ゲームで育っていくもの
さて、今年初めての「てくてく日記」です。
あけましておめでとうございます。
前回の日記でもお知らせしたとおり、今月中にこの「不定期連載システム」が閉鎖されるため、@niftyのブログにてくてく日記が引っ越しをして、「てくてく日記2」のタイトルで再スタートします。現在新しいブログを準備中なので、明日くらいには公開できるのではないかと思います。
当面は、こことブログ「てくてく日記2」での同時進行となります。読むのが大変かもしれませんが、どうかよろしくお付きあいください。
というところで、冬休み中の昇平の様子から。
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2学期末の個別懇談や成績表でも強調されていたけれど、昇平は、人との関わり方の面で本当に成長している。冬休みに入って、昇平が家にいる時間が長くなったら、ますますそれを感じるようになった。
何で一番それを感じるかというと、ゲームの場面で。
「スマッシュ・ブラザーズDX」という対戦型のゲームを、しょっちゅうお兄ちゃんと一緒にやっていたのだ。
これまでにもそのゲームは我が家にあったし、ときどき二人で対戦することもあった。
でも、やっても一勝負か二勝負がせいぜい。せっかく盛り上がってきたのに、昇平が飽きてやめてしまったり、他の遊びを始めてしまったり。勝負の場面そのものでも、かなり勝手な行動をとっては、そのたびにお兄ちゃんから怒られていた。
ところが、この冬の遊び方を見ていると、勝負がずっと長続きしているのだ。昇平とお兄ちゃんの間で会話が成立している。「今度は○○のステージにしよう」「えー、いつもそこばっかり。つまんないよー」「じゃあ、△△でどうだ?」「えー、××がいいよぉ」「××は狭いんだよ。△△にしよう」「わかった、オッケー」・・・というような具合。年齢もあって、イニシアチブはお兄ちゃんが取ることが多いが、昇平も自分の意見を述べつつ、ちゃんとお兄ちゃんの意向も汲めるようになってきている。
こうなれば、お兄ちゃんだって一緒にゲームをしていて楽しくなる。特に年末は、お兄ちゃんのほうから昇平に「一緒にゲームをやろう」と毎日のように誘っていた。ゲーム中のお兄ちゃんに昇平が寄ってくるたびに、「お母さーん、こいつなんとかしてよ!」と叫んでいた頃とは、えらい違いだ。
とはいえ、ゲームに関しては、お兄ちゃんのほうが絶対に強い。昇平は負けてばかりで悔しい悔しい。でも、あまり大騒ぎすると、「そんなに悔しいならゲームをやめなさい」と私に言われてしまうので、だんだんそのあたりの切り抜け方もうまくなってきた。昇平の使うキャラクターに「初心者」という名前を付けたのだ。
一方、お兄ちゃんのキャラクターの名前は「かみさま」。見習いから神様の域までには様々な段階があって、昇平がどのくらいお兄ちゃんのキャラクター相手に戦えるかで、レベルアップした名前に変えていく、ということにしたらしい。現在、昇平は「見習い」まで進んだらしい。この後、どんなふうに呼び名が準備されているのか、私にはわからないけれど、本人たちがそれで納得して楽しく遊べるようになったのだから、大したものだと思う。
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自分だけでやるゲームとしては、「メイプル・ストーリー」というオンラインゲームにはまっている。
なんと、チャットまでやるようになったのだ。
最初のうちは、相手から話しかけられても気がつかなかったり、返事をするべきところでしなかったり、グループで戦っていたのに勝手に離れて、それっきりやめてしまったり・・・と、見ていてハラハラするようなことをずいぶんやっていたけれど、Rちゃんという女の子のキャラクターを使うプレーヤーと友だちになってから、そのあたりの関わり方がぐっとレベルアップしてきた。
オンラインゲームは、実際のプレーヤーの性別や年齢がわからないから、男が女になりすましたり、大人なのに子どものふりをしたり・・・ということも起こるのだけれど、チャットの内容から見ると、向こうは本当に子どもで、しかも本物の女の子らしい。昇平よりはいくらか年上かな。小学校高学年〜高校生というところか。昇平がわけの分からないことを言ったりやったりするので、初めのうちは「きみ、電車男みたい」なんて言っていたのだけれど(昇平は「ムキーーー!」と言って怒っていた。)、でも、なんだかんだ言いながらも、面倒見良く昇平の相手をしてくれている。毎晩ゲームに来ると、昇平を呼んで、しばらくチャットしてくれる。一緒にゲームの中で狩り(敵モンスターと戦うことをそう呼ぶ)をしたりもする。けっこう気が合うらしい。
Rちゃんは、昇平がこういう障害を持っているなんてことは、全然知らない。ありのままの昇平と付き合って、ありのままの昇平を気に入ってくれている。時には、もっと大勢の仲間を集めて、グループを組んで一緒に狩りをしたするが、その中でも、昇平は一緒になってチャットしている。
は〜・・・・・・と、私はただただ感心するばかり。
昇平にこんなことができる日がくるとは、正直、思っていなかったから。
結局、オンラインゲームというのは、ひとり遊びと、現実に他人同士が集まって遊ぶ集団遊びの、ちょうど中間に属しているんじゃないかと感じている。
自分がキャラクターになっているから、自分の動きが目の前に見える。自分が何をすればいいのかも、ゲームの世界では選択肢が限られているから、判断しやすい。相手の動きも気持ちも画像や文字で目に見える形で示される。そして、チャットでは文字入力が苦手な人も大勢いるから、返事のタイミングが遅れたり外れたりしても、それで相手が気分を害することがない。
ちょうど、人とのつきあい方を学ぶシミュレーションになっているんじゃないか、という気がする。
とはいえ、モニターのキャラクターの向こうにいるのは、現実に生きている「他人」だから、その相手への配慮は絶対に必要。ずっと監視しているわけではないけれど、昇平が「メイプル・ストーリー」をやっている間は、それとなく動向に目を配って、昇平が相手を無視するような言動をしそうになったら注意するようにはしている。
最近は、相手の気持ちを教えただけで、けっこう正しい行動をとれるようになってきたから、すごいと思う。
昇平の一日のゲーム時間は限られているのだけれど、この「メイプル・ストーリー」に関しては、ときどき時間サービスしたり、ゲーム終了時間まぎわにRちゃんが登場したりすると、「じゃあ、あと30分だけね」なんて時間延長してやったりしている。甘いかもしれないけれど、なんとなく、Rちゃんたちとの関わりは大事にしていきたい気がするのだ。
ゲームだって、捨てたものじゃない。ゲームを通じて育っていくものだってある。
そんなことを感じた、この冬休みだった。
[06/01/05(木) 10:09] 日常