昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ごめんね。

フリー参観のレポート中だけれど、ここでちょっと閑話休題。・・・というか、昨夜の話。

昨夜、私はものすごく眠かった。とにかく眠かった。ひたすら眠かった。
昇平にいつものようにお話は読んでやったけれど、あとは寝る前のトイレについていくのもそこそこに、さっさと部屋の電気も消して、自分の布団にもぐり込んで「おやすみなさーい」。
すると、昇平も布団に入って、いつものように私のそばにくっついてきた。が、彼はまだあまり眠くなかったらしい。もぞもぞ動いてばかりいる。とろっと眠くなるたびに、わきで動かれるものだから、私は眠れなくてイライラ。「眠れないよ!」と文句を言ったら、「ごめんなさい」と言って、昇平がおとなしくなった。
ところが、いよいよ眠りに落ちそうになった瞬間、昇平が突然笑い出した。「くすっ、くくくくく・・・」 何か思い出し笑いをしたらしい。「うるさーい!」「ごめんなさい」 やっと静かになったと思ったら、またぞろ「くすくすくす・・・」。
――爆発。
「笑いたいんなら、隣の部屋に行ってなさい! あっちで笑ってきなさい!」「はい」 昇平、しおしおと部屋を出て行った。隣の部屋ではお兄ちゃんがゲームをやっていた。「どうしたの?」と聞かれて、昇平が説明している声が聞こえる。・・・普段は昇平を邪険にするお兄ちゃんなのに、こういう場面になると妙に同情的というか、同盟的な雰囲気になるんだから、兄弟って不思議だ。
私は寝そびれてしまって、眠いのになかなか寝つけない。そこへ、お兄ちゃんに促されて、昇平が部屋に戻ってきた。布団に戻って・・・また、がさごそ音がする。紙を持っているような音。あーもう、うるさいうるさい!
「静かに!」と言ったら、動きは止まったけれど、まだ紙の音はする。いったい何をやっているんだろう、と見てみたら、昇平はメモ用紙を顔の上にのせて、上から手で押さえていた。そのほっぺたに、涙のしずく・・・・・・。
「泣いてるの?」と紙をどけたら、昇平は声を立てずに泣いていた。

あちゃ☆

あわてて昇平を抱き寄せて、抱きしめた。
「ごめんね。お母さん、眠くて怒りんぼだったね。笑うのも動くのも我慢できなかったんだよね。もうわかったよ。ごめんね・・・」
昇平は私の腕の中でしくしくと泣き続けていた。私は抱きしめて、とんとんと背中を叩いてやるしか、することがなかった。
わかっていたんだよ。眠りに落ちる寸前の瞬間、何かの拍子で日中のできごとや読んだ本を思い出して、笑ってしまったりする瞬間があるってこと。眠いからこそ、体が落ち着かなくて、もぞもぞ動いてしまうときがあるってこと。やりたくてやっているわけじゃない。笑いが勝手に出てきたり、体が勝手に動いてしまって、自分でもどうすることもできないんだよね。
わかっていたのに・・・お母さんは眠くて眠くて、それを思い出している余裕がなかったんだ。

そのうち、少しずつ少しずつ、昇平が静かになっていった。眠ったわけではないけれど、泣きやんで、静かな息づかいになってきた。
ゆっくりと腕を開いていくと、昇平は静かに枕に頭をのせた。
「おやすみなさい」と昇平が言ってきた。
「おやすみなさい」と私が答えた。


今朝、昇平は起きるとすぐに台所に降りてきた。ニコニコ笑顔で「おはよー!」と言って、私の顔を見るとこう言った。
「お母さん、昨夜の思い出」
これは、一種独特な昇平の言い回し。でも、私には言いたいことがわかった。「おかあさん、ぼく、昨夜のことを覚えてるよ」という意味なのだ。なので「昨夜はお母さん、眠くて怒りんぼだったんだよね。ホントにごめんねー」と謝った。
昇平はもっとニコニコ顔になったが、自分の席に出ていたデザートのリンゴを見つけて言った。
「これ、昨夜のおわび?」
う〜ん、そういうわけでもなかったんだけど・・・でも、昇平にだけリンゴを出しておいたってことは、無意識に私もそう考えていたのかな?
とにかく、朝ごはんをたっぷり食べて、デザートのリンゴもぺろりと食べて、今朝はすっかり元気な昇平になった。
母は、いくら眠くても、当たり散らすのはやめよう、と心の中で多いに反省。
ほんとにごめんね、昇平。

[05/10/01(土) 14:08] 日常

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