昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ペアレント・トレーニングな夜

土曜日。私は朝から用事で外出。昇平は午前中学童に行き、昼頃、旦那の迎えの車で家に帰って、午後はずっと2人で過ごしていた。
昼頃、旦那にメールを入れたら「今、昇平とちょうどお昼を食べているところ」と返信があったので、それで安心していた。

夕方家に帰ってみると、なんだか昇平がいやに落ち着かない。バタバタバタ、ドタドタドタ、ビデオを見ながらげらげら笑い転げ、あっちこっち走り回っている。うん? 最近にないハイパーぶりだな。
と思ったら、夕食の後、旦那が突然言った。
「昼ご飯の後、薬を飲ませ忘れてた!」
そう。旦那は昼食後のリタリンを飲ませ忘れたのだった。
先週はちゃんと飲ませてくれていたので、こちらもつい安心して確認しなかったのだわ。

昇平は、学童でもお友だちとヒーローごっこなどしてたっぷり遊んできたようで、遊び疲れと午後からのハイパー疲れで、夜にはすっかり眠そうな様子。でも、眠くなると、さらに行動の切り上げが悪くなって、さらにハイパーになるのがADHDの不思議なところ。お風呂に入ろう、と言っても、「後ではいる。お父さんと入る」と言って、パソコンをやり続けている。久々に、母からペアレント・トレーニング仕込みの対応を受けることになった。
「今すぐお母さんとお風呂にはいるのがいい? それとも、今すぐお父さんとお風呂にはいるのがいい?」
これは『選択』。どちらを選んでも、結局今すぐお風呂に入らなくてはならない。
「え〜・・・!!!」
「えー、じゃないの。だいたい、もうパソコンの時間は終わりでしょう? これ以上パソコンをやるなら、明日のパソコンの時間は減りますよ」
これは、ペアレント・トレーニングの中の『罰の予告』。怒ったように言うのではなく、あくまでも冷静に穏やかに静かな声で。これを『CCQ』と言う。
「やだぁ〜! ・・・5分残しておきたい」
本当は約束の時間をオーバーしていて、もう1分だって残っていない状態だったのだけれど、昇平の気持ちを汲んでこう言った。
「じゃ、今すぐお風呂に入ったら、明日のパソコン時間を5分間増やしてあげる」
これは『とりひき』。
「10分・・・」
とつぶやく昇平。
「5分だけです。それがいやなら、明日の時間は増やしません」
これは『宣言』になるかな。
「わかりました、わかりました!」
と昇平が答えたので、改めて聞いてみた。
「お母さんと、お父さんと、どっちと一緒にお風呂に入る?」
「お父さんと」
「はい、OK。それじゃ入ってらっしゃい」
というわけで、昇平は無事にパソコンを切り上げて、お風呂にはいることができた。

後で、旦那が頭をかきながら言った。
「いやぁ、まいった。なんだか本当に(多動や口答えが)すごいな、とは思っていたんだが、薬のことは全然思い出さなかったんだ・・・」
「これに懲りたら、これからは薬を飲ませ忘れないことですねぇ」
と笑いながら言ってやった。

久しぶりの多動全開で、昇平はすっかり疲れ果てていた。最近、ここまでハイパーになることはめったになかったから。夜も、母のお話を聞きながら、途中で寝入ってしまったが、その寝顔は天使そのものだった。
ホントにねぇ。君を育てていくのは手がかかるし、大変なんだけど、でも、お母さんは、子育ては嫌いじゃないな。楽しいからね。
だから、君みたいな子どもを授かったのかもしれないね。人より長く子育てを楽しめるように、って・・・。
隣で寝息を立てる昇平を見ながら、そんなことを考えてしまった夜だった。

[05/02/12(土) 22:45] 日常 療育

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