昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

同時処理型と継次処理型

先週、ゆめがおかの森村学級では、子どもたちの発達検査が行われていた。12月の個別面談と、来年度の引き継ぎ(別の先生が担任になったときの参考資料)のために、毎年この時期に行われるのだが、今年は、恒例のWISC-IIIに加えて、K-ABCの検査も行って、より詳しく子どもたちの学習スタイルを把握することになった。

詳しい話は12月の面談のときになるのだが、K-ABCの結果、昇平が同時処理に高い数値を出したと、一足先に森村先生から教えていただいた。
同時処理・・・目の前にあるものから一瞬のうちにさまざまな情報を取り込み、それを同時に処理して行動に移せるタイプの人間ということ。
「やっぱりねぇ〜!」と思った。検査前から、森村先生と「きっと同時処理型ですよ」と話し合っていたのだ。WISC発達検査では、積み木の課題に非常に高い数値を出していたし。(お手本の形を見て、赤白に塗り分けられた木のサイコロを並べ替え、同じ形を作る課題。昇平はほとんど瞬時にそれをやるので、数値は常に最高。ホントに「形」に強いヤツなのだ)

ちなみに、これと反対なのは、継次処理型。情報を部分的に取り込んでいき、それを次々に処理して統合判断していくタイプの人間。
実は、私がこちらのタイプ。論理的思考と言えば聞こえがよいけれど、実際には、場の情報が一度に取り込みきれなくて、「まずはこの部分」「次にここ」「それからここ」という具合に、ひとつの場面から順番に認識していって、それを頭の中でつなげて理解していくのだ。だから、どうしても行動までに時間がかかる。

これが一番よく分かるのが、ゲームをやっているとき。
昇平も(そして、長男も)アクション系のゲームは得意だ。
特に、戦闘機で敵の飛行機や基地を攻撃していく、という、俗に言う「縦スクロール系シューティングゲーム」はむちゃくちゃ得意で、雨あられと降ってくる敵の弾丸やレーザーを器用にかわし、敵を攻撃していく。
かわしていく先にも弾は来るので、すべての画面を同時に見て、そこから情報を取り入れていないとうまく行かない。私がこれをやると、やってくる弾は避けられても、すぐに別の弾に当たってゲームオーバーになる。それもなんとかかわしても、敵が一気に大量の弾を放出してきたとたん、脳みそがオーバーロードして、「きゃー! どうすればいいの!?」と思っている間に、弾に当たってしまう。・・・とにかく、向いていないのだ。
その代わり、推理ものやRPGの謎解き的なゲームは、時間をかけてじっくり取り組むことができるから大好きだ。「まずこういう情報があって」「次にこういう情報が入ってきたから」「これとこれをこう関連づけると、こういうことになるかな・・・?」なんて頭の中で考えるのが、むしょうに楽しい。
まあ、実際にはゲームをやっている時間そのものがないので、人がやっているRPGを覗いては、時々口を出す程度だけれど。それに、RPGにも戦闘や人物操作などのアクションが出てくるから、それは苦手・・・。
私は小説も書くけれど、SFや推理小説といったジャンルを書いていたのは、こういう特性があったからかもしれないなぁ、なんて考えている。(最近は子ども向けのファンタジーに走っているが)

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さて、親である私が継次処理型、子どもたちが同時処理型だと、どういうことになるか。
実は「理解するための道筋が違う」という弊害が出てきてしまうのだ!
まずは、お兄ちゃんがそうだった。小学生の頃から彼が「分からない」という問題を教えようとすると、私の説明では逆に混乱して「どういうこと!? わかんないよ!」としょっちゅう言われていた。こちらは説明の途中なのに、それを言われるから、「今説明しているところなんだから、最後まで聞きなさいよ!」なんて怒ったり。
でも、お兄ちゃんの場合は同時処理型だから、まず「どういうことか」という概要をつかむことが大事で、「こうなるから、こうなって、そしてこうなる」みたいな三段論法的な考え方は、とても分かりにくいものだったらしい。むしろ「この手の問題を解くには、この公式」みたいに教えた方が分かりやすいことが、長い間のつきあいで分かってきた。

昇平の勉強にも、同じ特徴がある。
彼は「チャレンジ3年生」もやっているのだけれど、問題の解き方を説明するステップアップ的な問題は、途中で混乱してできなくなる。ところが、問題そのものを解かせると、簡単に解いていってしまうのだ。
だから、お兄ちゃんにしても、昇平にしても、最近では「解き方の説明の部分は飛ばして、先の問題をやりなさい」と言うことにしている。もしそれで分からないことが出てきたら、本人が解いているのと同時進行で、「ここをこうして」「次にああして」と言う方が、よほど頭にはいるらしい。

K-ABCの結果の話をしていたとき、森村先生は「自分は明らかに同時処理型だと思います」とおっしゃっていた。
そういえば、3年生になって学習内容が難しくなってきたとき、「細かいことは置いておいて、まずは『これはこういうことかな』ということが分かるようになる指導をしていきたいと思います」と言われたことがある。
正直、私にはそれが実感では理解できなかったのだけれど、同じ同時処理型の昇平には、その指導がとても合っていたのだろうと思う。だって、学校で学習してきた内容は、チャレンジでも、本当にすらすらと解けているから。

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人の学習スタイルを決めているものには、同時処理、継次処理だけでなく、いろいろな要素があるのだけれど、例えば、この二点に絞って考えただけでも、こんなに人によって違いがあるんだなぁ、と改めて感じる。たとえ親子であっても、別の人間なんだ、と本当に思う。
人は他人に代わることができないから、相手はこんなふうかな、と想像を働かせるしかないのだけれど、ことに子どもの場合は、「血のつながった親子であっても、別の感じ方、理解のしかた、考え方をしているかもしれない」ということは、常に頭に置いて接していかなくちゃいけないんだろうなぁ、と考えている。
・・・これがなかなか難しくて、しょっちゅう忘れて、自分のものさしで話をしてしまうのだけれどね。(反省)

[04/11/24(水) 10:24]

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