昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

町音楽会

フリー参観のレポートの途中なのだけれど、またまた、記憶にとどめておきたい出来事があったので、割り込みレポートです。

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昨日の午後、町の音楽会が開かれた。
町中の小中学校が一堂に会して、器楽演奏や合唱をする、という毎年恒例の行事。
どんなメンバーにするのかはその学校によって違うけれど、小学校はどこも人数があまり多くないので、3,4年生の合同とか、3,4,5年生の合同とかで出場している学校も多い。1学年だけで参加していたのは、うちの学校ともう1校だけ。
それでも、人数の多いところも少ないところも、この日の発表のために一生懸命練習を重ねて、本番に臨んでいる。人数が少なくても、息のあった演奏を披露してくれる学校あり、演奏に工夫を凝らす学校ありで、この音楽会が各学校で大きな位置づけになっているのがよく伝わってきた。

昇平たちも、この日のために、夏休み前からずっと練習を続けていた。
発表会が近づくにつれ、毎日のように練習が入るようになり、担当する楽器によっては、放課後まで残って練習をしていた子どもたちもいた。
次第に演奏が合うようになり、上手になっていくのが、学校の別の場所で聞いていてもわかった・・・とは、森村先生の話。

朝、学校に昇平を送っていくと、車から降りながら昇平が言った。
「ドキドキするぅ〜!」
学校の中に入っていくと、3年生だけは音楽会のためにお弁当持ちになっているので、一目でそれと分かった。
妙にテンションが高くて、友だちに大声で呼びかけている子。だーっと廊下を走って教室に向かう子。お弁当袋をぶんぶん振り回して小走りに行く子。なかには、廊下で突然「いよいよ今日だ。がんばるぞー!!」と気合いを入れる子も・・・。
どの子の顔も張り切っていて、「よし、やるぞ!」という表情をしている。
それを見ただけで、ここまでどんなに練習をがんばってきたか、みんなで気持ちを合わせてきたかが伝わってきて、胸が熱くなってしまった。
演奏の結果がどんなものであれ、ここまでみんなでがんばってきたこと、そのこと自体が、本当に素晴らしい経験だよね。
きっとみんな、昇平と同じように内心はドキドキでいるのだろう。
みんな、がんばってね! 私は心の中で思わず子どもたちに声援を送ってしまった。

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さて、音楽会は午後1時から始まった。昇平たちは2番目の出番。
今年の会場はうちの小学校だったのだが、慣れたステージでの発表は、昇平にはとても良かっただろう。
昇平が、他の子とはちょっと違った方向を見ていたので、視線を追ってみたら、その先に森村先生が立っていた。会場のわきのほうから、真剣な顔でステージを見つめている。心配して、昇平を見守ってくれているのだ。
昇平も、森村先生の姿を見つめて、心を落ち着かせているようだった。

昇平は鍵盤ハーモニカの担当。チューブをつないで演奏することはできていたけれど、チューブを外して、楽器を持って立って演奏することが上手にできなくて、家で楽器の構え方を練習したことがあった。そのとき、立っても見やすいように、鍵盤に描いたドレミの音階を、サインペンで濃く書き直してやった。1小節だけ曲を練習して、「学校でもこんなふうに練習してね」と言い聞かせて・・・。
でも、家で練習したのは、その1回きりだった。その後は週末に楽器を持ち帰って練習することもなく、ただ、「昇平くん、日に日に上手になってきていますよ」という3−3のみのり先生のメッセージが伝わってきた。
だから、私も信じて、学校にお任せすることにした。
学校でがんばって、成果が出てきているというのだから、それを期待して結果を待とう、と。

演奏が始まった。
鍵盤ハーモニカの出番。
昇平が、他の子たちと一緒に、さっと楽器を構えるのが見えた。
私が座っていたのは、会場の一番後ろの席だったので、昇平はあまり大きく見えなかったけれど、それでもちゃんと指を動かして演奏しているのが見えた。
すごいすごい・・・本当に、みんなと同じように演奏している・・・!

近くで聞けば、実際には、音がはずれたり、遅れたりしているところがあったかもしれない。楽器を弾く指だって、きっとでたらめなのだろう。
だけど、昇平はみんなと一緒に、確かに演奏をしていた。自信に満ちた指づかいで鍵盤を押さえながら、メンバーの一員として、ひとつのメロディーを作り上げていた。

曲の演奏の後には、全員による歌も披露された。
子どもたちが大きく口を開けて、元気に歌っている。
昇平も口を開けて、一緒になって歌っていた。口の動きが後ろからでもはっきりと分かる。
歌の途中から、子どもたちが体を左右に揺すり始めた。1列置きに左右が逆になっている。つまり、前の子ににつられて動くと間違ってしまう、という振り付け。
これも、昇平はちゃんとやっていた。
他のこと比べれば、ほんの少し口が小さくて、体の動きがほんの少し控えめだったけれど、でも、一度も間違いなく、みんなと同じように動きながら歌っていた。
最後に手を挙げるところまで・・・完璧!

私は涙がこぼれてしまった。
保育園時代の思い出が、頭の中をかけめぐっていた。
どうしたら昇平が参加できるか、と担任と知恵を出し合い、練習を重ねて、おぼつかないながらも演奏をこなした鼓笛パレード。あのとき、昇平は中太鼓だった。
練習ではけっこう上手にできていても、本番になると緊張して、歌声が出なくなってしまった発表会。全員でことばを合わせて言う場面では、やっと口が動くか動かないか、そんな程度だったけれど、「昇ちゃん、ちゃんと言っていましたよね!」と担任がとても感激してくれたこともあった。
みお先生、まきこ先生、みちこ先生・・・昇平は、こんなに立派に発表できるようになりましたよ。
先生方に、昇平のこの発表を見ていただきたかった。
きっと、一緒になって感動してくれましたよね・・・。

ハンカチを取ろうと足下のバッグにかがみ込んだら、思いがけず胸がいっぱいになって、涙がこみ上げてきた。
昇平がこんなに成長したのが嬉しくて、ここまで昇平を指導してくれた学校や保育園がありがたくて、涙が止まらなくなって、しばらくは顔を上げられなかった。
不覚・・・。

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昇平は昔から、運動会や発表会といったイベントのための練習を乗り越えることで、大きく成長していく子どもだった。
その子によっては、普段と違うイベントが負担になりすぎる子もいるから、一概にどの子にもイベントが良いとは言えないかもしれないが、少なくとも昇平にとっては、本当に意義のある音楽会だったと思う。
みんなと同じようにやりたいと思う気持ち、練習の成果を発揮したという手応え、みんなと一緒にできたという実感・・・本当に素晴らしい体験をさせてもらえたと思う。
学校って、すごいなぁ。
改めて、心から、そう思っている。

[04/10/09(土) 09:38] 学校

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