昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

冬休みの日記

火曜日
年末に降った雪が庭にまだどっさり残っている。昇平は毎日完全防備で出て行っては、雪遊びをしている。(完全防備=アノラック・スノーパンツ・マフラー・手袋・防水キャップ・裏起毛の長靴)しばらく一人で遊んでいたと思ったら、玄関を開けて母を呼んだ。
「氷ちょうだい、こおりー!」
「氷? 氷なら外にあるでしょう」
「違うの。四角いのがほしいの!」
「四角い氷? ・・・ああ、冷蔵庫の氷のことね」
いったい何のために、と思いながらも、冷蔵庫から氷を5,6コ出して渡してやると、昇平はニコニコしながらまた外に出て行って、まもなくまた母を呼んだ。
「お母さん、ちょっと来てよー! お供えをしたよ!」
は? お供え??
昇平に連れられて庭に出ると、砂場のところに小さなかまくらのように積み上げた雪があって、その中にカービィの雪だるまが置かれていた。そして、その前には雪で四角い台が作られ、氷がお供えの団子のように置かれていたのだ。
「お母さんもおがんでいいよ」
と昇平が満面の笑顔で言った。なるほど、カービィのお地蔵様というイメージなのね。
雪像に手を合わせてみせると、昇平がまたニコッと笑って言った。
「これで、何かいいことがあるかもしれないよ」

昇平は最初は雪でカービィの人形を作っていたのだけれど、それが発展して、最後にはこうなった。どことなく首尾一貫している発展のしかたに、ちょっと感心してしまった。

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水曜日
今年初めての歯医者に行った。
年末におやつを食べていたら奥歯の詰め物がとれてきたのだが、よく見たら、その下が虫歯になっていたのだ。歯医者が正月休み明けになるのを待って、予約を入れて行ってきた。

昇平は朝から「歯医者、怖いよー」と言っては「うそうそ。怖くないよ」と自分で否定していた。自分なりに、怖くてもがんばろうと考えていたらしい。
診察室にはいると、治療の道具がある台や椅子がすべて一新されていた。昇平はすぐに「新しいね!」と気がついていた。
それから、自分から椅子に上がり、先生が来ると、自分から大きく口を開けた。おお、これは進歩! 今までは、口を開けようとしても、怖くてなかなか大きく開けられなかったのに。
自分一人でレントゲン室に入って写真を撮ってもらうこともできた。
「さあ、それじゃやろうか」と先生がドリルを取り上げると、「削るの?」と聞き、「削るよ」と言われると、また自分から口を開けた。おーーーー!!
自主的に大きな口を開けるので、治療も楽に進む。途中、うがいをした後、もう一度治療を受ける体勢になるのに「ちょっと待って。ちょっと待ってて」と心の準備に少し時間がかかったが、先生から「早くやろうよ」と声をかけられると、また椅子に横になって大きな口を開けた。結局、削るのも2回だけで済み、あとは型取りになった。「もうこれで終わりなの?」と昇平自身がびっくりしていた。

型取りは、ちょっとうまく行かなかったようで、もう一度取り直しになった。技工士さんからそう説明されると、「ぼく、動いちゃった?」と昇平が心配そうな顔をした。おや・・・これも今までには見られなかった言動だ。
自分がここ(歯医者)で何をするべきか、どうするべきかをきちんと把握していて、そうしようとがんばっていたんだね。
優しい技工士さんから「ううん、違うよ。こっちがちょっと失敗しちゃったの」と言われて、ホッとしていた昇平だった。ふーん・・・。

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水曜日の夜
夕食のとき、祖父が、歯が痛むと言いながら夕食を食べていた。こちらは虫歯ではなく歯槽膿漏か歯茎の炎症らしい。一口食べては顎を押さえ、痛みに耐えながらの食事で、とてもつらそう。その様子を見て、昇平が心配そうな顔をした。
「おじーちゃん、どうしたの? 泣いてるの?」
「ううん、泣いてはいないよ。でも、歯が痛くて、熱いものを食べるとしみていたいんだって」
と母が教えると、昇平があわてたような顔をした。
「どうしよう。どうすればいいの?」
と心配するので、
「おじいちゃんは明日、歯医者に行くんだって」
と教えると、ああ、それなら、という表情で、また落ちついた。
へー・・・・・・・・・

何と言っていいのかよく分からないけれど、とにかく、昇平の言動が今までと違ってきているのを感じる。
いろいろなものごとから、自分で判断したり考えたりするようになってきた、ということなんだろうか。
それが、家族への思いやりのような形になって現れることも出てきた、ということだろうか。
なんにしても、またひとつ成長したんだなぁ、と感じている。

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ちなみに、リタリンはずっと3/4量のまま。上記の通り、言動は非常に落ちついている。

[05/01/06(木) 10:48] 薬 日常

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