昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

相手の気持ち・2

土曜日、おばーちゃんが病院から退院してきた。
実は、体に不都合が見つかって、ここ2か月ほど入院していたのだが、年末年始を控えてしばらく自宅療養して良いというお許しが出て、仮退院となったのだ。年明けにはまた入院することになるけれど。

私が病院へ迎えに行っていたので、昇平は一日学童に行っていた。夕方私の車で家に帰ってきて「ただいまー」と言うと、茶の間からおばーちゃんの声で「おかえりー」という返事が。昇平、あっ、という顔をすると、茶の間に飛んでいって障子戸を開けた。「おばーちゃん、ただいま!」・・・それを言うなら「おばーちゃん、おかえり」でしょ。(苦笑)
相変わらず、ただいまとおかえりが混乱する昇平だけど、おばーちゃんが帰ってきて嬉しい気持ちは伝わっただろうから、まあいいよね。

その後、私が夕食の支度をしていると、昇平がやってきて台所のテーブルで楽しそうにお絵かきを始めた。のりにのっていて、とてもご機嫌。
そこへ、茶の間からおばーちゃんがやってきた。
「昇平くん、ただいま。おばーちゃん、病院から帰ってきたよ」と言いながら昇平のすぐ隣に座ると、とたんに昇平が「おばーちゃん、こっち来ないで!」と言った。
瞬間、はっとした雰囲気が漂い、おばーちゃんはすぐに笑いながら立ち上がった。
「そうかー。おばーちゃんにこっちに来ないで欲しいのね」
すると、昇平が大慌てでこう言ったのだ。
「ちがうちがう! こっち見ないで欲しいの!」

昇平は、お絵かきの途中で描いている作品をのぞかれるのを嫌がる。おばーちゃんは別に絵をのぞきに行ったわけではなかったけれど、昇平にしてみると、なんとも落ち着かない気持ちになったのだろう。
・・・この気持ちは実は私にも分かる。作品を制作途中でのぞかれるのは、なんとも嫌なんだよね。完成したところで「ほら、こんなのができたよ!」と見せるのは大好きなのだけれど。
でも、昇平がその一瞬の間に、おばーちゃんが自分のことばをどう受け取り、どう感じたかを判断して、とっさに「ちがうちがう、こういうことだよ」と説明したことに、私はものすごく驚いてしまった。
実際、夕食後にはおばーちゃんの元へ最近手に入ったばかりの本を持って行って、「おばーちゃん、見て見て」「こうなんだよ! ああなんだよ!」と楽しそうに会話をしていた昇平だった。

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昇平には、確かに他人の気持ちや表情が読みとりにくいところがある。自分が分かっていることは相手も分かっているものと思いこんで話をすることも、よくある。
でも、人によっては、あるいは場面によっては、こんなふうに相手を思いやる言動ができることもあるんだなぁ、と感心してしまった。
こういう子どもたちは他人の気持ちが理解できない、なんて決めつけちゃいけないな。
そんなことを改めて感じさせられた一幕だった。

[04/12/19(日) 11:33] 日常

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