昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ラジオ体操に1人で参加する

夏休みのラジオ体操が始まった。
うちは隣の学区の学校に通っているので(地元校には特殊学級がないため)子供会には入っていないのだが、毎年この時期のラジオ体操にだけはまぜてもらうように頼んでいる。やっぱり地元との交流は少しでもあった方がいいし、中学になれば町内すべての小学校から一つの中学校に上がっていくので、そのための準備にもなるから。
おにいちゃんの時に一緒だった保護者もたくさんいるので、私自身も、久しぶりにその人たちと会って話せる楽しい機会でもある。
でも、今年は初めて、昇平1人だけでラジオ体操に行かせることにした。
日記でたびたび書いているとおり、4年生になって、昇平はいろいろな面で「自立」をし始めている。もちろん、危なっかしいことは多々あるけれど、それでも、ちょうど歩き始めたばかりの子どもが、自分が歩けることを確かめたがるように、自分でやってみるということにとても意欲を示している。ラジオ体操は絶好の練習の場になるだろうと考えた。

初日には、私も一緒に行った。が、昇平は私を待たずに、ひとりでさっさと体操の会場まで行き、ラジオ体操のカードを家に忘れたことに気がついて、1人でまた取りに戻っていった。その様子を見て、やっぱりもう1人で来させる時期に来ているんだ、と確信した。
子供会の今年の会長さんは顔見知りの方。「大人にする勉強をさせたいんで、明日から1人でよこしますね。でも、何かあったらすぐ連絡くださいね」とお願いすると、向こうも快諾してくれた。
そして、今朝。台風が接近中だったけれど、ちょうどラジオ体操の時間帯だけ雨が上がって曇り空になっていた。
「6時20分になったらカードを持って1人で行ってね」と言っておいたら、ちゃんとその時間に2階から下りてきた。時間に正確なのは、こういうときにとても役にたつ。
ただ、今日もやっぱりカードを忘れていた。
「あれ、ラジオ体操のカードは?」
と声をかけると、「あ」と一言発して、ニコニコしながら後ろ向きに歩いて階段に戻っていった。・・・たぶん、ビデオテープを巻き戻してやり直すイメージだったんだろう。こういうところ、昇平はとてもひょうきんだ。私の目から見えなくなると、階段の途中で前に向き直って(このあたりの行動は、足音の違いで想像がつく)、あわてて2階の部屋に駆け戻っていった。で、体操カードを首から下げ、何食わぬ顔で出かけていった。
興奮しながら行くのかと思えば、案外落ち着いた足取りでゆっくり歩いていく。「ぼくは1人でも大丈夫だぞ」というのをアピールしたかったのかもしれない。

それから約30分後、昇平が帰ってきた。行きよりももっとゆっくりした足取りで、腕組みまでして戻ってきた。
玄関に入って祖母や母に一言。
「終了してきましたよ」
とても低い声で重々しく。
言葉づかいといい、声の調子といい、精一杯「大人ぶっている」のがわかって、とてもおかしかった。
体操カードにはちゃんとはんこも押してもらってきていた。うんうん。本当にちゃんと1人で行ってこられたね。
おじーちゃんもおばーちゃんも旦那も(注:お兄ちゃんは今、合宿中で不在)、昇平が自分だけでラジオ体操に行ってきたというので、とても感心していた。

その後、昇平は朝食を食べ、「歯みがきしたら?」という母の声かけに「デザートを食べたいから後でするよ」。でも、どうやらそれも母の言いつけに従いたくない気持ちからだったらしい。部屋に持っていったヨーグルトにはまったく手がつけられていなくて、ちゃんと時間になったら歯みがきに来た。
「お、ちゃんと自分で歯みがきに来たんだね。えらいねー」
と声をかけると、昇平、歯ブラシに歯みがきをつけながら、ぴょんとポーズを取って
「エリート昇平くん、参上ー!!」
・・・やっぱり、あんたってば、ひょうきん者。(笑)

ラジオ体操に1人で行って参加してくる、なんていうのは、普通なら1年生でもできることだけれど、それはそれ。昇平にとっては、この夏最適の課題だし、それを達成することで、また一段と自分に自信を持っているのがわかる。
君は一人前になっていきたいんだよね。
いや、子どもはみんなそうだ。
それを応援していくのが、我々大人のつとめだね。

[05/07/26(火) 09:07] 日常

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