昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
風呂での体の洗い方
最近、昇平はいろいろな行動が早くなってきた。お風呂もひとりでさっさと体を洗って、湯船に使って上がっていくし、食事も早い、着替えも早い(ことが多い)。
ところが、その反面、目立ってきたのが「行動の雑さ」。
早いのはいいのだけれど、どうにも雑な仕上がりになる。風呂で体を洗うのはほんの30秒。形程度に石けんをつけるだけで、背中なんてほとんど洗っていない。食事を終えたとき、茶碗にご飯粒はびっしり、椅子の下にも食べこぼしがたくさん。着替えをすれば、シャツの下からランニングの裾が見えている。
なので、今は、ひとつひとつの行動を一定レベルまで仕上げられる練習をしている。
ご飯を食べるときには、ご飯粒までちゃんと食べて、お茶碗を重ねて「ごちそうさま」。学校に行く前には鏡の前で「身支度チェック」。区切りのいい時間を見計らって、自分の目で確かめてできるように、と声をかけているところ。
ところが、この中でも「目に見て確かめられない」行動というのが、なかなかうまくいかない。
具体的には、お風呂に入ったとき。「体を隅々まで洗ってね」と言っても、ちゃかちゃか大急ぎで洗って、ザザーと流してしまう。汚れを洗い流すと言ったって、別に全身が泥や色つき汗にまみれているわけじゃないから、本人としては、「洗う」という行動がきちんと体をきれいにしていることという実感に結びつかないのだろうと思う。特に、自分では見えない背中は、「ちゃんと洗ったよ」と言いながらも、半分以上洗い残されている。しょうがないから、ときどき私が手伝っているけれど。
そこで、石けんの泡を目印にしてみようと思った。
「体中が全部泡だらけになるように洗うんだよ」
ところが、やっぱり、ちゃかちゃか・・・ザザー。
見ていると、体の他の部分も、ただちょっとこするようなスタイルをするだけで、実質は、ほとんど洗えていない。要するに、「面倒くさい」のだ。
体を洗うことの意味や意義は、理屈ではわかっているのだけれど、「めんどくさい」。歯みがきも、丁寧にやらないと虫歯になるのはわかっている。でも、やっぱり「めんどくさい」から、ちゃかちゃか・・・ガラガラ、ペッ。
ADHDがある人は、日常的に繰り返す行動が、なかなかうまくできないのが特徴なのだけれど、まったくそういうことだなぁ、と思ってしまう。
問題は、この「面倒くさい」が、彼らの場合、怠け心から出てきているわけじゃないということ。
人は、例えば風呂での体の洗い方にしても、「このくらい洗うのが普通」というような、一定の基準を持っていて、そこまでやるのが当然だという頭がある。もしも、お風呂に入るたびに、全身を30分以上かけて洗って、さらに美容オイルを全身に塗ってマッサージをして、髪はシャンプーしてパックを欠かさずに・・・なんて言われたら、よほど美容に感心のある女性でもなければ、「そんな大変なこと、めんどくさくて毎日なんかてできないよー!」と言い出すに違いない。
ADHDのある子どもたちにとって、風呂で「このくらいが普通」という程度に洗うのは、もしかしたら、この30分以上かけて洗って美容オイルを・・・という洗い方に匹敵するくらいの面倒くささなのかもしれない、と思うのだ。
単調な繰り返し作業に集中しにくい。過程の多い作業にはすぐうんざりする。毎日同じことだと飽きる。彼らの脳がそういうふうにできているのだから、これは、「おまえは怠け者だ。性根を入れ替えろ!」と叱っても、しょうがない。
だけど、(風呂での洗い方に話題を絞るけれど)、一定のレベルまできちんと体を洗っておかないと、結局は不衛生だし、夏場ならあせもが出たりもする。自分自身が困る結果になるから、ADHDの特性を頭に入れながら、「じゃあ、どうしようか?」と考えることになるのだ。
今は、基本は本人に洗わせておいて、2,3日に一度は母が体を洗う手伝いをしてやっている。でも、彼だって間もなく母とは一緒に風呂に入らなくなるだろうから、そろそろ別の手だてを考えて行かなくちゃならない。
どうしたら、体をきちんと洗うようになるか。
本人にあまり負担なく、効果的に体を洗う方法は何か?
最近は風呂に入るたびにそんなことを考えているのだけれど、なかなか名案は浮かばない。
・・・これを読んでいる皆様、お風呂での体の洗い方に、何か良いアイディアはないでしょうか?
[05/09/13(火) 05:30] 日常