昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
汗をかかない
今日の福島は台風一過の夏らしい青空。気温もどんどん上がって、日中は30℃を越す最高気温の汗ばむ陽気となった。
ところが、夕方おばーちゃんが言った。
「ねえねえ、玲さん、面白いのよ。わたし、暑くて額や首の後ろには汗をかいているのに、首の前の部分は汗をかいてないの。さわってみるとさらさらしてるのよ」
触れてみると、確かに首の後ろの部分は汗でべたついているのに、首の前の方(咽の部分)は汗をほとんどかいていない。
義母は手術の後遺症で首の前部の知覚がない。さわっても何も感じないし、暑さ寒さも感じないらしい。だから、お風呂で湯船につかると、口のすぐ下まで沈んでしまって、自分で「あっ、沈みすぎていた!」と気がつくことがあるという話。
「暑さを感じない→だから汗をかかない。」
この公式は、考えてみれば当然のことだったのに、私の頭の中にはなかった。
体は暑さを感じとると、脳にその信号を送る。脳は送られてきた信号から、「これは体にとって危険レベルの外気温だ」と判断し、体温が上がりすぎるのを防ぐために「汗を出せ」という信号を汗腺に送る。そして、汗の気化熱で体温を下げて外気温から自衛する。
ということは、逆に言えば、暑さを感じていなければ、どんなに外気温が高くても汗は出てこないということ。
おばーちゃんは幸い知覚がないのが首の前の部分だけなので、全身では気温を感じることが出来るし、汗をかくことも出来る。
でも、もしも、体全体の知覚神経が「暑さを感じ取りにくい仕様」になっていたら?
外気温がどんなに高くなっても、体は汗をかかない。・・・体温が上昇してしまって、熱中症を起こしかねない。
花風社の対談本『自閉っ子、こんな風にできてます』の冒頭に、「南の島に行ったら体温が上がりすぎて大変なのでは?」とリンコさんが浅見さんを本気で心配した、という場面があるが、ああ、これなんだなぁ、とつくづく思った。温度に関する知覚が非常に弱い人たちの場合、外気温に対応した汗をかけないから、体温調節がうまくできなくなるのだろう。
でも、かくいううちの昇平も、幼い頃にはあまり暑さ寒さを感じていなかった節がある。汗もあまりかかなかったような気がする。
いや、それどころか、痛みすらあまり感じていなかった節があるのだ。転んでも全然泣かない子だったから。そんな場面を見るにつけ、性格が強いからではなく、痛みを感じる感覚が弱いようだな、と母である私は漠然と感じていた。
成長につれて、昇平はいつの間にか汗をかくようになり、痛みを感じるようになったので、このあたりのことは、その人によって、程度や発達の段階が違うのだろうとは思うけれど。
夏はこれからが本番。ますます暑い日が続くことだろう。
汗をあまりかかない、暑さをあまり感じていない様子のお子さんには、夏場の体温調節や熱中症に、特に気をつけてあげたほうが良いかもしれない。
[05/07/28(木) 20:24] 知識