昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

はるちゃん

2、3日前のこと。お風呂に一緒に入っていた昇平が、突然こんなことを聞いてきた。
「はるちゃん、1才になって、もうしゃべれるようになった?」
はるちゃん、とは千葉に住む私の弟の一人娘、つまり、昇平のいとこのこと。ちょうどその日が満1才の誕生日だったのだ。
「1才にはなったけど、まだおしゃべりはできないね」
と答えると、
「じゃ、何ができるようになった?」
と昇平。
昇平は聴覚過敏があるので、人の激しい泣き声や怒鳴り声が大の苦手だ。はるちゃんはまだ小さな赤ちゃんだったので、いつ泣き出されるか分からなくて、昇平には不安の種になっていた。それで、赤ちゃんはおしゃべりができないから、代わりに泣き声でお父さんやお母さんに気持ちを伝えていること、でも赤ちゃんはいつまでも赤ちゃんのままではないこと、はるちゃんも大きくなったらおしゃべりできるようになって、あまり泣かなくなるようになること・・・を私はずっと教えてきた。
「何ができるようになった?」という昇平の質問は、つまり、「はるちゃんはどのくらい大人になってきた?」という意味なのだ。
「そろそろ一人で歩けるようになるね。おしゃべりも少しずつできるようになってくるよ」
と教えると、昇平は
「早くはるちゃん、大きくならないかなぁ」
と言ってから、突然、うっとりした顔つきになった。
「はるちゃんが大きくなってから、ぼくと2人で写真に写ったら、コイビトだと間違われるかもしれないね」

は? コイビト・・・恋人??

思わず吹き出しそうになったが、それをこらえて、こう答えた。
「そうだね。大きくなったら、昇平くんは、はるちゃんのあこがれのお兄さんになるかもしれないね」
すると、昇平は、でへへっと笑うような顔をして、
「はるちゃんが大きくなったら、ぼくたちコイビトになるんだー」
ハートマークが周りに飛び交うような顔つきで、そんなことを言う。その日を楽しみに夢見ているのが、顔にありありと出ていた。
いやはや、なるほどねぇ。

私は、笑いをこらえるのに必死になりながら、大まじめにこう言ってやった。
「でもね、そのためには、はるちゃんに優しくしてあげないといけないんだよ。女の子は優しいお兄さんが好きだからね。そうしないと、いくら大きくなっても、はるちゃんに好きになってはもらえないんだよ」
「はい!」
昇平が元気いっぱいに返事をした。
・・・その決意、忘れないようにね。

実は、はるちゃんは、去年卒業していった森村学級のマドンナHちゃんと同じ名前。それもあって、たぶん、成長した姿にHちゃんのイメージをだぶらせているんだろうな。
まあ、コイビトになるというのはともかく、一人の赤ちゃんが成長してかわいい女の子になり、やがて大人になっていく過程を見ていくことは、大事な経験になるだろうな、と思っている。
はるちゃん、昇平はがんばって「優しいお兄さん」になるつもりらしいです。その暁には、よろしくね。

[04/11/28(日) 10:11] 日常

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