昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

大掃除


昨日の朝、昇平がガン○ムのプラモデルのシールドを探し始めた。「ここに置いたはずなのにない!」と言って。
母も一緒に探すのを手伝ったけれど、おもちゃともつかない細々したがらくたが多すぎて、全然見つからない。部屋の中は冬休みの間に徐々に散らかり、ふとんを敷かない壁際に、おもちゃやがらくたが積み重なって、得体の知れない地層ができあがっている。その中から小さなプラモデルのパーツを探し出すのは、至難の業なのだ。
「今度掃除をしたら見つかるかもしれないから、今はこのくらいで切り上げよう」と持ちかけたけれど、昇平は「いや、ぼくは徹底的に探す」と言って、一人で部屋の大掃除を始めた。箒とちりとりまで持ち出して、本格的に取り組む体勢。部屋の入り口には段ボールにマジックで『掃除中 入るな!』と書いた看板まで立てていた。

 ガラン、ガラガラ、ザザザー、ガチャガチャ・・・
おもちゃを押入から引っ張り出しているらしい音、部屋にぶちまけているような音。ごそごそと片づけている気配は伝わってくるけれど、はたして本当に片づいているのやら。逆に散らかしまくっているんじゃあるまいか。
不安を感じながらも、あえてやらせていたら、昇平が部屋から出てきて言った。
「お母さん、ゴミ箱がいっぱいになっちゃった。もう入らない」
「ああ、それじゃこれに入れなさい」
とゴミ袋を出してやったら、やがて袋に半分以上もぎっしりとゴミやがらくたを詰めて持ってきた。
「ぼく、もう飽きちゃったおもちゃもここに入れちゃったよ」
と言う。見ると、散らかる一番の原因になっていた残骸が入っている。パーツが不足しているパズル、壊れかけたミニカー、半端なビー玉やおはじき、今はもう遊ばなくなった古いおもちゃ、空き缶・・・。ほほー。
でも、燃えるゴミと燃えないゴミが一緒の袋に入っていたので、
「燃えないゴミはこっちに入れてね」
と、もうひとつ袋を渡した。昇平は2つの袋を持って張り切って部屋に戻っていった。
その後も、ごそごそと部屋を片づける音は続いていたが、やがて昇平がまた出てきて言った。
「お母さん、袋がいっぱいになった。もうひとつ」
乗り始めると徹底的にやりたくなる性分は誰に似たのか。今まで捨てるに捨てられなかったものも、思い切りよくゴミ袋に詰め込んでいた。紙粘土で作った作品(の残骸)、おもちゃのお札、ちびた鉛筆や出が悪くなったカラーサインペン・・・。
「部屋がすごくきれいになったよ! 見て!」
昇平が得意そうに母を部屋に案内した。
「ほら、これも空っぽになったよ。ここも空っぽだよ」
とすっきり片づいた引き出しや籠を見せる。
うーん、ホントだ。やるねぇ、昇平。

部屋が片づいた状態は、目で見て自分ではっきり分かる。
それが嬉しくて得意で、昇平はますます張り切って部屋を箒で掃き、ゴミを取り、自分なりに「これはまだ大事」というおもちゃだけを残して、部屋の片づけを終えた。
しかも、思いがけない場所から、探していたプラモデルのシールドも出てきた。大掃除をした甲斐があったというもの。


ここで、母に電話がかかってきた。外出していたおばーちゃんが、駅まで迎えに来てほしい、という。
母は車で20分ほど出かけていった。
戻ってきたら、昇平がおばーちゃんに駆け寄って言った。
「おばーちゃん、おかえり! ぼく2階をお片づけしたんだよ! カレーも一人で食べてたんだよ! 来て見てちょうだい!」
それから、母には
「ぼく、なわとびも自分一人でやったよ。前飛び40回と後ろ飛びも5回できたんだよ」
ほーほー。
自分で部屋を片づけたのが嬉しくて、その勢いでなわとびの宿題をやって、さらに自分でご飯をよそい冷たいカレーをかけて、一人でお昼を食べていたらしい。えっへん、どんなもんだい、という気持ちが顔に書いてあった。
片づけをした部屋を見たおばーちゃんに、「昇平くん、すごいねぇー!」とたくさんほめられて、ものすごく嬉しそうな顔をしていた昇平だった。


その後。すっきりと少なくなったおもちゃを引き出しに収めようとしていたところへ、ゆめがおかの5年生のBくんが突然遊びに来てくれた。昇平は狂喜乱舞。片づいた部屋へさっそくBくんを案内して、一緒にビーダマンで遊び始めた。
片づけを本当にがんばったので、神様から素敵なごほうびがあったらしい。
良かったね、昇平。

[05/01/07(金) 14:27] 日常

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