昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
フリー参観・1〜朝の取り組み〜
毎年この時期、昇平の通う小学校ではフリー参観がある。どの時間、どのクラスのどの授業を見に行っても良い学校公開だ。
私は毎年、この参観をとても楽しみにしている。だって、学校での様子を一日の流れとして見ることができるから。授業を含めた時間の組み立て、先生の指導、子どもたちの反応や変化、他のクラスのこどもたちの関わり、と本当にいろいろなことが観察できる。
今年もまた、たくさんのことを発見し、家庭でも参考にできることをたくさん勉強できた。
そのごく一部分ではあるけれど、3回に分けて、レポートしたいと思う。
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「お母さん、明日は帰らないでずっと一緒にいるの?」
と前の日から何度も確認していた昇平。母がずっと学校にいるのが嬉しいらしい。
他の子たちは、私が一日教室にいても、そう大きな変化はない。フリー参観も今年で3年目。こどもたちもだいぶ慣れてきたのだ。
今年ゆめがおかの子どもたちを見て、一番に気がついたのは、子どもたちの態度がとても落ち着いてきた、ということだった。
朝の時間にも、休み時間にも、以前のように大騒ぎで遊ぶということがない。
朝には、学用品を机にしまい、ランドセルを片づけ、着替えをしてから、メモ用紙を持って協力学級の担任まで今日の予定を聞きに行く。それ以外の時間は、静かにブロック遊びをしたり、本を読んだり。
昇平は、ブロック遊びに熱中していたようで、予定を聞きに行くのが遅くなっていたが、「もうすぐ朝の会です」と校内放送が流れると、「あっ、しまった」と言いながら、急いで協力学級へ予定を聞きに行った。大人が声をかける必要もない。もう、子どもたちはちゃんと自分で朝の支度ができるのだ。
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昇平の小学校では、毎週火曜日には「かんかんタイム」といって、漢字練習に取り組む朝自習があるのだが、ゆめがおか2(森村学級)でも、二学期から同じ「かんかんタイム」が始まった。これまで毎日あった「よみよみタイム」(読書の朝自習)は月、水、金だけになっている。週の始まりと終わりはどうしても子どもたちの気持ちが落ち着かないことが多いので、読書で落ち着かせたいのだとは、森村先生の談。木曜日には「すらすらタイム」という計算練習の朝自習があるらしい。
見ていると、先生の一声で子どもたちはさっと席に着き、宿題の漢字プリントを取りだして、小テストに臨んでいた。今年度の前半は、「漢字の読みと意味」が重点指導になっている。それぞれの学年に合わせて先生が作ってくれた宿題プリントを持って、先生の前に行き、全部読めて、先生が尋ねた語句の意味を説明できれば合格。
例えば、昇平のプリントには「神社」「都会」「農業」「重ねる」「勝手」ということばが並んでいる。
読みのほうは難なくクリア。
先生が「都会、って何?」と聞く。
昇平は、腕組みをしながら一生懸命考える。昇平は頭の中で話したいことのことばを思い出し、文章に組み立てるのに時間がかかる。でも、森村先生は急がせることなく、じっと待っていてくれる。
やっと昇平が話し出した。
「人とや家がたくさんあってぇ・・・人がたくさん住んでてぇ・・・車がいっぱいある」
「そうだね。人がたくさん住んでいて、車がたくさんあって、建物もいっぱいあるところが都会だね」
と森村先生が合格の印をプリントにつけてくれた。
昇平は元気に席に戻っていった。
他の子どもたちも次々に合格していく。「牧場って何?」「定価って?」その子の学年に合わせて、意味を聞かれることばも違うけれど、子どもたちはそれぞれ、自分なりのことばで説明をしていく。
森村先生がずっと目ざしてきた「自分のことばで説明ができる」という指導が、しっかり実を結んでいるんだなぁ、とつくづく感じた。
もうひとつ感じたのが、列に並んでいる姿勢の良さ。
ふらふら列から離れることも、前の人を押したり、周りの人にちょっかいを出したり、ということが全然ない。前の人に時間がかかっても、ちゃんと静かに待っている。
やっぱり、この子たちは成長して落ち着いてきたんだ、と痛感すると同時に、毎日毎日「どう行動するのが正しいか」を教え続けてきた、森村先生の指導の積み重ねを見る思いがして、なんだかとても感動してしまった。
すごいなぁ・・・。
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その後の朝の会では、今日の予定がしっかりと確認された。
参観するたび感じることだけれど、本当に、森村学級では「予定の確認」に力を入れている。見通しが子どもたちにとってどれほど重要か分かっているのだ。
もちろん、昇平も、見通しが立っているのといないのとでは、発揮できる力が全然違う。
特別学級だけでなく、普通の学級でも「今日の予定の確認」にもっと力を入れれば、もっともっと力を発揮できる子たちがたくさんいるんじゃないかな・・・と思ったりした。
その後は、恒例の「昨日の出来事報告」。
昇平は、面白いゲームサイトを見つけて遊んだことを報告していた。昨日の家庭学習を報告する子あり、遊んだ内容を報告した子あり、自分が見たテレビ番組の報告をする子あり。森村先生は、お子さんが初めて寝返りを打ったことをお話ししてくれた。
ほのぼのと暖かい雰囲気の中で、子どもたちは自然と、自分について話し他の人の話に耳を傾けることの練習をしていた。
きっと、こういう取り組みも、いつか何かの成果に結びついていくんだろうな。
そんなことを思うと、自然と顔がほころんでしまった。
以下、次回に続く。
[04/09/29(水) 15:57] 学校