昇平てくてく日記
幼児〜小学校低学年編
フリー参観・5
やっとフリー参観レポートも最終回になる。書くことが盛りだくさんだった上に、忙しくて更新の暇がなくて、半月以上もかかってしまった。(苦笑)
【4校時目―生活単元】
その日の授業内容によるけれど、ゆめがおか2では、割と4校時目に生活単元が来ることが多い。というのも、子どもたちが学習に疲れてきて授業に集中しにくくなるうえに、昇平のようにリタリンを飲んでいると、4時間目あたりに薬が切れてきて、ますます集中力がなくなってくるからなのだ。
ここで体や手を動かす生活単元をすると、子どもたちにはいい気分転換になるし、机での勉強だけでない、大事な学習も積んでいくことができるようになる。
さて、この日の生活単元は、毎年秋に行われる学校集会のお祭りでやる「ダーツ屋さん」とその賞品についての打ち合わせ。先に一度話し合って、ダーツの白い部分に当たったら当たり、黒い部分の時にははずれ、と子どもたちで決めたのだが、「本当にそれでいいかどうか、お客さんの気持ちになって考えてみよう」とドウ子先生は呼びかけ、「客」と文字を書いたメダルを子どもたちの首にかけさせ、お客さんの立場でダーツを投げるロールプレイングをすることになった。・・・わー! これってSSTだー!!
実際に投げてみると、ダーツの的にある他の色(赤や緑の境界線や、中央の赤い部分)に当たったときにどうするか、とか、1度投げて当たらなければダメと言うことにして本当によいのか、とか、いろいろな問題に気がつくことができた。・・・というか、自分が投げる立場になると、「それじゃヤダよ! そんなのないよー!」という発言が出てくるのだ。
これを客の立場に置き換えて、子どもたちに意識させるのは、また先の授業内容になりそうだったけれど、とりあえず自発的に客の意識になって、いろいろなことを感じられたようで、ロールプレイングとしてはまずまずの出来だったんじゃないかと感じた。
ただ、ドウ子先生が一番考えていた「せっかく的に当たったのに黒い部分だったのではずれにされてしまったお客さんの気持ち」への気づきは、子どもたちの投げ方がうますぎて、黒い部分に当たった子がいなかったので、残念ながら体験できなかった。これもまた先の授業内容かな。
面白かったのは、通級に来ているF子ちゃんが投げたとき。
F子ちゃんは実はダーツが苦手で、矢が的に全然届かない。すると、それまで「お客さんは1人1回しか投げちゃダメなんだよ!」と言い張っていたCくんが、突然「F子ちゃんはもう一度投げていいよ〜」と態度を急変。しかも、また投げても届かないと、「もっと前から投げていいよ」。果ては、「当たるまで投げていいよ〜」。あまりに態度が違うので、見ていて大笑いしてしまった。
他の男の子たちも、男同士の時には「次は俺だ」「次はぼくの番だぞ」みたいに押し合いへし合いやっていたのに、F子ちゃんの番になったとたん、みんなで「がんばれ〜!」「F子ちゃん、がんばれ〜!」と応援団。・・・なんか、みんなずいぶん態度が違うんじゃありませんかー?(笑) それをドウ子先生が「そうだね、1年生とかだと的に矢が届かないことだってあるよね」と上手に持っていって、学年によって矢を投げる距離を変える、という配慮につなげていた。おみごと。
その後は、賞品がたりないという気づきがあって、賞品製作になった。ビーズアイロンで小物を作ったり、人によっては、家庭科の授業の応用で、アイロンフェルトと糸でワッペンを作ったり。子どもたちの自主的な意向を汲んで、DくんとF子ちゃんはワッペン、昇平とCくんはアイロンビーズになった。
昇平はパソコンでの作画になれているので、ドットで絵を描くことが非常に得意。アイロンビーズは台紙の上にビーズを並べて形を作り、アイロンでプレスしてくっつける、というものなので、まさしく彼の特技が生かせる内容なのだ。ゲームのキャラクターやアイテムなど、思うままに次々と作っていた。Cくんは大のお気に入りのムシキングにちなんで、複雑な形のカブトムシやクワガタを作っていた。これまた、ちゃんと形になっていて素敵だった。
こういう場面を見るたびに、この子たちは本来かなりすごい力を持ち合わせているのだなぁ、とつくづく感じる。
自分でいろいろなものを思いつくし、それを実現するのにどうしたらいいかという手段も考えることができるし、やりたいとなれば万難を排してでもやり遂げようとするエネルギーも持っている。そして、そうやって作り上げたものは個性的で、どこかキラリと光る魅力がある。
その力を発揮するためには、いろいろなサポートが必要になるのだけれど、逆に言えば、サポートさえあれば、彼らは人並み以上の素晴らしいものを作り上げることだってできるのだ。改めて、理解とサポートの大切さみたいなものを感じてしまった。
ちなみに、製作の最初のうちは、男の子たちがお互いに「○○くんはこれ、△△くんはこれをやりなよ」と『お互いに』相手を仕切ろうとして、ドウ子先生に指導されていた。1人だけでなく、全員がそんなふうだったので、こういうところは皆同じなんだな〜、と思っておかしかった。自分が仕切られるのはいやなくせに、他人は仕切りたいんだよね。
こんなところでも、自然とSSTが行われていたような気がした。
[05/10/15(土) 12:58] 学校