「昇平くん、プールを最後まで泳いだんだよ。途中で立ちそうになったけど、がんばっていたよ」
昇平ががんばって泳ぎ切ったことも嬉しかったけれど、Mくんがそんなふうに昇平に関心を持って見守ってくれていたことも嬉しかった。
「そうかぁ。Mくんも応援してくれたんだね。ありがとう」
と言うと、Mくんはにこっと笑って戻っていった。

長い休みが終わって始まった2学期。
きっとまた、いろいろなことがあるのだろう。
嬉しいこともあれば、困ったことも起きてくるのだろうけれど、お友だちに助けられたり影響を受け合ったりしながら、大きく伸びていくんだろうな。
なんだかとても楽しみで、私は毎日わくわくしている。

[04/08/31(火) 10:00] 学校 日常

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