不安と人形・３−スライド

一日中「ウルトラマン」「ウルトラマン」と言っては母に否定してもらっていた昇平だが、ようやくそれがおさまってきたと思ったら、案の定、怖いものの対象がスライドし始めた。今度はウルトラマン人形の籠の中の特定と怪獣と、アニメの「カービィ」の中の特定のキャラクター。（どっちも、けっこうかわいい顔をしていると思うんだけどね。昇平的には怖いらしい）
まったく予想通り。(^_^;)

夕食の時には、その怪獣とキャラクターのことを口にしては、母にまた「言わないでね」と言ってもらっていたのだが、食事が終わる頃、ふと昇平が言った。
「ごめんね。たくさん話しちゃって。怖いものがいっぱいになっちゃって、ごめんね」
自分でも、普通の状態じゃないと自覚したのかもしれない。
とても深刻そうな顔をしていたから、髪の毛をくしゅくしゅっとかき混ぜてマッサージしてやったら、急に笑い出した。その顔は、いつもの顔だった。
気にしなくていいよ。
ドンマイ、ドンマイ。

[05/05/15(日) 21:01] 学校 日常