昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
フリー参観・4
歌の次は音楽鑑賞になった。「ふしの特徴を感じ取ろう」という単元目標にそって、バイオリン演奏のDVDが再生される。なめらかな曲調の「あいのワルツ」と、はずむような曲調の「ピチカート・ポルカ」。目で見ただけでも、演奏の違いがはっきりわかる曲だけあって、子どもたちはみんな、曲の違いをつかみ取っていた。昇平もしっかり聞き分けていたようで、音楽ノートに一生懸命書き込んでいた。
次はリコーダーの練習。昇平は、隣の席の子の手元をのぞき込みながら、これまた一生懸命吹いていた。・・・あれ? 昇平、右手と左手が反対になってるよ?
演奏した曲が片手だけの動きですむ曲だったからか、リコーダーの構えがまだ完全に身についていなかったからか、昇平だけリコーダーを持つ手が逆になっていたのだ。でも、本当に一生懸命、がんばって吹いている。「1人でも演奏できるくらい自信がある人!」と先生に呼びかけられると、隣の子たちと一緒になって手を上げて、立ち上がって演奏していた。・・・おーい、指使いが間違ってますけどぉ?(笑) でも、お友だちと一緒にとても積極的に参加しているのがわかって、見ていて、とても嬉しかった。
結局、音楽も体育と同じことだった。
確かに、あちこちに能力的な弱さは抱えている。でも、「みんなと一緒に」同じ授業を受けることで、音楽でもまた、とても大きなものを学んでいるのだ。「共に歌ったり演奏したりする楽しさ」「音楽を楽しむ喜び」・・・そんなものを。
その後、授業の様子を聞いたドウ子先生が、音楽のK先生と昇平について話し合ってくれたそうだが(それも20分間も!)、K先生の見解も同じだったようだ。音楽の技能的なことを考えれば、一対一で個別指導した方が、昇平の音楽的能力は伸びるかもしれない。けれども、たとえ若干わかりにくいところがあったとしても、皆と一緒に音楽の授業を受けることのほうに意義があるような気がする、と。
それでは、どうしようか? と担任のドウ子先生と一緒に考えた。
結局、音楽の歌い方については、ゆめがおかの時間でフォローしてもらうことになった。音楽の授業中や、授業後に個別指導するのは、専科による授業であること、昇平がゆめがおかに戻らなくてはならないことなどと考え合わせると、ちょっと不可能だからだ。新しい歌に入ったときなどに、ドウ子先生に一対一で歌い方を確認してもらえば、それだけでかなり理解度が違ってくるだろうと思う。
リコーダーの構え方は、ドウ子先生が昇平の手の甲に「上」「下」と赤ペンで書いてくれた。それを見ながら教室で練習してから、音楽の授業に臨んだらしい。視覚的支援。これで、昇平もばっちりリコーダーを構えられた・・・と思う。(笑)
正直のところ、昇平のように個別指導のほうが技能的にアップする子というのは、他にも何人もいるのだろうと思う。
後ろから見ていると、昇平と同じように、途中でわからなくなって歌えなくなっている子も、リコーダーの指使いがたどたどしい子もいた。その子たちをどうフォローしていったらいいのか、K先生も日々悩んでおられるのだと聞いた。
すみません。うちは、特別支援教育システムの特権を、最大限に利用させていただきます。ゆめがおかでフォローしてもらいながら、音楽の授業に臨みます。体育では、介助の先生やお友だちに助けてもらうことで参加していきます。
本当は、同じようにフォローしてもらいたい子どもたちは、他にもたくさんいるのだろうけれど・・・。
わが子の特徴をしっかり把握しているからこそ、そのフォローを期待して、私たちは昇平をゆめがおかに入れたのだもの。
というわけで、音楽の授業でも、特別支援教育の意義やありがたさを改めて感じることになった。
うん、本当に良い授業参観だった。
[05/10/04(火) 15:06] 学校