昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

生活の中のソーシャルスキル・トレーニング

連絡帳から。

11月28日(月)   記録者:ドウ子

今日、国語「ウミガメの卵を守る」の単元テストをしました。
今回は、いつものようにテストの上半分にのっている文章から答えを探すものではなく、国語の教科書を全部読んで答えるものだったので、難しいと思ったのですが、90点をとりました。力がついてきたなぁ、と思いました。
昼休みには、私に「僕、他の組で遊んでくるから!」と言うので、「どこの組?」と聞くと、「いいから、いいから・・・」とあえて教えたくない様子。
仲良しのRくんがいる2−2かと思っていたら、Rくんがゆめがおかに遊びに来て、「昇平くんなら3階に上がっていったような・・・」と。(注:3階には昇平の交流級など4年生の教室がある。) そのうち、昇平くんはひとりで教室に来て、黙ってズックをはきかえ、外に行きました。最近自分なりの昼休みを楽しんでいるようです。

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国語力の向上と、友だちと過ごすソーシャルスキルの向上には、相関関係があるのかもしれない、とこれを読んで感じた。
昇平が最近、いろいろな事実を結びつけて考えるようになってきたのは、日々感じているところなのだけれど、加えて、話がとても通じやすくなってきたのも感じている。事実と事実を結びつけて、関連づけて考察できる力と、ことばで説明された内容を理解できる力が伸びてきたことが、国語力も、人と関わる力も、伸ばしてくれているのじゃないだろうか。そんな気がしている。

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人との関わりが増えてきた分、本人に教えなくてはならないことも増えてきた。いわゆるソーシャルスキルトレーニングだ。去年と比べても、格段にその機会が増えている。
今日は放課後、虫歯の治療のために歯医者に行った。治療そのものはとても上手に受けることができたが(これも1,2年前と比べると格段の進歩。本当に成長したな〜!)、治療の後、待合室に戻ったら、少し年下らしい男の子がゲームをやっていて、昇平はそれが見たくてたまらない。母が何度も制止しているのに、聞き入れずにゲーム機をのぞき込み、だんだんその子に迫っていって、最後には無理やり隣に座ってゲームをのぞき込んでいた。
これは、以前にも何度か見られた行動。
幼い子どもならば、そういう行動も許されるけれど、もう10才ともなると、見ず知らずの子(人)のゲームを断りもなく「のぞき込む」という行為は非常に不自然に映る。もっと年齢が上がれば、もっと誤解される行動に見られてしまうだろう。その時にゲームをやっているのが女の子だったら、どう思われてしまうか・・・・・・・・・想像するのが怖い。(苦笑)
昇平はゲームが大好きだし、人がゲームをやっていると興味津々なのだけれど、それは友だち相手や、アーケードゲームで後ろからギャラリーとして眺めるときにだけ許されること。もういいかげん、そのあたりをきちんと教えなくちゃならない時期に来たんだなぁ、と痛感した。

なので、歯医者を出て車に乗ってから、昇平に話をした。
ゲームをやっていた子は何も言わなかったけれど、見ず知らずの昇平くんにのぞき込まれて、とても不愉快に感じていたこと。(実際、歯医者を出てから待合室を振り返ったら、ゲーム機を止めて隣の席のお母さんに話しかけているのが見えた。きっと、昇平にのぞかれて、すごく緊張していたんだろう。)そういう行動は、知らない子のときにはやってはいけないこと。見たくても我慢しなくてはならないこと。
さらに、母が何度も警告を出して引き留めたのに、それを無視したのは良くなかったこと。だから、罰として今日のおやつは買わないよ、と言い渡した。昇平、一瞬、おやつも食事も全部抜きにされるのかと心配したようだが、今日のおやつを買わないだけで、家にあるお菓子や果物を食べるのはかまわないし、食事もちゃんと食べられるとわかって、余裕の表情に戻った。(このあたりの対応を間違うと、小パニックに陥るからちょっと大変。)
次にまた同じようなことをして、母の警告を無視したら、やはりそれなりの罰を受けることも約束した。おやつ抜きになるか、パソコンの時間を減らされるか、そこのところはその時の状況次第ということも話した。おやつを買ってしまった後でこういうことが起こることだってありうるから・・・。
それらの話と約束を「はい」「はい、わかりました」とうなずきながら聞いていた昇平。
冷静な時には、ものすごく聞き分けは良いのだ。でも、その場になってしまうと、「ゲームをのぞき込みたい」という衝動性が押さえられなくなるのも、母にはわかっている。だから、あらかじめ罰を約束しておかなくちゃならないのだ。自分をコントロールするブレーキになるように。

ひとしきり話が終わって、車のエンジンをかけたら、昇平が話しかけてきた。
「でも、歯医者さんで騒がなかったのはえらかったでしょう? (ゲームを)のぞいちゃったのが悪かったね」
自分の良かったところと反省すべきところを、自分自身でちゃんと把握していたのだ。たくましくなってきたなぁ・・・と思いながら、
「その通りだね。歯医者さんではとても上手に治療できたね。今度は人のゲームをのぞいたりしないように、がんばろうね」
と話をして終わった。

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本当に、昇平は新しい段階に入っているんだなぁ、とつくづく思う。
ソーシャルスキルに関する指導は、正直、母はあまり得意ではない。だけど、我が子の将来を思えば、やっぱり、教えるべきことは教えていかなくちゃならないと考えている。なにかがあった直後にしか指導できないことだから、学校や学童だけに、人頼みしておくわけにはいかないのだもの。
どうやるのが正解なのか、どんなやり方が上手な指導なのか、母である私にも全然わからない。
わからないから、ただとにかく、真っ正面から取り組んでいこうと思っている。良いことは良い、悪いことは悪い、と私に見える範囲で、昇平にわかる形で伝えていこうと考えている。こういう形でしか私にはできないし、多分、それでいいんだろうとも感じている・・・。

昇平はもう夢の中にいる。毎日学校で学童で、精一杯元気に過ごして、疲れて夜はぐっすり眠っている。
明日もまた、がんばろうね、昇平。君がなりたい、優しくてかっこいい、素敵な大人を目ざしていこうね。
そうなりたいと願って目ざせば、きっと、いつかその姿に近づいていけるはずだから――。

[05/11/28(月) 23:14] 日常 療育

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