昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

リタリン減薬観察記録・2

年末からリタリンを2/3量に減らして昇平の様子を観察してきたが、どうもその分量では足りないらしいと感じられた。
1月1日の午後には、郡山市の私の実家に泊まりに行くことになっていたので、昼食後の薬は今までと同じ分量にしてみた。これでもやっぱり落ちつきがなかったり、ハイテンションだったりしたら、薬を減らしたせいではなく、年末年始という普段と違った雰囲気のせいということになるのだが、はたして・・・?

私の実家には、私の妹弟一家も勢揃いしていて、我々も含めて総勢14名という賑やかさだった。先日1才になった、一番小さいいとこのはるちゃんも来ていた。最初のうち、昇平ははるちゃんが大泣きするのではないかとびくびくしていたが、はるちゃんがとても愛想の良い子だったので、そのうち昇平もすっかり安心して、いとこたちのゲームを眺めたり、自分でゲームをしたり、落ちついて過ごし始めた。
――そう、落ちついていたのだ。年末から続いていた多動でハイテンションな感じが、すっかり影を潜めて、おじいちゃんおばあちゃん、おじさんたちからは「ずいぶん大人になったね」とお褒めのことばまでいただいていた。

それが崩れたのは、やはり夕方以降。リタリンが切れる時間帯になって、ゲームがうまくできない! と怒り出し、いとこに「やって!」と頼んだものの、いとこが「できない」と答えると、猛烈に怒り出したのだ。それをいさめようとした兄のことまで怒っていた。
刺激の多い環境にいたせいもあるのだろうが、それだけでなく、どうも薬の量が不足した日は、効果が切れた後の行動が荒れる印象がある。リバウンドがひどくなるような感じだ。
これに関してはキンドリング(燃え上がり)という仮説もあるようだけれど、正確なところはまだ分かっていないので、ここではただ事実の報告だけに留めておく。

結局、実家には一泊して翌日の昼過ぎに帰ってきたが、そこまで規定量(一日15mg)を飲ませていたら、ずっと昇平は安定し続けていた。外食にも出かけたが、特に目立った行動はなかった。途中、ちょっと席を離れて連れ戻された程度。夕方以降も、疲れて眠そうにしていたけれど、特に大きく荒れることはなかった。
最近ずいぶん落ちついたように見えていたけれど、やっぱりリタリンがずっと昇平の行動を底支えしてくれていたんだなぁ、と改めて感じてしまった。

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さて、というわけで、昨日の朝からは服用量を3/4に減らしてみての観察が始まっている。今のところ、特に大きな変化はない。落ちついているし、冬休みの宿題の文字も丁寧だ。
こちらの観察記録は、また日を改めてアップしたいと思っている。

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最後に、なぜ私たちが昇平にリタリンを飲ませているかを書いておこう。

ひとつは、ADHDから来る多動・衝動性がひどくて、そのままでは危険が生じる可能性があるから。
車の往来する道路に飛び出すというのは極端な例にしても、家の中を猛スピードで走ってきて、ガラス戸に突っ込みそうになるとか、不安定な椅子の上に立ち上がるとか、リタリンを減薬して落ちつきなくなっていたときには、本当にはらはらするような行動が増えた。

もうひとつは、そういった落ちつきない行動のせいで、昇平が家族から叱られすぎることを防ぎたいから。
チョロチョロ、ガタピシさせてばかりいる昇平は、他の家族の気持ちをいらだたせる。「うるさいぞ」と注意されるだけならまだしも、それが度重なるにつれて、だんだん余分な評価がくっついてくる。「こいつはどうしてこうなんだ」「昇平はADHDだからうるさいんだろう」「これは病気なんだから、しょうがないんだ。一生治らないんだ」・・・。本人は聞いていないようで、実はこれらのことばをしっかり聞いている。そういうネガティブな評価は、できるだけさせたくない。どうしても落ちつけないことを一番つらく感じているのは、他ならない昇平自身なのだから。

そして、もうひとつの、最も大きな目的は、学習効果を上げるため。
学習と言っても、学校の勉強には限らない。昇平は不注意の症状も非常に強いので、そのままにしておくと、生活の中で自然に学んでいくことを、学ばないまま大人になってしまう可能性が高い。そういう、生活全般の中での学習効果を上げたいのだ。
落ちつきがないと、見えるものも見えなくなってくる。聞いていても聞こえなくなる。気がつくべきことにも気がつかなくなる。何かを経験したり教えられたりしても、それをじっくり反芻して、頭の中に整理する余裕がなくなる。薬の力を借りて、学習のための余裕を作りたいのだ。学習のレディネスを整えるため、と言っても良い。
これはあくまでも昇平の場合だから、他の子どももこれと同じようになるとは、私は思わない。薬ではなく、環境調整や教え方、その他いろいろな別の手段で、しっかり学習効果を上げていける子どもも大勢いる。ただ、昇平がその不注意を改善して、学習を進めていくためには、どうしても薬の助けが必要だったし、今もまだやっぱり薬をやめるわけにはいかない、ということなのだ。

ADHDの薬物治療に関しては、非常に根強い反論があるので、蛇足かもしれないけれど、書き添えておく。

[05/01/04(火) 14:06] 病院 薬 日常

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