昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

『とーます!』学習会で

昨日の土曜日は、福島市内で『とーます!』(ADHD家族会)の学習会があった。ペアレント・トレーニングのブースターセッション。ブースターセッションとは、PT(ペアレント・トレーニング)を受講した人たちへのフォローセッションのことだ。
親たちが集まり、子育ての悩みを語ったり、PTでうまく行っていること、行っていないことを報告したり、相談したりする。それをテーマに、インストラクターのN先生が、PTを使った対応の仕方や、PTとはまた違った角度からの対応を指導してくださる。皆でその事例について話し合ったりもする。
毎回、とても勉強になる学習会なのだ。

その間、会員の子どもたちは別室で託児になった。前回から、学生さんたちが大勢ボランティアに来てくださるようになって、子ども一人にボラさん一人という、夢のような待遇。「託児ボラさんが見つからない〜! どうしよう〜!」と頭を抱えていた時代が嘘のような、恵まれた状況になっている。子どもの心配をすることがないものだから、親は心おきなく学習会に参加できる。ああ、本当にありがたやありがたや・・・。

昇平も、ボラのお姉さんたちと他の子たちと一緒に、託児室へ行った。最近の彼は、子ども同士で遊ぶことをとても喜んでいる。集まるとすぐに、部屋のホワイトボードに一緒に落書きをしたり、なんだかんだと話をしたりしている。ゲームの話をしていることも多いようだけれど、男の子同士だと、すぐにその話題で一緒に盛り上がれる。なるほどね、これが今の子どもたちのコミュニケーションツールなわけだ・・・。
託児室に行ってからの様子は、後からボラさんの記録などで知ることができた。落ち着いて過ごしていて、持って行ったビーダマンでお友だちとたくさん遊んでいたらしい。私がいる部屋におやつのバッグを置いていってしまったのだけれど、それを取りに戻ってこなかったところを見ると、遊びに夢中でおやつどころじゃなかったらしい。
素晴らしいことだ。

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この日記をずっと読んでくださっている方ならよくご存じだけれど、昇平は今まで、なかなか他の子どもたちと遊ぼうとはしない子だった。
遊びたい気持ちがゆっくり少しずつ成長してきているのは見えていたし、そのたび、他の子と関われる機会は作ってきたつもりだったけれど、それにしても、一人遊びやごく少人数での静かな遊びが好きな子だった。一緒に遊んでも、集中力が短いこともあって、あっという間にその遊びが終わってしまったり。

ところが、ここに来て、昇平が「お友だちと遊ぶのは楽しい! 誰かと遊びたい!」と強く思うようになってきた。
聴覚過敏があることもあって、騒々しい遊びにはなかなか混ざろうとしないけれど、お絵かきやブロック、ビーダマンなど、自分の好きな遊びを誰かと一緒に楽しむのが、本当に好きになってきた。お友だちをその遊びに誘って、一緒に楽しむようになった。
だから、友だちが家に遊びに来てくれるのも喜ぶし、『とーます!』の集まりに出かけても、子ども同士で遊べるのをとても楽しみにしている。
ものすごい変化だな、と思って見ている。

しかし、そうすると新たに発生してくる問題が・・・。
自分は遊びたいのに、相手がその遊びに乗ってこない、という状況が発生するのだ。
「どうして遊ばないんだよ! おまえは意地悪だ!」「こいつ、どうして遊ばないんだ! 遊べよ!」
遊ばない相手に腹を立てて、こんな暴言まで吐くようになった。う〜ん・・・ひとつレベルアップすると、問題もまたレベルアップしてくるのね。(苦笑)
それに対しては、相手にも都合や気持ちがあることを、その場その場で丁寧に教えていくしかないのだけれど、今はまだ、自分自身の要求のほうが強くて、なかなかそちらには目が向かない。そんな状態でいる。

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ただ、昨日はこんなやりとりもあった。
昼食後、一緒に遊んでいたお友だちの一人が、お母さんと一緒に帰ることになった。
私は午後にも打ち合わせがあったので、昇平は居残り組。他にも2人ばかり残っていた。すると、帰る子が「まだ帰りたくない」とごね始めた。・・・みんなと一緒に遊ぶのがとても楽しかったんだね。
ところが、昇平はこういう状況が苦手。泣き声が苦手なだけでなく、その子が駄々をこねると、お母さんに置いて行かれるのではないか、ととても不安になるのだ。
ちょうどリタリンが切れている時間帯にも当たっていたものだから、「おまえ、帰れよ! さっさと帰れ! 帰らないとひどい目に遭わすぞ!」などと言い始めた。まあ、本当に口だけで、実際に手は出さないのだけれど・・・。
あまりそれがひどいので、私が近づいていくと、昇平は「お母さんに殺される!」とボラさんの後ろに隠れようとした。
あのね〜・・・!! と怒りたくなるのを、ぐっと我慢。このへんは、PTでしっかり学んだCCQ(Close,Calm,Quiet=そばによって、冷静に、穏やかな声で)を使って、「殺しません。お母さんは昇平くんとお話に来たの。なにがどうしたの?」と言って、まず本人の気持ちを聞いてみた。そうしたら、上のような状況と気持ちでいるのが分かったので、「それなら、もっと優しく言ってあげなくちゃ」と教えた。
「おい、帰れよ!」と昇平。うーん、それはまだ優しくないよ〜!
昇平、何度かその子にいろいろな言い方を試していたけれど、最後に、まるで何かを思い出したように、不意にこんな言い方になった。
「今度また遊ぼうね。この次、一緒にまた遊ぼうね。ばいばい、また会おうね」
ずっとそのやりとりに注目していた他のお母さんたちから、おー、と声が上がった。
私も嬉しくなって、思わず言ってしまった。
「その言い方で正解! 100点満点だよ!」
昇平にそんなふうに言われて、相手の子も、うん、とうなずいて素直に帰っていった。
ははは。無事におさまって良かったね、昇平。

後で、ふと思い出した。
以前、歯医者の待合室でなかなか帰ろうとしなかった小さな女の子に、昇平が「帰るよ、バイバイ」と優しく言って、泣かせることなく平和に帰らせたことがあった。昇平は、あのときのことを思い出したんだろうか・・・。

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最初から上手に他人と関われる子どもはいない。ぶつかったり、怒ったり、とまどったり、困ったり、悩んだり・・・その小さな頭と心をフル回転させながら、それでも、お友だちと遊ぶのが楽しいから、その楽しさを少しでもたくさん味わいたくて、それで、少しずつ上手な関わり方を覚えていくのだろう。
私たちの子どもたちは、どうしても社会性の発達が遅れていることが多いから、自分たちだけでは上手に事が運べなくて、トラブルになってしまうことも多いのだけれど、ボランティアの学生さんがそばにいて、十分に目を配ってくれているので、その点も心配しないですむのが、本当に嬉しい。
その後、昇平は、4年生のTくんと思う存分ブロックやビーダマンで遊び、ボランティアのお姉さんとも一緒に大きなブロックを積み重ねて、楽しそうに遊んでいた。
母は思う存分勉強も打ち合わせもできたし、昇平も思う存分お友だちと遊べたし、と大満足の一日だった。

[04/11/14(日) 09:01] 療育

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