昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
夏休みの成長
この夏休み、昇平はまた一段と大人になった気がする。
毎日のように通った学童では、4年生が最上級生。夏休みの間は、同級生も何人か学童に来ていたが、とにかく一番年上であることには変わりがない。いつも家や教室で「一番年下」の立場ばかりだった昇平には、一人前扱いしてもらえる貴重な時間をたくさん過ごせたんじゃないだろうか。
ガールフレンドの1年生の女の子とは、
「ぼく、Sちゃんがだーいすきだよ!」
「あたしも昇平くんがだーいすき!」
と話し合っていたそうだ。「なかなか面白かったですよ」とは、それを目撃していた鴨原先生の談。
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学童の帰りには、たいていスーパーに買い物に回るのだが、この夏は意識してこんなふうに昇平に頼んできた。
「はい、そこの力持ちのお兄さん。荷物を持ってちょうだい」
すると、昇平は「嫌だ」とも言わず、重たい買い物カゴやスーパーバッグをうんうん車まで運んでくれた。
実際、かなり力も付いてきて、本当に戦力になるようになってきたと感じている。力のある息子が2人。これから母は楽が出来るかも?
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連日のようにプールに入ってこんがりと日焼けしたのも、皆から感心されるので得意だったらしい。
あるとき、口の周りに汚れが付いていたので、「昇平くん、口の周りが・・・」と言いかけたら、昇平、ニヤッと笑って「焼けてたくましくなってる?」。
・・・ま、いいですけど。
今朝登校してみたら、教室の中で一番日焼けしていたのは、間違いなく昇平だった。そうやってたくさんプールに入って、ついに泳げるようになった、というのが、この夏一番の自慢の元だったんだよね。
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盆に母の実家へ泊まりに行くときのこと。小さないとこが泣いてしまうのでは、と昇平が心配していたので、おばーちゃんが言い聞かせていた。
「赤ちゃんはね、お話しできないから泣いて自分の気持ちを伝えるの。昇平くんは大きなお兄さんだから、赤ちゃんが泣いても我慢してあげなくちゃいけないんだよ」
すると、昇平は憮然とした顔つきになって、
「それはわかってるんだよ。だけどねー、どうしてもイヤなんだ」
その口調がまた大人っぽくて、わきで聞いていた私は目が点になった。
いつのまにか、自分自身の気持ちもモニターできるようになっていたんだね。自分自身の葛藤みたいなものまで、感じられるようになっていたんだ。
自分の気持ちがモニターできることは、他人の気持ちを理解するための基礎。
確実に次の段階に上ってきているんだ、と思った。
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2学期が始まった今日、教室に来たドウ子先生が、子どもたちを見るなり言った。
「わー、なんかみんな大きくなったような気がするー!」
実際、子どもたちはみんな背が伸びて、手足も背中も一段とたくましくなっていた。
昇平はとうとう靴のサイズがドウ子先生と同じになってしまった。
「うわー、昇平くんにも追い越されちゃったかー!」
とドウ子先生が声を上げると、昇平は飛んでいって先生と背比べをした。
早く身長も追い越したい、と思ったんだろうな。
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昇平は、本当に2学期が始まるのが嬉しくてたまらない様子だった。今朝など、興奮して5時半に起き出してきた。
学校に着くと、張り切って教室に飛び込んでいって、久しぶりにあったCくんやDくんと嬉しそうに話していた。
夏休みの間に様変わりした教室前の花壇にも目を丸くしていた。
こんなふうに楽しみな気持ちで2学期を迎えられるのは幸せなことだなぁ、とつくづく思った。
夏休み中、お兄さんになる経験をたくさん積んだし、家でのんびり過ごして充電も完了したので、「よし、また学校をがんばるぞ!」と思えたんだろう。
明日8月26日は昇平の誕生日。
昇平は10才になる。
[05/08/25(木) 10:44] 学校 日常