昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

フリー参観・3〜算数〜

間が開いてしまいましたが、フリー参観レポートの3回目。今回は算数の授業の様子です。

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25分間の長い休み時間を思い思いに過ごした子どもたちが、3校時目のチャイムと共に席に着いた。
休み時間は徹底したリフレッシュタイム。ブロック、トランプ、DVDなどで楽しく過ごして、また元気に学習に向かっている。
そういえば、普通学級の子どもたちも、長い休み時間には遊びに来て、一緒に思い思いの時間を過ごしていた。授業が始まるとまた自分のクラスに戻っていくが、ゆめがおかでリフレッシュしていくので、その後の時間がまたがんばれるのだという。ゆめがおかにいると、気持ちが安らぐんだろうね。

さて、黒板には授業の流れが大枠で書き出されている。
 1.カード学習
 2.ストップウォッチ学習
 3.プリント(前半B,C 後半D,昇平)

カード学習というのは、細く切った画用紙にさまざまな時間単位を書いたもので、それを見せて子どもたちに答えさせていくというもの。
 先生「昇平くん、1ヵ月は何日?」
 昇平「30日か31日」
 先生「Dくん、1分間は?」
 D 「60秒」
 先生「Bくん、一日は全部で何時間?」
 B 「24時間」
 先生「Cくん、一日は午前と午後に分かれますが何時間ずつですか?」
 C 「12時間ずつ」

軽度発達障害を持つ子どもたちは、時間の概念が弱いことが多いので、フラッシュカードで時間の単位を身につけていこうという取り組みなのだ。
問題がだんだん難しくなってくる。

 先生「昇平くん、一世紀はどのくらい?」
 昇平「うーんと・・・(腕組みをして)・・・100年間!」
 先生「Dくん、一年は何ヶ月?」
 D 「12か月」
 先生「Bくん、一年は何日?」
 B 「365日か366日」
 先生「Cくん、どうして日にちが違う年があるの?」
 C 「2月に29日まであるときがあるから」
 先生「Cくんがいい線まで行きました。昇平くん、366日ある年はどうなっているんだっけ?」
 昇平「???・・・2月に1日多いときがあって・・・・・・???」
  
昇平がうまく説明できないでいると、先生が「それじゃ、Cくんが説明するのをよく聞いてください」と言って、Cくんにもう一度説明させた。Cくんは、365日ある年には2月が28日までしかなく、366日ある年には29日まであることを話した。昇平もいっしょうけんめい聞いていて、その後、先生からもう一度理由を聞かれたときには、ちゃんと説明することができた。
算数の時間の中に、「他人に分かるように説明する」ことと「他人の話を注意して聞く」ことの練習が取り入れられているのだ。

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その後はストップウォッチを使ったプリントの学習。内容はかけ算で、どの学年の子も同じ問題に取り組んでいる。計算の基本になるかけ算を、繰り返し学習していくのだ。
解き終わったところでストップウォッチを持って森村先生のところへ行く。
先生は採点しながら、前回との時間を比較してコメントしてくれる。なかなか集中できなくて一番最後になった子にも
「すごいね。前回より2分30秒も早くなっているよ」
と誉めていた。
他人と比べて早いとか遅いとか、できたとかできないとかではない。その子自身が、自分自身を相手にして、どれくらいがんばったか。そのことを評価してくれているのが、見ていてとても嬉しかった。
彼も「やったぁ!」と得意そうな声を上げて、とても素敵な笑顔で席に戻っていった。

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その後は、各自の学年に合わせた個別学習。
最初は森村先生と5年生の2人組が一緒に学習し、昇平と4年生のDくんはパソコンを使って算数の教材に取り組んだ。
子どもたちはパソコンの学習が大好き。教室に2台準備してあるパソコンをそれぞれに使って、自分の学年の学習ソフトの問題を、クイズ感覚で解いていく。
そして、そのそばに静かに控えてくれているのが、補助の稲月先生。決して目立つ関わりはしない先生だけれど、空気のように暖かく子どもたちを見守って、必要なときだけ、すっと手助けしたりアドバイスしてくれたりする。
稲月先生がいてくれるおかげで、森村先生は目の前の2人の指導に集中できるようだった。
10分後、今度は昇平たち2人が森村先生と学習し、5年生の2人が稲月先生の見守るパソコン学習席に移っていく・・・。
昇平が、問題をよく読んで解くように指導されている。
昇平もDくんも、脇目もふらずプリントに向かって鉛筆を走らせ、森村先生の話を聞いている。

45分間の授業の最後の最後まで、子どもたちはとてもよく集中して学習に取り組んでいた。

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子どもたちがここまで来るのには、決して短い道のりではなかった。
入学したばかりの頃は、落ち着かなくて席にちゃんと座っていられなかったり、教室の中を飛び回っていたり。
昇平も、順番を守れなかったり、先生の指導がなかなか聞けなかった時期があった。いやいや、それ以前に、トイレトレーニングが完全には完成していなくて(和式トイレが使えなかった)、しょっちゅうお漏らししては、森村先生にはトイレ指導からしていただいたのだったっけ。
次の瞬間何をしでかすか、いつお調子に乗ってトラブルに発展してしまうか分からない子どもたち。
なかなか他の子の気持ちが分からなくて、思いが通じなかったり、誤解したりして、ケンカになったり怒ったり。そのたびに、森村先生は状況に目配りし、子どもたちから話を聞いて、「相手がどう思ったか」「自分はどうするべきだったか」を丁寧に教えていかれた・・・。

もちろん、今だってトラブルが皆無ということはないけれど、子ども自身の成長とも相まって、教室の中は非常に落ち着いてきた。そして、その分、学習によく集中できるようになったのが、見ていてよく分かった。
こういう指導は、決して見た目派手ではないけれど、地道にこつこつと続けていくことで、こんなにも大きな成長につながっていくんだな、と今回つくづく感じさせられた。

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と言うところで、紙面が尽きました。
3回連続レポートの予定でしたが、まだもう少し書きたいことが残っているので、次回、おまけレポートをいたします。

[04/10/17(日) 05:59] 学校

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