昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

聴覚過敏・2

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昨日、お兄ちゃんがゲームをしていたら、また昇平が部屋から逃げ出していった。
ちょっぴりご機嫌斜めだったお兄ちゃんが、それを見て、むっとした顔になって言った。
「また逃げ出していった。どうしていつも逃げるんだよ。面白くないな」
ごもっとも。
そこで、昇平の聴覚過敏について、お兄ちゃんに分かるように説明をした。でも、お兄ちゃんはなかなか納得できない。
「だって、昇平はいつもすごい音でビデオとかかけてるじゃないか。あれで過敏っていうのか?」
まったくもって、ごもっとも。だから母も長いことこの特徴に気がつけないでいたのだから。
「あれはね、自分の好きな音で苦手な音をシャットダウンしていたからなんだよ。苦手な音を聞こえなくしたいから、逆にボリュームを大きくしてかけているんだよ」
そう・・・そういうことだったのだ。我々だって、何か集中して作業をしたいとき、気持ちを落ち着けたいとき、お気に入りの曲をBGMに流したりするけれど、あれはBGMで余計な雑音を消しているからなんだよね。
すると、お兄ちゃんはびっくりしたような顔をして、それから、ちょっと考え込んでこう言った。
「つまり、昇平は苦手な音が普通より大きく聞こえているから、ビデオの音もその分大きくしているってわけか」
うん。そういうことだね。

人の感覚は成長するにつれて変化していくことも多いから、昇平の聴覚過敏がこの先どういう形になっていくのかは分からない。もしかしたら、もっとマイルドな反応をするようになるのかもしれない。ただ、家族を見回すと、おじーちゃんもお兄ちゃんも音には敏感だから、やっぱり、まったく平気という状態にはならないだろうな、と予想している。
「つまり、うちはそういう血統だってこと?」
とお兄ちゃんが言った。
うん、そう思うよ。しかたないよね。そういう家系だってことだから。良いでも悪いでもない。ただ、そんなふうに生まれついてきている、っていうだけのことなんだから。

昇平の聴覚過敏から来るトラブルは、まだまだ続くのだろうと思う。
でも、もしかしたら、こんなふうに本人やまわりに話していくことで、少しずつ何かが良く変わっていくかもしれない、とふと思った。
それが、本当の「障害理解」なのかもしれないね。

[04/12/09(木) 10:51] 療育 知識 日常

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