昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

ゆめがおかの朝の風景

昇平は毎朝私の車で登校する。
学校に到着すると、私も昇平に付き添って教室まで行く。初めの頃こそ、昇平の朝の支度の手伝いをするためだったのだけれど、昇平が自力で準備できるようになってからも、ずっと教室に長居する習慣は続いている。だって、子どもたちがみんな、かわいくてしかたがないんだもの! ついつい教室に長居してしまって、30分から、長い時には40分以上も居座っていたりする。文句も言われないので、楽しく過ごさせてもらっているのだけれど。(笑)

さて、そんなゆめがおかの今朝の風景。

Cくんはいつも教室に一番乗り。まだ暗い教室で、一人でさっさと着替え、準備もすませて、黙々と本を読んだり、紙にキャラクターを描いていたりする。このキャラクターは、休み時間等に他の子たちと遊ぶアイテムになる。
二番手は昇平だったり、Dくんだったり。今朝は昇平の方が早かったので、Dくんは教室に入ってくるなり「あ〜、なんだよ〜!」と声を上げた。
実はDくんと昇平は、どちらが先に着替えを終えるかで密かに競い合っているのだ。お互い、気が散りやすくて、すぐに着替えが中断してしまうのだけれど、それでも、ちらっちらっと相手の進み具合を確認しては、また着替えをがんばる・・・という具合。今朝は昇平の方が到着がとても早くて、着替えまですっかりすませてしまっていたので、Dくんが思わずがっかりした、というわけ。
そこで、私はDくんに説明。
「今朝はね、昇平くんのおばあちゃんを駅まで送るのに、いつもより早く家を出てきたから、学校に到着するのもずっと早かったんだよ」
「な〜んだ、しょうがないなぁ〜。今日だけは許してやるとするか」
と、ちょっぴり偉そうにDくん。
「うん、許してやってちょうだい」
と答えながら、私は密かに大笑い。ホントにDくんと話していると、楽しくてしょうがないわぁ。
やがて、通級のHくんも登場。「おはよう」と声をかけると、にこにこしながら、教室の後ろのテーブルでパズルを始めた。朝、ひとしきりここで過ごしていくと、自分の教室でも落ち着いてがんばれるらしい。

昇平とCくんが、紙に絵を描いたり、工作用紙を切り抜いて組み立てたりしたキャラクターで遊び始めた。たとえゆめがおかでも、家から持ち込んだおもちゃで遊ぶことは厳禁。そうすると、子どもたちも考えるもので、カードやフィギアに見立てたキャラクターを紙で作って、それで遊ぶのだ。それでム○キングの対戦や、ガン○ムごっこ、テレビゲームごっこなどをやっている。必要は創造の母かも。
すると、着替えが終わったDくんがそばに来て、昇平のすぐ後ろにくっついて眺め始めた。昇平は接触防衛反応はないから、まったく平気。でも、自分のキャラクターをDくんがやおら取り上げたので、「あ〜、返せよ〜」と声を上げた。すると、Dくん、キャラクターをぽいっと投げた。「なにするんだ、もう〜」と拾い上げる昇平。すると、Dくんがまた別のキャラクターを取り上げて放り投げた。「やめろってば」と怒る昇平。
さすがに、こういう場面だけには私も口を出す・・・のだけれど、その先手を打つように、昇平が言った。
「まざりたいんなら、『まぜて』って言えよ、もう〜」
あらら。ちゃんとDくんの気持ちがわかっていたんだ。
ところが、Dくんは下級生の昇平からそんなふうに言われたものだから、素直には聞けない。自分でも、そうすれば良かったんだとわかったようだったけれど、わざと知らん顔で自分の遊びを始めた。
昇平が何度も何度も繰り返し言う。
「まぜて、って言えよ、まぜて、って。まぜてって、言えってばぁ・・・!」
今度は、Dくんに「まぜて」を言わせようと、やっきになるが、D君が言わないものだから、怒り出してくる。
なので、今度は本当に私の出番。
「昇平くん。そう教えるのは正しいんだけどね、教えるのは1回か2回でいいんだよ。その人が『まぜて』って言いたかったら言うし、言いたくないと思ったら言わなくてもいいの。そういうのは、その人の自由な気持ちに任されているんだよ」
ちょっと難しい内容になったけれど、まあ意図は通じたらしい。昇平はそれ以上うるさく言わなくなったし、Dくんも何も言わなかった。そして、お互い何か思うような表情をしていた。(笑)

Hくんは女の人のかわいい髪型が好き。昨日私が美容院で髪を切ってきたのに気がついて、近寄って髪の毛にさわった。ボブの髪型がかわいく見えたらしい。(笑)
これはこれで、いかにもHくんらしくてかわいい行動なのだけれど、将来を考えると、きちんと注意しなくちゃならないこと。(と以前担任と話し合ったことがある。)
なので、あえて言う。
「Hくん、女の人の髪の毛にはさわらないでね」
でも、Hくんはなかなかやめられない。さわらないでね、の指示を繰り返すと、ちょっと不安そうになってきた。
そこで、言い方変更。
「髪の毛は見るだけにしておいね」
とたんに、ぴたりとおさまって、Hくんの手が戻った。ああ、そうか、そうでした。「代わりにどうするのが正しいのか」を伝えてあげるのが一番大事だったんだよね。また一つ、私自身の勉強になった。

Hくんと一緒にメダカに餌をやって眺めたりしているうちに、ドウ子先生が教室に到着した。
先生が来ると、教室がパッと元気になる。明るい雰囲気に包まれて、「さあ、今日はなにをやろうかー!」という感じになる。
Dくんがさっそく話しかける。Hくんが通級に来る授業の打ち合わせをするために歩み寄る。昇平とCくんは遊びに夢中だったけれど、そういう時には、ドウ子先生の方から話しかけてくれる。ぐんぐんと教室が活気づいていく。
やがて、補助の西尾先生も到着して、教室のメンバーが勢揃い。西尾先生が来ると、今度はしっとりした雰囲気が加わる。元気なドウ子先生と、穏やかな西尾先生。なかなか良いコンビだなー、と思って眺めてしまう。子どもたちの方でも、自分の必要に合わせて、その時々で頼る先生を選んでいるらしい。
そんな様子を確かめながら、私は教室を後にした。「今日もよろしくお願いします」と頭を下げて。
子ども同士で育っていくもの。先生たち、大人との関わりで伸びていくもの。普通学級にもそれはもちろんあるけれど、ゆめがおかには、なお丁寧な形でそれがあるのかもしれない。少人数だからこそ、できることなんだよね。

昇降口の外に出ると、青空から冷たい風が吹き下ろしてきた。11月も後半。冬はもうすぐそこだ。
二学期もいよいよしめくくりの時期を迎えようとしている。今日も、丁寧な支援を受けながら・・・子どもたち、がんばれ!

[05/11/17(木) 13:54] 学校

[表紙][2005年リスト][もどる][すすむ]